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2020年11月 製造プラントにおけるセルロースナノファイバー乾燥粉体の飛散と暴露の測定

(2020年11月9日)

産総研および大王製紙株式会社の研究成果として、Measurements of cellulose nanofiber emissions and potential exposures at a production facilityと題した研究論文が、NanoImpact(Elsevier)において2020年11月3日付けで公開されました。

本論文は、セルロースナノファイバー(CNF)の製造施設において、CNF乾燥粉体の回収時と大袋から小袋への小分け時のCNFの飛散及び暴露可能性を定量的に評価したものです。飛散CNFをフィルタに捕集し、CNFの熱分解生成物を分析することで、CNFを定量しました。熱分解生成物の分析は、炭素分析と、熱分解ガスクロマトグラフィー-質量分析(Py-GC-MS)の2つの方法により行いました。また、エアロゾル計測器による計測と、フィルタに捕集したCNFの重量分析や電子顕微鏡観察も行いました。CNF乾燥粉体の回収時及び大袋から小袋への小分け時には、CNFの飛散が起こることが確認されましたが、飛散したCNFは換気システムまたはドラフトによって効果的に除去されました。測定された吸入性粉塵濃度は、すべての測定点において、日本産業衛生学会による第 2 種粉塵(綿塵など)の許容濃度である1 mg/m3(吸入性粉塵)よりも低い値でした。また、Py-GC-MSで測定された作業者近傍の吸入性CNF濃度は2μg/m3未満であり、各国機関によるナノ材料を対象とした許容濃度(例えば、カーボンナノチューブ:1~50μg/m3、二酸化チタンナノ粒子:17~600μg/m3)と同等かそれよりも低い値でした。この研究は、作業環境の低濃度のCNFの定量には、炭素分析や質量分析よりもPy-GC-MSが有効であることを示しました。

本論文は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法」の研究結果から得られたものです。

リンク

https://doi.org/10.1016/j.impact.2020.100273

(文責:小倉 勇)