1. ホーム
  2. セルロースナノファイバーの安全性評価>
  3. 情報提供等>
  4. 2026年1月 ナノセルロース粉体の発塵性およびエアロゾル特性:職場における曝露および安全管理への示唆についての研究報告

2026年1月 ナノセルロース粉体の発塵性およびエアロゾル特性:職場における曝露および安全管理への示唆についての研究報告

(2026年1月6日)
産総研の研究成果として、” Dustiness and aerosol characteristics of nanocellulose powders: Implications for workplace exposure and safety management(ナノセルロース粉体の発塵性およびエアロゾル特性:職場における曝露および安全管理への示唆)”と題した研究論文が、NanoImpact(Elsevier)において2025年12月24日付けで公開されました。

セルロースナノファイバーおよびセルロースナノクリスタルを含むナノセルロース材料は、再生可能資源由来の材料として、多様な産業用途での利用が期待されています。一方で、乾燥粉体を取り扱う際の作業者曝露の可能性は、依然として懸念されています。本研究では、EN 17199で規定された小型回転ドラム法を用いて、9種類のナノセルロース粉体の発塵性およびエアロゾル特性を評価しました。エアロゾル化したナノセルロースは、リアルタイム測定機器、重量分析、およびフィルターに捕集した粒子の顕微鏡観察により特性評価を行いました。

その結果、すべての試料において吸入性粒子の発塵が確認され、質量基準の発塵指数(ダスティネスインデックス)は10~300 mg/kgの範囲にあり、他のナノ材料と同程度でした。エアロゾル化したナノセルロースは、孤立した繊維としてではなく、主に約0.1~10 µmの凝集体として観察されました。これらの結果から、回転ドラム法で模擬されるようなプロセス条件下では、エアロゾル化したナノセルロースは、孤立繊維ではなく粒子状物質として主に存在することが示唆されました。しかしながら、質量基準の発塵指数の大きさを考慮すると、乾燥ナノセルロース粉体の取り扱いにおいては、排出および暴露の管理対策が必要と考えられます。

また、携帯型エアロゾル測定器の性能および限界についても評価しました。光散乱式粒子計測器では、吸入性粉塵より大きな粒子が高濃度で存在する場合に、小さな粒子の濃度に影響を及ぼすことがありました。一方、粉塵計は、粗大粒子の割合が高い試料では濃度を過小評価する傾向が認められました。これらの制約はあるものの、機器の特性を理解した上でこれらの測定器を使用すれば、職場の安全管理に有用な情報を提供できると考えられました。

本研究は、作業環境におけるナノセルロース粉体の安全な取り扱いを支援するための、効果的な暴露評価および管理戦略を構築するための科学的基盤を提供します。

本論文は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/CNF利用技術の開発/多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価」の結果から得られたものです。

リンク
https://doi.org/10.1016/j.impact.2025.100610
オープンアクセスになっていますので、全文を無償で閲覧できます。
(文責:小倉 勇)