(2024年5月2日)
産総研の研究成果として、”セルロースナノファイバーの吸入毒性評価”と題した研究論文が、オレオサイエンス(日本油化学会)において2024年5月2日付けで発行されました。
セルロースナノファイバー(CNF)は、バイオマス由来の軽量かつ非常に強い素材であり、石油由来の素材に代わる可能性を秘めています。そのため、さまざまな産業分野で期待が寄せられています。一方で、CNFの普及が進むにつれて、その超微細な繊維状の形状などの物理化学的特性から、有害性について懸念が生じるようになりました。特に製造段階において、作業員の吸入暴露管理を実施していくことは重要です。しかしながら、CNF吸入毒性についての試験報告は乏しく、その実態についてはこれまで不明な点も多く、また試験方法にも課題がいくつか残されています。本稿は、CNF製品開発の一助として、これまで我々が実施したCNFの吸入毒性試験の結果を中心に、CNF暴露の潜在的影響についての知見をまとめたものです。
本論文は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/CNF利用技術の開発/多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価」の結果から得られたものです。
リンク
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/oleoscience/24/5/_contents/-char/ja
https://doi.org/10.5650/oleoscience.24.197
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(文責:藤田克英)