(2022年7月12日)
産総研の研究成果として、第49回日本毒性学会学術年会(2022年6月30~7月2日、札幌コンベンションセンター)においてポスター発表により下記の研究報告を行いました。
・発表題目:化学修飾および機械解繊セルロースナノファイバーの細胞影響
・発表者:藤田 克英、小原 佐和枝、丸 順子、遠藤 茂寿、森山章弘
本研究では、CNFの吸入影響の検討を目的に、ラット肺胞マクロファージ(NR8383)およびヒト気道上皮細胞(BEAS-2B)を用い、異なる原料樹種と製法により作製された2種類の化学修飾CNFおよび4種類の機械解繊CNFの細胞影響を調べました。細胞培地中に100 µg/mLの濃度になるように各種CNF調製液を添加し、それぞれNR8383およびBEAS-2Bを48時間培養した結果、ミトコンドリア脱水素酵素活性の有意な低下や、乳酸脱水素酵素の放出、活性酸素種(ROS)産生の有意な上昇は認められませんでしたが、数種類の炎症性サイトカインの有意な産生が認められました。有意な細胞毒性やROS産生が認められない一方、CNFの原料樹種や製法、物理化学特性によりその程度が異なるものの、炎症性サイトカインの産生が認められたことは興味深い結果です。今後、これらのメカニズムの解明を行う予定です。本発表は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/CNF利用技術の開発/多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価」の結果から得られたものです。
来年の第50回年会は、パシフィコ横浜での開催が予定されています(2023年6月19日から)。
(文責:藤田克英)