(2021年6月1日)
産総研の研究成果として、”Pulmonary inflammation following intratracheal instillation of cellulose nanofibrils in rats: comparison with multi-walled carbon nanotubes”と題した研究論文が、Cellulose(Springer)において2021年5月28日付けで発行されました。
セルロースナノファイバー(CNF)は、さまざまな用途への開発が進んでいる一方、吸入影響については依然として不明な点が多いです。本研究論文は、3種類のCNF(リン酸エステル化CNF、TEMPO酸化CNF、機械解繊CNF)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を対象に、炎症反応をエンドポイントとする90日間の気管内投与試験の結果についてまとめたものです。この結果、3種類のCNFの炎症反応は、CNFの特性の違いにより異なるとともに、MWCNTに比べて低く、投与後90日間で減衰することが明らかになりました。
本論文は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法」および「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/CNF利用技術の開発/多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価」の研究結果から得られたものです。
リンク
https://doi.org/10.1007/s10570-021-03943-2
本論文は、オープンアクセスになっていますので、全文を無償で閲覧できます。
(文責:藤田克英)