LCAとIDEAに関するQ&A

会員の方からの質問で、特に多かった質問と回答を掲載しています。
これ以外にも質問がありましたら、事務局までお寄せください。

1.LCAの学習方法について

Q1-1 : LCAについて学ぶためのテキストがあれば教えてください
  • A : テキストとしては、「改訂版 演習で学ぶLCA ~ライフサイクル思考から、LCAの実務まで~」(稲葉敦編著、2018年4月(株)シーエーティ発行 税別2,200円 購入先:日本LCA推進機構)が良いと思います。会員交流ページに掲載されているコンソーシアム会員向け講習会の資料もあわせてご覧ください。
Q1-2 : LCAを行うにあたって、どのような準備から進めればよいのか教えてください
  • A : LCAを実施する目的を明確にすることがまず大切です。次に、LCAを実施したい製品のシステムフロー(製品の原材料の調達から製造、販売、使用、廃棄までの流れ)をまとめてみます。その上で、社内の各部門の方々に相談し、システムフローをブラシアップしながら資源やエネルギーの投入量などの活動量のデータを集め、併せて、IDEAのような原単位のデータを集めていっていただければと思います。

2.LCAの実施方法について

Q2-1 : オーダーメイド的な商品を毎回異なる製造プロセスで製造している場合、どのようにLCAを実施すればよいのか教えてください
  • A : IDEAは、家ならば平米あたりの環境負荷を、洋服であれば1着当たりの環境負荷を平均的なところで数値を作成しています。家であれば、使われる材料に木が何本使われているのか、コンクリートをどのくらい使っているのかといったことによって環境負荷が違ってきますが、1軒ごとの細かい材料の違いまではわかりません。基本的にはモデルを作った上で個々のケースを当てはめて検討していくしかないように思います。材料メーカーの方や同業者の方などと意見交換されるのもよいかもしれません。
Q2-2 : 原材料投入後の生産プロセスに関わるエネルギー由来のCO2排出量は、どのように算出すれば良いでしょうか? 概算で生産工場での使用エネルギーを、「算定対象製品の生産量/工場の年間生産量」で案分する程度の概算値でも良いのでしょうか? 教えてください
  • A : 生産プロセスの排出量が細かくわかれば、それぞれのプロセスで生じた排出量を積算して算出していただくと良いと思いますが、それが難しい場合は、算定対象製品の生産量を工場全体の生産量に占める比率などから案分していただくしかないと思いますので、そのようにしていただければと思います。
Q2-3 : 顧客で使用される際のCO2排出量が一番大きいと認識していますが、顧客で使用されるCO2排出量の計算を実施するための情報が入手し難く、自社で計算が出来ない状態です。良い方法はないでしょうか?
  • A : 使用時にどのような使い方をされているかを把握する必要があるということだと思います。ユーザーがどのような使い方をしているのか、1日当たりの平均使用時間などがわかれば、それに伴う電力消費量などもわかってくると思います。ユーザーを対象とした調査を実施することをお薦めします。また、タイプの異なる複数の顧客がいらっしゃる場合は、複数のヒアリングの下でモデルケースを設定して、算出する方法もあるかと思います。
Q2-4 : 算定結果の妥当性を検証するにはどうすればよいか教えてください
  • A : LCAには第3者に評価してもらうクリティカルレビューという枠組みがあります。シンクタンクや調査会社で実施しています。「LCA、クリティカルレビュー」というキーワードでインターネットで検索していただければLCAの検証を業務としている事業者が出てきます。費用は掛かりますが、客観性を保証するという点では、こうした事業者を活用するのもひとつの方法だと思います。

3.IDEAの利用方法について

Q3-1 : 適切な製品や項目がIDEAで見つからない場合や、IDEAにない化合物を原料としている製品のLCAを実施する場合、どうすればよいのか教えてください
  • A : IDEAは日本のすべての製品を網羅しています。ただし、「チーズ」という項目はあっても、それよりも詳細な「カマンベールチーズ」という項目はありません。そのため、製品や項目によっては、探しているものよりも大きな区分の製品群をIDEAから選択していただき利用していただくということもあります。また、 原料とする化合物がIDEAにない場合、官能基の似たものがあればそれを使用していただくとか、製造法などが似ている化合物などから排出量を想定していただくなど、工夫して算出していただければと思います。マニュアルの第1部、第2部、第3部および「付属資料(1)IDEA製品コード表.xlsx」もご参照ください。
Q3-2 : 製品の具体的な内容がわかるものがあれば教えてください
  • A : マニュアルの第1部、第2部、第3部および「付属資料(1)IDEA製品コード表.xlsx」をご参照いただけたらと思います。
Q3-3 : Ver3.1からVer3.2に切り替える際に配慮すべきことがあれば教えてください
  • A : もとになる統計データを新しいものに切り替えたので、当然、Ver3.1とVer3.2とでは数値は違ってきます。 配慮すべき点としては、Ver3.1とVer3.2とで数値が違う場合、それは電力が違っているのか物質のデータが違っているのか、違いが生じているプロセスを見ていただきたいと思います。その辺のデータの状況を見た上で、実感に合うかどうかを考察していただければと思います。実感に合わないようであれば、ご相談ください。
Q3-4 : IDEAを利用するためのソフトウェアはないのですか?
  • A : LCAのソフトウェアとしては、「SimaPro」と「MiLCA」があります。SimaProは、オランダの環境コンサルタントPRe Consultants(プレコンサルタント)社が開発し、 日本ではTCO2株式会社が総販売代理店として、販売ならびにサポートを行っています。また、MiLCAは。一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)が開発し、販売を行っています。いずれも詳細は、TCO2、SuMPOにお聞きください。
Q3-5 : 他にIDEAのような原単位のデータベースはないのですか?
  • A : 海外(欧州)には、ecoinvent、Gabiというデータベースがあります。ecoinventはスイスのエコインベント協会が開発したデータベースで、2003年から継続的に拡張し、現在、約4,000製品、約18,000のデータセットを提供しています。GabiはドイツのSphera Solutions GmbH社が開発したデータベースで、こちらは原単位だけが公開されています。日本におけるLCAデータベースはIDEAだけです。日本で製造している商品(一次産業等を含む)やサービスについては、IDEAをお使いになることをお薦めします。

4.IDEAのデータの内容や特徴について

Q4-1 : 排出原単位にIDEAを使用している場合、計算された排出量の客観性は担保できるものと捉えて良いでしょうか。IDEAを使用していることが自社内はもちろんですが、対外的にどのような効力があるのでしょうか。お教えください。
  • A : IDEAは、網羅性、代表性、完全性、透明性をコンセプトに作成されています。客観性が担保されていると考えていただいてよいと思います。IDEAは、4700項目のインベントリデータベースであり、LCAの実施にあたって良質なデータベースとして高い評価をいただいています。こうした網羅的に作られたデータベースは、世界でも、IDEA、ecoinvent、Gabiの概ね3つしかなく、IDEAを使って算出したことを対外的に出典として「産業技術総合研究所IDEA」と掲載していただくことでデータの信頼性は得られるものと思います。
Q4-2 : IDEAは「日本全国」の平均的な排出係数と考えて良いでしょうか。例えば、車両からの排出係数については、日本全国での燃料別車種を網羅しているのでしょうか。毎年更新されたIDEAを使用し続ければ、燃料別車種の動向(EV等の増加)を算定に反映できると考えて良いでしょうか。
  • A : IDEAは日本全国の平均的な排出係数を目的に制作しています。車両の場合、IDEAでは、積載率やトラックの大きさ(トン数)などで分類して原単位を作成していますが、現在、EVなどには対応しておりませんが、今後の課題として必要だと考えています。
Q4-3 : IDEAの算出過程において国外での排出も含まれるのでしょうか。その場合、国内での排出量を算定する場合に、どのように考えれば良いでしょうか。
  • A : たとえば、鉄鋼であれば、鉄鉱石やボーキサイトの採掘から輸送などを含め、鉄鋼が製造されるまでのプロセスがすべて含まれています。これがインベントリデータベースIDEAの特徴です。また、GHG排出量については、エネルギー使用量だけでなく、全てが含まれています。

5.温室効果ガス(GHG)排出量の算定について

Q5-1 : IDEAで算定できるGHG対象ガスは、3種類(CO2、CH4、N2O)でしょうか。
  • A : IDEAで算定できるGHG対象ガスは、CO2、CH4、N2Oの他に、HFC-134a、SF6、PFC-14が含まれています。(マニュアル第1部P123参照)
Q5-2 : IDEA(LCIデータ)を用いてCO2排出量のみを算定する場合、3種類(発生源不特定、生物由来、化石資源由来)の係数を合算して算出すれば良いのでしょうか。
  • A :評価の目的が気候変動に寄与するCO2排出量の把握であれば、生物由来はGWP(地球温暖化係数)は0であるため(生物由来のCO2は炭素循環していてカーボンニュートラルであるため、GWPは0となっています。)、3種類の合算ではなく発生源不特定と化石資源由来の2種類のLCIの合算で算出します。また、GHG(温室効果ガス)排出量としては、CO2のほかに、CH4、N2Oなどが含まれます。「LCIA結果」シートのF列、Y列は、CO2のほかに、CH4、N2Oなども含んでいますので、気候変動に係るGHG排出量を見たいときは、こちらのF列、Y列をご利用ください。
Q5-3 : F列は「LIME2 特性化結果 気候変動」、Y列は「その他 気候変動 IPCC 2013 GWP 100a」となっていますが、両者の違いと、どちらを利用すべきかアドバイス頂けませんでしょうか?
  • A : F列はLIMEで使っている係数で、2007年のIPCC第4次報告書の100年指数を使用しています。一方、Y列、Z列は2013年のIPCC第5次報告書の指数を用いています。Y列が100年値、Z列が20年値です。LIME2を使ってオゾン層破壊や酸性化等の他の環境影響を含めて総合的に見ていく場合にはF列を使用した方が良いと思いますが、できるだけ新しいデータで使って温室効果ガスの排出量だけを見ていきたいというのであれば、Y列を見ていただいたほうが良いかと思います。
Q5-4 : IDEAのデータと環境省のデータが異なるのですが、どうしてですか?
  • A : 環境省のデータは、燃焼時に発生するCO2排出量のみのデータです。LCAは、ゆりかごから墓場までとよく言われますが、そういう点では、環境省のデータはLCAではありません。IDEAには、原料の採掘、輸送、精製など燃料の製造プロセス時に排出されるCO2も含まれています。そのため、環境省のデータよりも高い数値になります。
Q5-5 : 顧客から海外拠点品の製品のCO2排出量の提供を求められています。海外のエネルギー使用量は入手できるのですが、係数は日本のもので回答してもよいのでしょうか?
  • A : 電源構成の違いについては、各国のデータを集めていて、約130カ国については、IDEAでも公共電力の国別のデータ(IEAの2015年データ)を公表しています。その他(ガス、蒸気など)の点については、調査を進めていますが、現在のところ反映されていません。データの作成条件を踏まえながら、お使いいただければと思います。

6.サプライチェーンでのデータ収集について

Q6-1 : サプライチェーンでのCO2の排出量を調べるにはどうすればよいか教えてください
  • A : 難しい課題です。上流側、下流側、それぞれに信頼できるサプライヤーをみつけて、エネルギーや材料の使用状況など実際の状況を聴いていくしかないかと思います。仲間作りが大切だと思います。
Q6-2 : Scope3のCO2排出量を計算するにはどうすればよいですか?
  • A : Scope3 Ver3.2算定ツールをお使いください。このシートに、IDEA Ver3.2のLCIA結果の温室効果ガスのデータを貼り付けた上で、自社で使用した商品、エネルギー、通勤に要した費用などの数値を入力して算出していただければと思います。