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2022年2月 セルロースナノファイバーおよびセルロースナノクリスタルの生体影響に関する論文リスト

(2022年2月8日)

セルロースナノファイバー/セルロースナノフィブリル(CNF)は、新材料として期待される一方、繊維状で超微細な特性を持つことから、生体へのリスクが懸念されています。近年、CNFの生体影響に関する論文が国内外から発表されるようになりました。そこで、針状結晶構造を有するセルロースナノクリスタル(CNC)と併せ、CNFの生体影響を目的とした培養細胞試験(vitro)および動物実験(vivo)に関連する研究論文をリスト化しました。CNFの社会実装の一助となれば幸いです。なお、リストに漏れている論文や要旨に誤認がある場合は、ご容赦ください。必要に応じ、論文を検索して頂き、原文をご参照頂ければ幸いです。

(文責:藤田克英)

論文リスト

2022/11/28 更新

  1. Review
  2. CNF/vitro
  3. CNF/vivo
  4. CNC/vitro
  5. CNC/vivo
1. Review
# 発行年 CNF/CNC 試験 論文タイトル 要旨 引用文献
1-1 2020 CNF vivo A review of pulmonary toxicity studies of nanocellulose ナノセルロース(NC)は従来のナノマテリアルには見られない独特の物理化学的性質を持っているため、特に吸入した場合、生物への予期せぬ影響が懸念される。本レビューは、吸入による呼吸器系へのNCの影響に関するin vivo実験の進捗状況をまとめ、繊維状ナノ材料の効果を比較することにより、NC毒性研究への新しい洞察を提供した。 Sai et al.
1-2 2020 CNF
CNC
vitro
vivo
Human hazard potential of nanocellulose: quantitative insights from the literature ナノセルロースベースの製品の急速な開発と材料の新規性を考慮すると、ヒト健康に関する研究はまだ不十分である。エンドポイント、ナノセルロースの濃度範囲、物理化学的特性、表面修飾、供給源、曝露経路、および細胞株の観点から、in vivoおよびin vitro試験の結果を体系的に分析および定量的に評価した。論文を評価した結果、今後の研究に役立つようなパターンやギャップがあることが分かった。依然として重大な不確実性が残っており、特に肺への暴露が関わるin vivo試験に関する懸念の原因が示された。かなりの数のin vitro研究が行われているが、結果はしばしば矛盾していた。これらは、ナノ粒子のサイズ、細胞株、表面修飾、または試験濃度に直接起因するものでなく、研究の質の違いにも関与している可能性がある。本レビューは、将来の研究への道を開き、ナノセルロースの安全な開発と使用を確実にするため重要なギャップを特定できると考える。 Stoudmann et al. 
1-3 2022 CNF vitro
vivo
Potential issues specific to cytotoxicity tests of cellulose nanofibrils 本総説では、CNFの細胞影響試験に関する最近の情報をレビューし、試験評価に関連する問題点を明らかにした。文献を見ると、様々な細胞株やCNFの曝露濃度で評価されていることが分かった。また、エンドトキシンや微生物汚染、CNFと細胞培地の相互作用が評価されていない報告も多く見受けられた。そこで、CNFの細胞試験において、(1)エンドトキシンの混入、(2)微生物の混入、(3)培地成分のCNFへの吸着、(4)培地成分によるCNFの凝集・分散状態の変化という、具体的に起こりうる問題について考察し、これらの問題に対して、利用可能な測定方法と解決策について議論した。これらの問題点を解決することで、CNFの細胞への影響についての理解が深まり、より安全なCNFの開発につながると考える。 Moriyama et al. 
  1. Review
  2. CNF/vitro
  3. CNF/vivo
  4. CNC/vitro
  5. CNC/vivo
2. CNF/vitro
# 発行年 CNF/CNC 試験 論文タイトル 要旨 引用文献
2-1 2020 CNF vitro
vivo
Screening of preservatives and evaluation of sterilized cellulose nanofibers for toxicity studies CNFの物理的および化学的特性に影響を与えることなく、異なる親水性を持つ複数の防腐剤を使用するCNF分散液の滅菌方法を開発した。2.0 mg / mL以下の濃度のリン酸化CNF分散液、および10 µg / mLの塩化ベンザルコニウム単独または250µg / mLのパラヒドロキシ安息香酸メチルと250µg / mLのパラヒドロキシ安息香酸プロピルの組み合わせにより、物理的化学的性質の変化なしにCNF分散液を滅菌できた。本法は、将来、さまざまな物理化学的特性を持つCNFの安全性評価に適用できると考える。 Sai et al.
2-2 2019 CNF vitro
vivo
Pulmonary effects of nanofibrillated celluloses in mice suggest that carboxylation lowers the inflammatory and acute phase responses ナノフィブリル化セルロース(NFC)およびカルボキシル化NFCについてコメットアッセイによるDNA損傷について検討した。下記3種類の被験材料を6 µgまたは18 µgでマウスに気管内投与し、28日後の影響を調べた。1) FINE NFC, 長さ 2-20 µm, 幅 2-15 nm、2) AS(-COOH), カルボキシル化, 長さ 0.5-10 µm, 幅 4-10 nm, 殺生物剤を含むもの、3) BIOCID FINE NFC: 1と同様で殺生物剤を含む。FINE NFCを6および18 µgの用量で暴露した結果、1日後のマウスの肺のDNA損傷が増加した。また最高用量のAS(-COOH)投与後28日目に、BAL細胞のDNA損傷が増加したBIOCID FINE NFCはFINE NFCより高いDNA損傷レベルを示したが、そのレベルは陰性対照と変わらなかった。これらの結果は、用量反応関係は観察されなかったが、NFCおよびカルボキシル化NFCは遺伝毒性を有すると結論した。 Hadrup et al.
2-3 2019 CNF
CNC
vitro
vivo
Toxicological effects of ingested nanocellulose in in vitro intestinal epithelium and in vivo rat models 小腸上皮の三培養モデルを使用した結果、1.5%w/w CNCによる活性酸素種(ROS)生成のコントロールに対する10%の増加を除いて、細胞毒性、ROS、または単層の完全性に有意な変化は観察されなかった。インビボ毒性は、水または生クリーム中のCNFの1%w/w懸濁液で5週間、週2回強制飼養されたラットで評価した。対照群とCNF懸濁液を投与されたラットとの間で、血液学、血清マーカー、または組織学に有意差は観察されなかった。これらは、摂取されたNCは急性毒性がほとんどなく、少量摂取された場合は無害である可能性が高いことを示唆している。 DeLoid et al. 
2-4 2019 CNF vitro Toxicity evaluation of cellulose nanofibers (Cnfs) for cosmetic industry application 細胞毒性試験、皮膚刺激性試験、眼刺激性試験を実施し、CNFの化粧品への応用を検討した。その結果、CNFはHaCaT細胞(≥156μg/mL)およびHDF-α細胞(≥313μg/mL)に対して有意に細胞毒性を誘導した。しかし、CNFは3Dモデルに対して皮膚や眼に対する刺激性を誘発しなかった。以上より、CNFを化粧品材料として使用するためには、適切な濃度設定が必要であることが示唆された。 Min et al.
2-5 2019 CNF vitro Cellulose nanofibers from lignocellulosic biomass of lemongrass using enzymatic hydrolysis: characterization and cytotoxicity assessment 酵素による加水分解を利用してレモングラス(LG)の廃棄物から CNF を単離し、その特性と細胞毒性を検討した。CNFの細胞毒性は,3種類の癌細胞株NCIH460、PA1、L132細胞に対するMTTアッセイによって評価した。FT-IRの結果、得られた試料はセルロース系であり、CNFはリグニンやヘミセルロースなどの非セルロース系成分を含まないことが確認された。また、セルロースのSEM顕微鏡写真では、束状の構造が確認された。CNFのTEM顕微鏡写真は、多様な長繊維構造を示し、DLSを用いて分析した粒径は105.7 nmであった。TGA分析では、セルロースと比較して熱安定性が若干低いことが明らかになった。さらに、CNFは試験濃度(〜10-1000μg/mL)において、どの細胞株にも毒性を示さなかった。全体として、LG廃棄物由来のCNFは持続可能な材料であり、主に食品やドラッグデリバリー分野など、様々な分野で好ましい補強剤やナノキャリアとして採用される可能性があると結論付けられた。 Kumari et al.
2-6 2018 CNF
CNC
vitro Evaluating the genotoxicity of cellulose nanofibrils in a co-culture of human lung epithelial cells and monocyte-derived macrophages 工業用漂白ユーカリグロブルス(Eucalyptus globulus)クラフトパルプ由来のTEMPO酸化CNFの細胞毒性、免疫毒性、および遺伝子毒性効果のスクリーニングを行った。結果は、低濃度のCNFは肺上皮肺胞(A549)細胞の増殖を促進する可能性があるのに対し、高濃度では中程度の毒性があることを示した。さらに、炎症性サイトカインIL-1βはヒト単球細胞株(THP-1)との共培養培地では検出されず、免疫毒性がないことを示唆した。CNFは、A549細胞に顕著なDNA損傷を誘発しなかったが、1.5および3 µg/cm2で小核形成を引き起こした。これらの結果は、このタイプのCNFが、異数性または染色体異常誘発メカニズムを介して遺伝毒性があることを示唆している。細胞の異常増殖と遺伝毒性が、職業暴露環境のような現実的な低CNF濃度レベルにおいて観察されたことは注目すべき点である。 Ventura et al. 
2-7 2018 CNF
CNC
vitro Comparative study of the electrochemical, biomedical, and thermal properties of natural and synthetic nanomaterials 工業用漂白ユーカリグロブルス(Eucalyptus globulus)クラフトパルプ由来のTEMPO酸化CNFの細胞毒性、免疫毒性、および遺伝子毒性効果のスクリーニングを行った。結果は、低濃度のCNFは肺上皮肺胞(A549)細胞の増殖を促進する可能性があるのに対し、高濃度では中程度の毒性があることを示した。さらに、炎症性サイトカインIL-1βはヒト単球細胞株(THP-1)との共培養培地では検出されず、免疫毒性がないことを示唆した。CNFは、A549細胞に顕著なDNA損傷を誘発しなかったが、1.5および3 µg/cm2で小核形成を引き起こした。工業用漂白ユーカリグロブルス(Eucalyptus globulus)クラフトパルプ由来のTEMPO酸化CNFの細胞毒性、免疫毒性、および遺伝子毒性効果のスクリーニングを行った。結果は、低濃度のCNFは肺上皮肺胞(A549)細胞の増殖を促進する可能性があるのに対し、高濃度では中程度の毒性があることを示した。さらに、炎症性サイトカインIL-1βはヒト単球細胞株(THP-1)との共培養培地では検出されず、免疫毒性がないことを示唆した。CNFは、A549細胞に顕著なDNA損傷を誘発しなかったが、1.5および3 µg/cm2で小核形成を引き起こした。これらの結果は、このタイプのCNFが、異数性または染色体異常誘発メカニズムを介して遺伝毒性があることを示唆している。細胞の異常増殖と遺伝毒性が、職業暴露環境のような現実的な低CNF濃度レベルにおいて観察されたことは注目すべき点である。 Ghaemi et al.
2-8 2018 CNF vitro Nanofibrillated cellulose causes acute pulmonary inflammation that subsides within a month in vitroおよびin vivoで4つのナノフィブリル化セルロース(NFC)の免疫調節特性を調べ、その結果をバルクサイズのセルロースフィブリルおよび硬質多層CNT(rCNT)のデータと比較した。NFCのうち2つは機能化されておらず、2つはカルボキシメチル化またはカルボキシル化されている。分化したTHP-1細胞における炎症性サイトカインの産生を調査し、マウスにおける肺への影響と生体持続性を研究した。結果は、非機能化NFCの1つが細胞生存率を低下させ、in vitroで炎症誘発性反応を引き起こした。対照的に、全てのセルロース材料は、口腔咽頭吸引の24時間後にin vivoで自然免疫応答を誘発し、機能化されていないNFCはさらにTh2型炎症の特徴を引き起こした。28日後も中程度の免疫反応が見られたが、24時間後と比較して効果は著しく弱まった。セルロースは、1か月間肺から除去されなかった。NFCの全ての影響は、rCNTによって誘発されたものと比較して控えめだった。NFCによって誘発された反応は、バルクサイズのセルロースによって引き起こされた反応と類似しているか、それを上回っていた。これらの結果は、様々なNFCの生体耐久性と肺への影響に関する新しい情報を提供し、セルロース材料のリスク評価に役立つと考える。 Ilves et al.
2-9 2018 CNF
CNC
vitro Fibrous nanocellulose, crystalline nanocellulose, carbon nanotubes, and crocidolite asbestos elicit disparate immune responses upon pharyngeal aspiration in mice ナノフィブリル(NCF)、ナノクリスタルセルロース(CNC)、単層CNT、およびクロシドライトアスベスト(ASB)によるBALB/cマウスの肺の炎症および免疫応答、ならびに脾臓および末梢血免疫細胞サブセットへの影響を調べた。口腔咽頭吸引(40 µg/マウス)によりNCF、CNC、CNT、およびASBを投与し、暴露後14日目、ASBおよびCNTに暴露されたマウスの総細胞数、単核食細胞、多形核白血球、リンパ球、および乳酸脱水素酵素(LDH)は有意に増加した。いずれの材料においても、暴露後14日目に不連続な局所免疫細胞の分極パターンをもたらした。ASBによって誘導された免疫反応は、慢性炎症およびT細胞のTH 2型分極の可能性を示したが、一方、NCF暴露ではTH1様応答が示され、ここで観察されたようなアスベスト様物質として挙動しなかった。繊維状の形態を持つ新しいナノサイズ材料の適用性を試験する際、肺曝露後の免疫反応におけるこれらの変化を考慮する必要がある。 Park et al.
2-10 2018 CNF vitro Evaluating the genotoxicity of cellulose nanofibrils in a co-culture of human lung epithelial cells and monocyte-derived macrophages 肺上皮肺胞(A549)細胞と単球由来マクロファージ(THP-1)の共培養に対する、工業用漂白ユーカリグロビュラスクラフトパルプのTEMPO媒介酸化によって生成されたCNFの細胞毒性、免疫毒性、および遺伝子毒性効果をスクリーニングした。結果は、低濃度のCNFはA549の増殖を刺激する可能性があるのに対し、高濃度は中程度の毒性があることを示した。さらに、炎症性サイトカインIL-1βは共培養培地で検出されず、免疫毒性がないことを示唆した。CNF処理は、A549にかなりのレベルのDNA損傷を誘発しなかったが、1.5および3 µg/cm2で小核形成を引き起こした。これらは、このタイプのCNFが、異数性または染色体異常誘発メカニズムを介して遺伝子毒性があることを示唆している。注目に値するのは、細胞の悪性形質転換に関連する事象である細胞の異常増殖と遺伝子毒性が、より現実的で、例えば職業環境でのヒトへの暴露に関連する低CNF濃度レベルで観察されたことである。 Ventura et al.
2-11 2018 CNF vitro Fabrication of cellulose nanofibers from waste brown algae and their potential application as milk thickeners 褐藻類(Brown algae; BA)の廃棄物からアルギン酸抽出後にセルロースを単離し、重量平均分子量(Mw)2.69 × 10^5のセルロースであることを実証した。また、SEM観察の結果、BAセルロースはBA中にナノファイバーとして存在していることが確認された。その後、BAセルロースをNaClOで酸化することで、水中によく分散したセルロースナノファイバーを得た。TEMおよびAFMの結果、BAセルロースナノファイバーの幅、長さ、アスペクト比の平均値はそれぞれ4 nm、1.1 μm、275であることが確認された。水中でのナノファイバー懸濁液のレオロジー挙動は、その高い粘度とせん断減粘挙動を示した。さらに、BAセルロースナノファイバーは、水素結合によってカゼインミセルを吸収し、弱いゲル状構造を形成するため、牛乳中で優れた増粘挙動を示した。また、COS-7細胞を用いたMTT試験により、ナノファイバーの安全性と良好な生体適合性が確認された。豊富な海洋生物資源から得られるセルロースナノファイバーは、食品産業への応用が期待される。本研究は、食品用増粘剤として高アスペクト比の生理活性セルロースナノファイバーを作製する新たな道を拓いた。 Gao et al.
2-12 2018 CNF vitro Fabrication and cytotoxicity assessment of cellulose nanofibrils using bassia eriophora biomass Bassia eriophoraのバイオマスからセルロースナノフィブリル(CN)を作製し、その構造と形態を透過型電子顕微鏡で調べたところ、直径15-40 nmの2-6 μm長のフィブリル構造が確認された。CNの生体適合性は、細胞生存率測定、AO/EB染色、Hoechst染色、JC-1染色、遺伝子発現解析など、in vitroベースのアッセイを用いて評価した。ヒト間葉系幹細胞(hMSCs)の細胞および核の形態を評価した結果、CNは細胞生存性および形態に影響を与えないことが示された。またJC-1染色の結果、CNはhMSCsのミトコンドリア膜電位に影響を与えないことが明らかとなった。細胞ベースのin vitroアッセイにより、CNは高濃度でも生体適合性があることが明らかになった。細胞周期制御遺伝子発現に対する CN の影響を調べた結果、CCND1 と CCND3 の遺伝子発現量はコントロールと比較してわずかに増加することが示唆された。しかし、CCNG1、 CYCS3、 CCNC1 遺伝子の発現量には有意な差は見られなかった。この結果は、CNが組織工学や再生医療に利用できることを示唆している Athinarayanan et al.
2-13 2018 CNF vitro Cell interactions and cytotoxic studies of cellulose nanofibers from curaua natural fibers セルロースナノファイバー(CNF)をクラウア繊維(Ananas erectifolius L. B. Smith)から機械粉砕で分離した後、マイルドな化学処理を施した。繊維の形態と表面特性は、長く柔軟なナノファイバーとしてナノスケールに達するまで追跡された。水性懸濁液中では、SAXS(X線小角散乱)技術により、このナノファイバーがねじれたリボン構造を持つことが明らかになった。また、レオロジー測定により、このナノファイバーが高い粘性とチクソトロピックな挙動を示すことが明らかになった。得られた材料は、Vero細胞を用いた細胞生存率および細胞形態に関する直接的および間接的なアッセイによって、いかなる細胞毒性の兆候も示さなかった。さらに、接着試験において、細胞はCNF表面により高い親和性を示した。これは、その表面特性と、有害な化学物質を一切使用しない入手条件に関連していると考えられる。 Souza et al.
2-14 2018 CNF vitro Cellulose nanofibers produced from banana peel by chemical and mechanical treatments: characterization and cytotoxicity assessment 化学的処理(アルカリ処理、漂白、0.1、1、10%H2SO4での酸加水分解)および機械的処理(高圧ホモジナイザー)により、バナナ果皮からセルロースナノファイバー(CNF)を単離した。原子間力顕微鏡(AFM)分析で、すべての処理でバナナ繊維がナノメートル単位(平均直径3.72 nm)で効果的に分離されることが確認された。CNFは-37.60〜-67.37mVのζ-電位値を示し、凝集を防いだ。CNFは63.1%から66.4%の高い結晶化度を示し、優れた補強剤となることが示された。FTIRの結果から、化学的および機械的処理により非晶質部分が除去されていることが確認された。細胞毒性については、低濃度のCNF(50-500μg/mL)は細胞死を引き起こさなかったが、1000μg/mL以上の濃度のCNFは細胞生存率を有意に低下させた。異なる硫酸濃度を用いることで、処理方法とCNFの特徴についてより詳細な知見が得られ、CNF製造プロセスの改良に役立つ可能性がある。化学的および機械的処理の組み合わせは、高分子マトリックス(例えば、食品包装)の潜在的な補強剤としてバナナの皮からCNFを調製するための効率的な戦略であることが証明された。 Tibolla et al.
2-15 2017 CNF
CNC
vitro Fibrillar vs crystalline nanocellulose pulmonary epithelial cell responses: cytotoxicity or inflammation? CNCとNCFの細胞毒性の比較を目的として、A549細胞をゲル状/パウダー状等性質の異なる5種類のナノセルロース粒子に24時間および72時間暴露し、特性の違いが細胞毒性、酸化ストレス、サイトカイン分泌等の細胞影響にどのように寄与しているかを調べた。この結果、細胞毒性および酸化ストレス応答に関して、NCFはCNC粒子よりも毒性が高いことが示された。しかし、CNCに暴露すると、NCFに比べて炎症性サイトカイン/ケモカインが有意に上昇し、炎症応答が引き起こされた。特異的セルロース染色を使用してA549への取り込みを観察した結果、NCF 粉末および NCF ゲルの細胞への取り込まれは認められず、CNC粉末およびCNC粒子が細胞に取り込まれることを明らかにした。さらに、炎症性サイトカインのクラスタリング解析により、NCFはカーボンナノファイバーへの応答に、またCNCは免疫調節物質および自然免疫細胞活性化物質として知られるキチンへの応答に類似していることが分かった。結論として、フィブリル型と単結晶型のナノセルロースの明確な違いが明らかになり、ナノセルロースの物理化学的特性がその毒性を決定する上で重要であることが示された。 Menas et al. 
2-16 2017 CNF vitro Cytotoxicity screening and cytokine profiling of nineteen nanomaterials enables hazard ranking and grouping based on inflammogenic potential マクロファージ化したTHP-1細胞を用いて19 種類の代表的な工業ナノ材料(ENM)について、サイトカインプロファイリングを行った。その結果、MWCNT、ZnO、Ag、およびSiO2ナノ粒子が最も細胞毒性があることが分かり、単層CNT、TiO2、BaSO4、CeO2ナノ粒子、およびCNFを含むナノセルロース材料は、最大暴露濃度100 µg/mLにおいても細胞毒性は示さなかった。サイトカイン反応の階層的クラスタリングとパスウェイ分析により、ENMのパネルは、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)/LXR(肝臓X受容体/レチノイドX受容体)核受容体経路(NRP)の活性化と不活性化によって特徴づけられる2つの異なるグループに分けられることが実証された。これらの結果より、多様な化学組成のENMは、その炎症誘発性によってグループ化できることが示された。 Bhattacharya et al.
2-17 2017 CNF vitro
vivo
Genotoxic and inflammatory effects of nanofibrillated cellulose in murine lungs TEMPO酸化ナノフィブリル化セルロース(NFC; 長さ300〜1000 nm、太さ10〜25 nm)を用いて、単回咽頭吸引したマウスにおいて、局所的に肺で、または全身的に骨髄で遺伝毒性について調べた。C57Bl/6雌マウスを4つの異なる用量のNFC(10、40、80、および200 µg/マウス)で処理し、24時間後にサンプルを収集した。DNA損傷は、気管支肺胞洗浄(BAL)液と肺細胞のコメットアッセイ(DNAの損傷・修復の過程で切断されたDNAを電気泳動により検出する試験)によって評価し、染色体損傷は骨髄赤血球小核アッセイによって評価した。炎症は、BAL細胞数とサイトカインおよび肺の組織病理学的変化の分析によって評価した。肺細胞では2つの低用量のNFCでDNA損傷の有意な誘導が観察されたが、BAL細胞の増加は見られなかった。骨髄小核アッセイではその影響は検出されなかった。NFCは、TNF-α、IL-1βおよびIL-6、CXCL5のmRNA発現の用量依存的な増加とともに、炎症細胞の肺への動員を増加させた。しかしながら、それぞれのタンパクのレベルに影響はなかった。組織学的分析は、気管支、肺胞、およびマクロファージの細胞質におけるいくつかのNFCの用量に関連した蓄積を示した。さらに、肺胞肺腔における好中球の蓄積が用量の増加とともに観察された。これらは、咽頭吸引によって投与されたNFCが、肺に急性炎症反応とDNA損傷を引き起こしたが、骨髄には全身性の遺伝毒性を引き起こさなかったことを示している。しかし、応答が一時的であるか、あるいは長期間持続する可能性があるかは判断できなかった。 Catalán et al.
2-18 2017 CNF vitro In vitro biological responses to nanofibrillated cellulose by human dermal, lung and immune cells: surface chemistry aspect ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)、ヒト肺細胞(MRC-5)、ヒト単球由来細胞(THP-1)がナノフィブリル化セルロース(NFC)ゲルに暴露された場合に誘発されるin vitroの生物学的反応を評価した。さらに、NFC上の表面荷電基(カルボキシメチルおよびヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム基)の存在が、明確な生物学的応答を誘発するか検討した。未修飾および修飾NFCゲルは、HDF、MRC-5およびTHP-1に細胞毒性を誘発しなかった。THP-1による有意なROS産生は見られず、細胞への取り込みは観察されなかった。しかしながら、未修飾のNFCで処理されたTHP-1においてTNF-αおよびIL1-βの増加が検出された。これらは、表面荷電グループがNFCに導入された場合には認められなかった。以上の結果は、未修飾、カルボキシメチル化、およびヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム修飾NFCへの暴露により細胞毒性効果がないことを示唆した。また、未修飾のNFCは、炎症誘発性を示したが、カルボキシメチル基やヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム基などの表面修飾をナノフィブリルに導入することで、炎症誘発性は緩和できると考える。筆者らは、これらの結果は、NFCに対する炎症反応が材料表面の化学的性質によって引き起こされる可能性を示唆し、安全なナノセルロース材料を設計する可能性を開くものとしている。 Lopes et al.
2-19 2017 CNF
CNC
vitro Establishing the safety of novel bio-based cellulose nanomaterials for commercialization OECD TG439に準拠し、BioPlus®リグニン被覆フィブリル(L-CNF)および BioPlus®リグニン被覆結晶(L-CNC)を被験材料に、皮膚刺激性を評価した。この結果、L-CNFおよび L-CNCは、GHS(The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals;化学品の分類および表示に関する世界調和システム)により、非刺激性に分類された。 Ong et al.
2-20 2016 CNF vitro In vitro toxicity evaluation of lignin-(Un)coated cellulose based nanomaterials on human A549 and THP-1 cells A549細胞に加えて、マクロファージ化したTHP-1細胞に対して、機能的および形態的なバリエーションを持つ、CNFを含む様々なセルロース系ナノ材料(CNM)の生物学的反応を評価した。A549細胞はCNMに暴露しても細胞毒性反応をほとんど示さなかったが、THP-1細胞は特にCNCとリグニンコーティングされたCNFに対して細胞毒性、細胞膜障害および炎症反応への感受性が高くなった。しかし、いずれのCNMも、陽性対照として用いた繊維状クロシドライトアスベストまたは炎症性微生物細胞壁成分であるLPSと比較して、低毒性であることが判明した。階層的クラスタリング法を用いてこれらの生物学的反応を解析した結果、様々なCNMの(非)類似性を識別することができた。また、細胞毒性と CNM の表面特性との間に相関は認められなかった。結論として、CNM の毒性を評価するためには、CNM の由来と特性に加え、CNM の認識・取り込みにおける細胞種の差異と、外部刺激に応答する固有の能力が重要であることを示している。 Yanamala et al. 
2-21 2016 CNF
CNC
vitro Producing ultrapure wood cellulose nanofibrils and evaluating the cytotoxicity using human skin cells CNFは、創傷治癒材料として提案されているが、FDAが求めているエンドトキシンレベルによってその利用が制限されている。本研究では、TEMPO酸化後に水酸化ナトリウムを使用して、エンドトキシンレベルが45EU/gとなる超高純度CNFを生成する方法を開発し、走査型透過電子顕微鏡により高度にナノフィブリル化された構造(横幅:3.7±1.3 nm)を明らかにした。正常ヒト皮膚線維芽細胞およびヒト表皮ケラチノサイトに対する細胞毒性および代謝活性の評価を行った結果、50 μg/mLのCNF分散は細胞に影響を与えなかった。 CNF-エアロゲルは、線維芽細胞とケラチノサイトによる代謝活性の低下を誘発したが、有意な細胞死は誘発しなかった。CNF曝露には、27種類のサイトカインの誘導はなかった。エアロゲルの保湿能力は、市販の創傷被覆材(〜2500 %)と比較して比較的高く(〜7500 %)、中程度から大量の滲出液を伴う創傷管理用の包帯材料として有望である。 Nordli et al. 
2-22 2015 CNF
CNC
vitro Cytocompatibility and immunomodulatory properties of wood based nanofibrillated cellulose CNFは、その特殊な生体力学的特性、表面化学、優れた生体適合性、および低毒性により、ユニークで有望な天然材料であり、最近、生物医学的用途で大きな注目を集めている。ただし、生物におけるそれらの長い生体持続性は免疫反応を引き起こす可能性があり、CNFのこの側面はこれまで研究されていないため、in vitroでのCNFの細胞適合性と免疫調節特性を調べて比較を行った。 CNF(直径10〜70 nm、長さ数ミクロン)は、機械的細動と高圧均質化によってノルウェートウヒ(Picea abies)から調製された。 L929細胞、ラット胸腺細胞、またはヒト末梢血単核細胞(PBMNC)をCNFで培養した。 6つの濃度のCNF(31.25 µg/mL–1 mg/mL)はいずれも、L929細胞に細胞毒性と酸化ストレスを誘発せず、胸腺細胞とPBMNCの壊死とアポトーシスを誘発しなかった。高濃度(250 µg/mL–1 mg/mL)は、増殖阻害の結果として、L929細胞の代謝活性をわずかに阻害した。同じ濃度のCNFは、T細胞マイトジェンであるフィトヘマグルチニンへのPBMNCの増殖を抑制し、その過程でIL-2とインターフェロン-γの産生がダウンレギュレーションされた。最高濃度のCNFはIL-17Aを阻害したが、IL-10およびIL-6の産生を増加させた。炎症誘発性サイトカイン、IL-1βおよび腫瘍壊死因子-α、ならびにTh2サイ​​トカイン(IL-4)の分泌は変化しなかった。結論として、現在のISO基準によれば、これらのCNFは非炎症性および非免疫原性の特性を備えた細胞適合性ナノ材料であることを示唆している。高濃度は免疫系に対して寛容原性であるように思われ、移植可能な生体材料にとって非常に望ましい特性である。 Colić et al. 
2-23 2014 CNF vitro Translational study between structure and biological response of nanocellulose from wood and green algae セルロースフィルムの細胞適合性に対するナノ構造の影響を分析し、表面修飾ミクロフィブリル化セルロース(MFC)およびCladophora(シオグサ)ナノセルロース(CC)の物理化学的特性が材料の細胞適合性にどのように影響するかについて検討した。 CCは、TEMPOを介した酸化とGlycidyltrimethylammonium chloride(EPTMAC)凝縮によって修飾され、それぞれアニオン性とカチオン性のナノセルロースサンプルが得られた。一方、アニオン性とカチオン性のMFCサンプルは、それぞれカルボキシメチル化とEPTMAC凝縮によって得られた。未修飾、アニオン性およびカチオン性のMFCおよびCCのフィルムは、真空ろ過によって調製され、比表面積、細孔径分布、結晶化度、表面電荷、および含水量の観点から特徴付けられた。間接接触細胞毒性試験では、ヒト皮膚線維芽細胞にフィルムの培地抽出物を暴露した。また、細胞接着と生存率を直接接触試験で評価し、細胞の挙動に対する物理化学的特性の影響について議論した。間接接触細胞毒性試験では、有毒な浸出物は検出されず、CCおよびMFC材料は、受けた化学処理とは関係なく、非細胞毒性であることを示した。直接接触試験では、カルボキシメチル化-MFCが、未修飾およびトリメチルアンモニウム-MFCに比べ、より細胞適合性のプロファイルを持つことを示した。TEMPO–CCは線維芽細胞の接着を促進し、組織培養材料Thermanoxで得られた結果に匹敵する細胞生存率を示した。 Hua et al.
2-24 2014 CNF vitro Characteristics and safety of nano-sized cellulose fibrils 細かく粉砕されたフィブリル化セルロースを、別々のサイズの画分に分画し、ヒトへの毒性を調べた。走査型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡などの最先端の方法で実施された形態学的研究は、得られた画分が長く細いフィブリルだけでなく、より大きなフィブリル凝集体からなり、球状粒子が存在することを示した。最も細かい画分は、in vitro RNA阻害試験の結果、亜致死的な影響を示さず、またAmes試験での遺伝毒性の兆候もなかった。線虫を用いたin vivo試験でも影響は見られなかった。in vitro最大耐用量試験では細胞毒性効果は見られなかったが、in vitro総タンパク質含有量試験では、最高試験濃度でいくらかの細胞毒性の兆候が観察された。これらの試験結果は、特にin vivo試験を重点を置きながら、毒性が観察されなかった他の毒性試験と関連して取り組むことが重要である。これら総合的な毒性解析は、ナノスケールのセルロースフィブリルがヒトに対して安全であると見なすことができるという結論を支持するが、これらの結果を一般化してナノセルロースが明確に安全であると宣言する前に、細胞毒性試験の結果が陽性である理由や、試料保存に使用した殺生物剤が毒性試験に及ぼす影響について明らかにする必要がある。 Pitkänen et al.
2-25 2013 CNF vitro Cytotoxicity and expression of genes involved in the cellular stress response and apoptosis in mammalian fibroblast exposed to cotton cellulose nanofibers CNFの細胞毒性と、in vitroで培養された線維芽細胞の遺伝子発現に対する影響を評価した。細胞生存率はフローサイトメトリーアッセイによって分析した。細胞ストレス応答に焦点を当てた熱ショックタンパク質70.1(HSP70.1)やペルオキシレドキシン1(PRDX1)、およびアポトーシスに焦点を当てたB細胞白血病(BCL-2)およびBCL-2X関連タンパク(BAX)の遺伝子発現を RT-PCRで分析した。 低濃度のCNF(0.02〜100 μg/mL)は細胞死を引き起こさなかった。ただし、200 μg/mLを超える濃度では、ナノファイバーは細胞生存率を大幅に低下させた(86.41±5.37 %)。高濃度のCNF(2000および5000 μg/mL)にさらされると、HSP70.1、PRDX1、およびBAX遺伝子の発現が増加した。これより、本試験の条件下において、高濃度(2000および5000 μg/mL)のCNFが細胞生存率の低下を引き起こし、ストレスおよびアポトーシスに関連する分子マーカーの発現に影響を与えると結論付けた。 Pereira et al. 
2-26 2013 CNF vitro Cytotoxicity tests of cellulose nanofibril-based structures 本研究で使用したCNFは、ユーカリとラジアータパインのパルプ繊維に由来する。細胞毒性試験では、線維芽細胞(3T3細胞)に急性毒性現象を及ぼさないことが分かった。細胞膜、細胞ミトコンドリア活性、およびDNA増殖は変化しなかった。一部のサンプルは、架橋剤のポリエチレンイミン(PEI)または界面活性剤の臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)を使用して修飾した。CTABで修飾されたサンプルは、細胞の生存、生存率、増殖に悪影響を与える明らかな毒性挙動を示した。CTABは抗菌成分であるため、この結果は予想通りであった。PEIで架橋されたサンプルでも、細胞生存率が大幅に低下し、DNA増殖が低下した。ニートなセルロースナノ構造材料は、線維芽細胞に対して毒性がないと結論付けた。これらの結果は、木材パルプ繊維からのナノフィブリルに基づくナノ構造材料は、再生医療および創傷治癒の基質として有望と考える。 Alexandrescu et al.
2-27 2012 CNF vitro Evaluation of the genotoxicity of cellulose nanofibers ナノファイバーの安全性に関する予備情報を得るため、染色体異常およびコメットアッセイによる遺伝毒性試験を行った。この結果、ナノファイバーは使用する細胞の種類に応じて異なる応答を誘発した。植物細胞(Allium cepaの根)では、最も遺伝毒性の高いナノファイバーは、緑、白、茶色の綿とクラウア(curaua)に由来するものだった。動物細胞(リンパ球と線維芽細胞)では、茶色の綿とクラウアに由来するナノファイバーで遺伝毒性が観察された。重要な発見として、ruby cotton ナノファイバーは、使用された細胞型で有意なDNA切断を引き起こさなかったことを明らかにした。 de Lima et al.
2-28 2011 CNF vitro Investigating the interaction of cellulose nanofibers derived from cotton with a sophisticated 3D human lung cell coculture エアロゾル化されたセルロースナノファイバーの潜在的な毒性についてはほとんど知られていない。ヒト上皮気道バリアの3Dのin vitro共培養細胞モデルを使用して、綿から分離されたセルロースナノファイバー(CCN)は、多層CNT(MWCNT)およびクロシドライトアスベスト繊維(CAF)よりも有意に低い細胞毒性と炎症誘発性応答が観察された。電子断層撮影分析は、CCNの細胞内局在がMWCNTとCAFの両方のそれとは異なることを明らかにし、ヒト肺共培養細胞との相互作用におけるそれぞれの異なるナノファイバータイプ間の根本的な違いを示した。したがって、本研究で示されたデータは、長さと剛性がナノファイバーの潜在的な有害な(生物学的)影響を決定するだけでなく、使用される材料がナノファイバーと細胞の相互作用に大きな影響を与える可能性があることを示唆している。 Clift et al.
2-29 2011 CNF vitro Health and environmental safety aspects of friction grinding and spray drying of microfibrillated cellulose 白樺由来セルロースの粉砕および噴霧乾燥中の空気中の粒子への労働者の曝露を評価した。摩擦粉砕機または噴霧乾燥機を使用したミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、通常の操作中に粒子への重大な暴露を引き起こさなかった。粉砕により少量の粒子が生成され、ほとんどがドラフトによって除去された。ダクトバルブを閉じたときに噴霧乾燥機が粒子を漏らしたが、正しく操作した場合、粒子への暴露は少ないか存在しなかった。産生されたMFCの健康影響を評価するために、マウスマクロファージとヒト単球由来マクロファージをMFCに曝露し、その後、細胞の生存率とサイトカインプロファイルを調べた。6時間および24時間の曝露後、マウスおよびヒトのマクロファージに対する炎症作用または細胞毒性の証拠は観察されなかった。これらの結果は、摩擦粉砕されたMFCは細胞毒性がなく、マクロファージの炎症系に影響を及ぼさないことを示唆している。さらに、生態毒性試験によりMFCの環境安全性を調べた。動的発光バクテリア試験で評価された急性環境毒性は、研究されたMFCで高いNOEC値(>100 mg/L)を示した。ただし、標準的な手順に従って試験を実施すると、MFCはDaphnia magnaの移動性を機械的に妨害した。 Vartiainen et al.
2-30 2009 CNF vitro BC nanofibres: in vitro study of genotoxicity and cell proliferation 酸と超音波処理を組み合わせてバクテリアセルロース(BC)から製造したBCナノファイバー(NF)の遺伝毒性を評価した。コメットアッセイおよびAmes試験の結果は、NFが試験条件下で遺伝毒性は陰性であることを示した。線維芽細胞とチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を使用した増殖試験では、細胞形態の変化は観察されなかったが、増殖速度のわずかな低下が見られた。 Moreira et al.
2-31 2021 CNF vitro ソーダ・アントラキノン蒸解スギパルプより酵素処理と湿式解砕で調製したセルロースナノファイバーの安全性評価試験 ソーダ・アントラキノン蒸解によって調製したスギパルプを原料とし、酵素処理とビーズミルを用いた湿式解砕(酵素・湿式解砕)によるCNFを被験材料として、Ames試験およびチャイニーズハムスター肺線維芽細胞株(CHL/IU細胞)を用いたin vitro染色体異常試験を行った。Ames試験では、6.86-5000 µg/plateの用量範囲でCNFを処理し、この結果、各試験菌株において代謝活性系の有無にかかわらず、陰性対照と比較して、復帰コロニー数の増加は認められなかった。また、in vitro染色体異常試験では、5 mg/mLを最高用量として、各培養系列における構造異常細胞および数的異常細胞(倍数体)の出現頻度は、いずれも陰性対照群と同程度であった。以上の結果より、試験条件下における当該CNFの遺伝子突然変異誘発性および染色体異常誘発性は、陰性と判断された。 下川ら
2-32 2021 CNF vitro タケパルプから得たセルロースナノファイバーの安全性評価:微生物を用いる変異原性試験,マウスリンフォーマTK試験,小核試験およびラットへの90日間摂取試験 ソーダ蒸解によって製造したタケパルプから酵素・湿式解砕法を用いて調製したCNFを被験材料として、Ames試験、チミジンキナーゼ遺伝子を用いた哺乳類細胞のin vitro遺伝子突然変異試験(マウスリンフォーマTK試験)およびCHL/IU細胞を用いたin vitro 小核試験を行った。Ames試験では、8.19-2000 µg/plateの用量範囲でCNFを処理し、この結果、各試験菌株において代謝活性系の有無にかかわらず、陰性対照と比較して、復帰コロニー数の増加は認められなかった。マウスリンフォーマTK試験では、6.25 µg/mLを最高用量として、いずれの用量においてもコロニー形成率および相対総増殖率(RTG)の低下は認められず、総突然変異頻度(T-MF)も有意な増加および用量依存性の頻度の増加は認められなかった。in vitro 小核試験では、5000 µg/mLを最高用量として、短時間処理法の代謝活性化および連続処理法ともに、小核を有する細胞の数を陰性対照群と比較した結果、有意な増加は認められなかった。以上の結果より、試験条件下における当該CNFの遺伝子突然変異誘発性は陰性であり、小核誘発性は陰性で染色体異常誘能を有さないと結論した。 下川ら
2-33 2022 CNF vitro 表面官能化およびサイズは、セルロースナノフィブリルの活性酸素種の形成および遺伝毒性効果を調節する 表面組成とサイズがヒト気管支上皮細胞(BEAS-2B)におけるCNFの遺伝毒性を調節できるかを評価するため、異なる表面化学を有する4種類のCNFの3つのサイズ分画、および非ナノサイズ材料として原料繊維を調べた。この結果、塩化エポキシプロピルトリメチルアンモニウムCNFの微細画分においてDNA損傷(コメットアッセイにより測定)および染色体損傷(小核アッセイにより測定)を誘導し、カルボキシメチル化CNFの微細画分において染色体損傷(小核アッセイで測定)を誘発した。これらの主な遺伝毒性作用メカニズムは ROS 生成によるものと考える。 Aimonen et al.
2-34 2022 CNF
CNC
vitro 多層カーボンナノチューブと比較したヒト肺細胞中のナノセルロースのin vitro毒性の分析 セルロースミクロフィブリル(CMF)、CNF、CNC等のセルロースマイクロ/ナノ材料(CMNM)の潜在的な毒性を評価することを目的に、A549細胞への暴露試験を実施した。CMNMとの比較対照として2種類のMWCNT、NM-401およびNM-402をA549細胞へ暴露し、細胞内移行性、細胞毒性および遺伝毒性を評価した。暴露後、CNCを除くすべての試験群で、透過型電子顕微鏡(TEM)による分析において、明らかな細胞への取り込みが確認された。しかし、MWCNTが細胞毒性を示したのとは対照的に、CMNMはいずれも細胞毒性を示さなかった。さらに、CNF、CNC、NM-402では遺伝毒性は観察されなかったが、CMFとNM-401は小核の頻度を有意に上昇させることが確認された。しかし、小核は誘発されなかったNM-402でのみ、暴露後の活性酸素の生成が確認されたため、観察されたCMFとNM-401の遺伝毒性が、酸化的DNA損傷を介したものである可能性は低いと考えられた。結論として、CNF/CMF はMWCNTと、TEM観察によって明らかになった細胞内残留性(内在性)および高アスペクト比という点で類似しているが、ヒト細胞において類似の毒性反応を引き起こさないことが示された。 Pinto et al.
2-35 2019 CNF vitro 化粧品産業応用のためのセルロースナノファイバー(Cnfs)の毒性評価 細胞毒性試験、および三次元培養モデルによる皮膚刺激性試験、眼刺激性試験を実施し、CNFの化粧品への応用を検討した(ただしCNFの種類については不明)。この結果、CNFはHaCaT細胞(≥156 µg/mL)およびHDF-α細胞(≥313 µg/mL)に対して有意に細胞毒性を誘導したが、三次元培養モデルに対して皮膚や眼に対する刺激性を誘発しなかった。以上より、CNFを化粧品材料として使用するためには、適切な濃度設定が必要であることが示唆された。 Kim et al.
  1. Review
  2. CNF/vitro
  3. CNF/vivo
  4. CNC/vitro
  5. CNC/vivo
3. CNF/vivo
# 発行年 CNF/CNC 試験 論文タイトル 要旨 引用文献
3-1 2021 CNF vivo Pulmonary inflammation following intratracheal instillation of cellulose nanofibrils in rats: comparison with multi-walled carbon nanotubes 0.5、1.0、または2.0 mg/kgの用量で3種類のCNFおよび多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を気管内注入した後、90日間にわたるラット肺の炎症への影響を特徴づけた。直径(7.0〜8.0 nm)と長さ(0.8〜1.0 µm)の分布がほぼ等しいリン酸化CNFと TEMPO酸化CNFは、投与後に炎症を誘発し、投与後90日で減弱した。機械的解繊CNFの投与後、終末細気管支の周囲に沈着した比較的厚い(21.2 nm)およびより長い(1.7 μm)CNFが観察された。機械的解繊CNFによって誘発された肺胞の急性炎症反応は、他の物質によって誘発されたものと比較して軽度であり、投与後90日で減弱した。MWCNTは試験期間中、重度の肺炎症反応を誘発し、炎症は投与後90日以内に減衰しなかった。階層的クラスター分析により、CNFの遺伝子発現プロファイルの同等性が明らかになったが、MWCNTのプロファイルは他の試験物質のプロファイルとは異なっていた。これらの結果は、肺の炎症がCNFの直径と長さの分布に関連しており、CNFによって引き起こされる肺の炎症はMWCNTと比較して軽度であることを示唆している。 Fujita et al.
3-2 2018 CNF vivo Nanofibrillated cellulose causes acute pulmonary inflammation that subsides within a month 4種類のNFCについて、マクロファージ細胞株および呼吸暴露によるマウスの免疫調節効果を調べ、その誘発効果をバルクサイズのセルロースおよびrCNTと比較した。この結果、(1)NFC材料はrCNTよりも炎症を引き起こす力が弱い、(2)NFC処理後に見られる免疫調節反応は、バルクサイズのセルロースと比較して同等または高い、(3)非官能化NFCは、アニオン性基で機能化したNFCよりもin vitroおよびin vivoで炎症反応を誘発しやすい、(4)NFC材料が少なくとも1ヶ月は肺に生体残留することが明らかにされた。 Ilives et al.
  1. Review
  2. CNF/vitro
  3. CNF/vivo
  4. CNC/vitro
  5. CNC/vivo
4. CNC/vitro
# 発行年 CNF/CNC 試験 論文タイトル 要旨 引用文献
4-1 2020 CNC vitro Enhanced morphological transformation of human lung epithelial cells by continuous exposure to cellulose nanocrystals 肺がんを誘発することが知られている繊維状透閃石(TF)と比較し、ヒト肺上皮細胞(BEAS-2B)を用いた木材(粉末とゲル)に由来する2種類のCNCの腫瘍様形質転換の可能性を評価した。CNCまたはTFによる細胞内ROSの増加とDNA損傷への短期間の曝露は、細胞増殖、足場非依存性の増殖、遊走および浸潤の増加によって示される腫瘍性のような形質転換をもたらした。増殖反応の増加は、炎症性サイトカインの観察されたレベルと一致しなかった。炎症性サイトカイン応答の階層的クラスタリング分析(HCA)では、CNC粉末はコントロールおよびCNCゲルと異なっていた。これは、CNCが肺上皮細胞の腫瘍様形質転換イベントに影響を与える可能性があること、およびその影響はCNCのタイプ/形態に依存していることを示唆している。 Kisin et al.
4-2 2019 CNC vitro Characterization and cellular internalization of spherical cellulose nanocrystals (CNC) into normal and cancerous fibroblasts 市販のアブラヤシの残渣物である空果房のセルロースナノファイバーから、酸加水分解によってセルロースナノクリスタル(CNC)を分離し、潜在的なナノキャリアとしての安全性を調査した。細胞取り込み研究では、球状CNCにFITCを共有結合でタグ付けし、FITC-CNCを生成した。MTTアッセイでは、CNCとFITC-CNCの両方で、C6ラット神経膠腫および最大50 µg/mLのNIH3T3正常線維芽細胞に対する細胞毒性が低かった。FITC結合は、粒子の毒性に寄与しなかった。共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)を介して、合成されたFITC-CNCはごくわずかな細胞蓄積を示し、研究対象の細胞への非選択的吸着エンドサイトーシスが不十分であることを示した。細胞毒性が低く、正常細胞および癌細胞に対する選択性が低い非標的CNCベースのナノスフェアの合成は、安全でターゲットを絞ったナノキャリアに開発するのに適していると考える。 Shazali et al. 
4-3 2019 CNC vitro Mechanisms of the immune response cause by cationic and anionic surfacefunctionalized cellulose nanocrystals using cell-based assays 機能化されたCNCによって引き起こされる免疫応答に関するメカニズムの違いと、表面電荷の役割について知るため、ヒトおよびマウスの炎症細胞における炎症性サイトカインの分泌、ミトコンドリア由来のROS、ミトコンドリア機能、抗酸化反応、および小胞体(ER)ストレスに対する、カチオン性のCNCs-poly(APMA)およびアニオン性のCNCs-poly(NIPAA m)誘導体の影響を調べた。カチオン性CNC-ポリ(APMA)は、マウス細胞株でより強力な免疫応答を引き起こしたが、アニオン性CNC-ポリ(NIPAA m)は、ヒト単球で有意なNLRP3インフラマソーム依存性および非依存性免疫応答を示した。さらに、CNCs-poly(NIPAA m)は、刺激されていない細胞で酸性小胞オルガネラ、ミトコンドリアROSの形成を促進し、CNCs-poly(APMA)は、主に細胞内ATPを減少させることによってミトコンドリア機能に影響を与えた。生物学的反応の違いは、CNCの表面電荷、および細胞内および細胞外の生体分子との相互作用の可能性に関連している可能性がある。 Despres et al. 
4-4 2019 CNC vitro Cellulose nanocrystals prepared from wheat bran: characterization and cytotoxicity assessment 硫酸加水分解によって小麦ふすまから調製されたCNCの形態、表面電荷、収率、構造、熱安定性、物理化学的特性、および細胞毒性に対する加水分解時間の影響を調査した。結果は、非セルロース成分が精製プロセスによって広範囲に除去されたことを示した。透過電子顕微鏡により、得られたCNCがさまざまな寸法の針状の形状を示していることが確認した。CNC懸濁液のゼータ電位値は-36.5〜-39.8 mVの範囲であった。最高の結晶化度(70.32%)のCNCで60分の加水分解時間が得られた。CNCの熱安定性は、加水分解時間が長くなるにつれて低温にシフトした。さらに、得られたCNCは、興味深い物理化学的特性(水/油の保持能力と重金属への吸着能力)と優れた生体適合性を示し、ナノコンポジットの製造の強化としての大きな可能性を示唆した。 Xiao et al. 
4-5 2019 CNC vitro In vitro toxicity assessment of hydrogel patches obtained by
cation-induced cross-linking of rod-like cellulose nanocrystals
Na+、Ca2+、Mg2+は、CNCの架橋剤として使用されてきた。この材料とその前駆体の生物学的安全性は、細胞培養でin vitroで評価した。形態学的変化、細胞小器官の完全性、およびMTTアッセイによる細胞生存を調べた。CNCは安全な前駆体材料であることが実証され、CNC-HMは過剰な陽イオン、特にCa2+が除去されれば、優れた生体適合性を備えていた。これらの結果は、CNCは透明なヒドロゲルパッチなどの生物医学装置の製造に安全に使用できることを示しているが、製造手順には注意を払う必要がある。 Meschini et al. 
4-6 2019 CNC vitro Synthesis, characterization and cytotoxicity studies of nanocrystalline cellulose from the production waste of rubber-wood and kenaf-bast fibers 生のラバーウッド繊維(RRaw)と生のケナフ靭皮繊維(KRaw)から、アルカリ化処理、過酸化水素漂白によってナノ結晶セルロース(NCC)を調製した。マクロファージ(RAW264.7)およびHaCaT細胞を用いた細胞毒性試験では、NCCが700 µg/mLまでの曝露濃度において、細胞毒性を示さなかった。 Duolikun et al. 
4-7 2018 CNC vitro Cellulose nanocrystals from grape pomace: production, properties and cytotoxicity assessment 化学的および物理的前処理によりブドウ搾りかすから、CNCを得た。CNCの毒性は、Caco-2細胞をCNC懸濁液に曝露し、それらの生存率を評価することによって評価した。結果は、CNCが無毒であり、食品および製薬用途での使用の機会を開くことを示した。 Coelho et al.
4-8 2018 CNC vitro Synthesis, 99m Tc-radiolabeling, and biodistribution of new cellulose nanocrystals from Dorema kopetdaghens Dorema kopetdaghens (Dk)の根から硫酸加水分解法により、CNCを作製し、XRD, FTIR, TGA/DTGによって構造解析を実施した。XRDの結果、CNCの結晶構造は、結晶化度指数83.20%、サイズ4.95 nmのセルロースであることが判明した。FTIRスペクトルの結果、得られた試料はセルロース類であることが示された。CNCの熱特性は、未処理の根に比べ、低い熱安定性を示している。FESEM、TEM、AFM の形態学的解析により、ナノ粒子は球状を呈していることが示唆された。また、A549細胞株に対するCNCの細胞毒性は、全く認められなかった。99mTc-CNCの標識効率は98%以上であり、放射能の生体内分布は腎臓と血液循環に多く取り込まれていることが確認された。したがって、低コストの副産物をCNCのような有益な物質に変換し、バイオイメージング用途に利用することが可能である。 Kamelnia et al.
4-9 2017 CNC vitro Effect of surface organic coatings of cellulose nanocrystals on the viability of mammalian cell lines CNCの表面コーティングの効果と有機部分のそれぞれの用量反応が細胞生存率に及ぼす影響を、哺乳類細胞培養(J774A.1およびMFC-7)で評価した。表面処理したCNCを24時間曝露した細胞は、細胞生存率、膜透過性、および細胞形態に大きな変化を示さなかった。暴露時間が長くなると、これらすべてのパラメータがいくらか影響を受けたが、この研究で使用したCNCのアニオン性またはカチオン性の表面処理とは相関していないようである。 Jimenez et al.
4-10 2016 CNC vitro
vivo
Pulmonary exposure to cellulose nanocrystals caused deleterious effects to reproductive system in male mice CNC咽頭吸入から3か月後、精子濃度、運動性、細胞形態、および精子DNAの完全性が大幅に変化したことを報告した。これらは、精巣の炎症性サイトカインレベルとミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の上昇、および精巣と精巣上体の両方の酸化ストレスと相関していた。CNCの暴露は、間質性浮腫の存在、精子形成の停止と精母細胞の変性を伴う頻繁なジストロフィー精細管、およびテストステロンとLHのレベルの不均衡によって証明されるように、精巣構造への損傷を引き起こした。これらの結果は、CNCへの肺暴露が精母細胞/精子に持続的な有害作用を誘発することを示しており、男性の生殖毒性を示唆している。 Farcas et al.
4-11 2016 CNC vitro Hybrid materials for bone tissue engineering from biomimetic growth of hydroxiapatite on cellulose nanowhiskers 異なる表面組成のセルロースナノウィスカー(CNW)を使用し、生体模倣成長ヒドロキシアパタイト(HAp)を生成した。ハイブリッド材料は、主にHAp含有量が24%未満のCNWで構成されている。ハイブリッド材料の生物活性と生体適合性は、線維芽細胞(L929)を使用した細胞生存率研究によって評価した。生体模倣法から得られた材料は、24時間のインキュベーション期間で湿式化学沈殿法によって合成された材料と比較して、優れた生体適合性/生物活性を持っていた。 Fragal et al.
4-12 2016 CNC vitro
vivo
Gender differences in murine pulmonary responses elicited by cellulose nanocrystals 吸入可能な(吸入性)CNCへの反復暴露によって誘発された肺の影響を調査するため、C57BL/6雌雄マウスを用いて咽頭吸引によりCNC(40 µg/マウス)に週2回、3週間暴露し、いくつかの生化学的エンドポイントと病態生理学的結果が遺伝子発現の変化を比較した。吸入性CNCへの暴露は、肺の炎症と損傷を引き起こし、酸化ストレスを誘発して肺のTGF-βとコラーゲンのレベルを上昇させ、肺機能を損なった。これらの影響は、雌マウスで顕著であった。CNCへの肺暴露に対する反応の性差は、炎症性サイトカイン/ケモカイン活性と同様に、網羅的なmRNA発現のレベルでも検出された。雌マウスでより高い肺毒性が観察された本結果は、性別によって、吸入性CNCへの反応にかなりの違いがあることを示している。 Shvedova et al.
4-13 2015 CNC vitro Fate of cellulose nanocrystal aerosols deposited on the lung cell surface in vitro 上皮気道バリアの多細胞in vitroモデルに対し、CNCをエアロゾル曝露し評価した。ローダミン標識した綿(c-CNC、237±118×29±13 nm)および被嚢類(t-CNC、2244±1687×30±8 nm)から分離したCNCは、その長さのため、異なる取り込みすることが分かった。興味深いことに、長いt-CNCは、短いc-CNCと比較して、肺細胞モデルによるクリアランスが低いことがわかった。この違いは、t-CNCではファイバー間の相互作用が強いことに起因する可能性があると考える。ナノファイバーの長さと濃度は、in vitroでの肺細胞との相互作用に大きな影響を及ぼすと結論する。 Endes et al.
4-14 2015 CNC vitro Cellulose nanocrystal cationic derivative induces NLRP3 inflammasome-dependent IL-1βsecretion associated with mitochondrial ROS production マウスマクロファージ細胞株(J774A.1)に対し、未修飾のCNCとそのカチオン性誘導体CNC-AEM(アミノエチルメタクリレート)を含む50 mg/mLで24時間刺激した。また、J774A1またはPBMC(末梢血単核細胞)をLPS(リポ多糖)の存在下または非存在下でCNC-AEMA2で刺激した。ミトコンドリアの活性酸素種(ROS)と細胞外ATPは、CNC-AEMA2で処理された細胞内で有意に増加した。これは、非プライミング細胞でのIL-1β分泌に対する最も強い効果と相関していた。CNC-AEMA2は、LPSプライムおよび非プライムPBMCでもIL-1β分泌を誘導した。これらは、CNC-AEMA2によって誘発されるミトコンドリアのROSとATPの放出の増加が、免疫応答を誘発する能力と関連している可能性があることを示唆している。新たに合成されたカチオン性セルロースナノ結晶誘導体であるCNC-AEMA2が免疫原性を有し、ワクチンの新規アジュバントとして、無毒で安全なナノ材料の開発につながる可能性があるという最初の証拠を示している。 Sunasee et al.
4-15 2015 CNC vitro Cellulose nanocrystals with tunable surface charge for nanomedicine† カルボキシル含有量が6.6〜1.7 mmol/gの針葉樹パルプの単一サンプルから、さまざまな表面カルボキシル含有量のナノ結晶の6つの画分を合成し特性評価した。これらの方法は、高塩濃度または血清含有培地に曝露されたときに凝集せず、非常に安定したコロイド状ナノ結晶をもたらした。これらの画分と4つの異なる組織細胞株との相互作用を、広範囲の濃度で調査した結果、細胞株によるナノ結晶の取り込みを確認した。ただし、3.9 mmol/gを超える電荷含有量では、ミトコンドリア活性の電荷依存性の低下が観察された。高い表面カルボキシル含有量により、コロイドの安定性を損なうことなく、フルオロフォアをナノ結晶に容易に結合させることができた。フルオレセインアミン結合ナノ結晶の細胞取り込みは、時間と用量に依存する関係を示し、表面電荷が2倍になると大幅に増加した。 Hosseinidoust et al. 
4-16 2015 CNC vitro Genotoxic and immunotoxic effects of cellulose nanocrystals in vitro CNC(平均フィブリル長135 nm、平均幅7.3 nm)と市販の微結晶(非ナノスケール)セルロース(MCC; 粒子サイズ〜50 µm)の潜在的なin vitro遺伝毒性と免疫毒性を調べた。両試料は、ヒト気管支上皮細胞BEAS-2Bの4時間、24時間、および48時間の処理後に約100 µg/mLで55%の細胞毒性を示し、48時間の処理後(2.5〜100 µg/mL)、二核または単核のBEAS-2Bに小核の誘発は認められなかった。ヒト単球由来マクロファージにおいて、300 µg/mLの用量に6時間MCCを暴露した後、TNF-αおよびIL-1βの産生が認められたが、CNC(30〜300 µg/mL)では認められなかった。結論として、ナノサイズのCNCはこの試験条件下で遺伝毒性も免疫毒性も示さないが、非ナノサイズのMCCは炎症反応を誘発する可能性があることを示した。CNCや他のナノセルロースが炎症によって媒介される二次的な遺伝毒性作用を誘発するかは、in vivoでの研究が必要であるとした。 Catalán et al.
4-17 2014 CNC vitro An in vitro testing strategy towards mimicking the inhalation of high aspect ratio nanoparticles 高アスペクト比ナノ粒子(HARN)として、綿と被嚢類に由来するアスペクト比が異なる(〜9と〜80)CNC懸濁液を、「気液界面細胞曝露システム」(ALICE)を使用して、0.14〜1.57 μg/cm2の濃度でエアロゾル化した。各サンプル曝露後24時間の気液界面(ALI)でのヒト上皮気道バリアの3D多細胞in vitroモデルの生物学的影響(細胞毒性、酸化ストレスレベル、および炎症誘発性)を評価した。陽性対象として結晶石英(DQ12)と長繊維アモサイトアスベスト(LFA)の両方を使用し、繊維性傷害に対するin vitroモデルの感受性を検証した。この結果、CNCアスペクト比とは関係なく、1.57μg/cm2の最高濃度まで、有意な細胞毒性(p>0.05)、酸化ストレスの誘導、または炎症反応は観察されなかった。DQ12とLFAは、in vitroで致死量以下の濃度で有意な(p<0.05)炎症誘発性反応を誘発した。 Endes et al.
4-18 2014 CNC vitro Size- and dose-dependent toxicity of cellulose nanocrystals (CNC) on human fibroblasts and colon adenocarcinoma. CNCのサイズおよび濃度に依存する毒性影響について、2つの異なる細胞株、NIH3T3マウス胚線維芽細胞およびHCT116結腸腺癌に対して評価した。 Hanif et al.
4-19 2014 CNC vitro Commercialization of cellulose nanocrystal (NCCTM) production: a business case focusing on the importance of proactive EHS management. 近年、世界的な経済情勢の変化により、セルロースナノクリスタルのユニークな取り組みが始まった。セルロース繊維をマクロ成分とナノ成分に分解することで、用途が広がり、森林産業を変革する可能性のある、さまざまなユニークで魅力的な製品の開発の可能性がもたらされた。 O’Connor et al.
4-20 2014 CNC vitro In vivo evaluation of the pulmonary toxicity of cellulose nanocrystals: a renewable and sustainable nanomaterial of the future C57BL/6マウスを木材由来の2つの異なる加工形態のCNC、すなわちCNCS(10wt%; ゲル/懸濁液)とCNCP(粉末)の暴露によって引き起こされる肺の影響を、アスベスト誘発反応と比較した。CNCSおよびCNCPによる咽頭吸引後24時間において、気管支肺胞洗浄(BAL)液中の白血球および好酸球の増加により、炎症反応の促進が認められた。組織損傷のバイオマーカーは、CNCPに暴露されたマウスでより高く上昇した。CNCPと比較して、CNCSは酸化的に修飾されたタンパク質の蓄積を大幅に増加させた。炎症性サイトカイン産生の増加は、CNCS吸入後の肺でより高くなった。最も重要なことは、CNCP材料がCNCSよりも大幅に長かったことである。同じ木材由来にも関わらず、CNCの粒子形態とナノサイズの寸法が自然免疫炎症反応のタイプに影響を与える重要な要因である可能性を示唆している。 Yanamala et al.
4-21 2014 CNC vitro Synthesis of cellulose nanocrystals carrying tyrosine sulfate mimetic ligands and inhibition of alphavirus infection 綿繊維または濾紙のいずれかから調製されたセルロースナノ結晶について、Vero細胞のアルファウイルス感染性の阻害効果をテストした。V​​A7-EGFPウイルスベクターを発現する蛍光マーカーをCNCと培養すると、綿繊維または濾紙のCNCでそれぞれ最大100%と88%のウイルス感染性の強力な阻害した。CNCの表面硫酸基をチロシン硫酸模倣基(フェニルスルホン酸塩)と交換すると、ウイルス阻害が改善された。CNC表面への標的特異的機能の結合がそれらの抗ウイルス活性を制御する手段を提供することを示唆している。多価CNCは、100%のウイルス阻害濃度内であっても、Vero細胞またはヒト角膜上皮(HCE-T)細胞に対して観察可能なin vitro細胞毒性を引き起こさなかった。これらの結果は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)や単純ヘルペスウイルスなどの他のウイルスの阻害剤としてのCNCの潜在的な応用を示唆している。 Zoppe et al.
4-22 2013 CNC vitro Injectable polysaccharide hydrogels reinforced with cellulose nanocrystals: morphology, rheology, degradation, and cytotoxicity カルボキシメチルセルロースとデキストランをベースに、剛性の棒状セルロースナノ結晶(CNC)とアルデヒド官能化CNC(CHO–CNC)で強化された注射用ヒドロゲルを調製し、特性評価した。ヒドロゲルまたはそれらの個々の成分について、NIH3T3線維芽細胞に対する有意な細胞毒性は観察されなかった。 Yang et al.
4-23 2012 CNC vitro Cytotoxicity and cellular uptake of cellulose nanocrystals 棒状の植物由来CNCを、9つの異なる細胞株(HBMEC、bEnd.3、RAW 264.7、MCF-10A、MDA-MB-231、MDA-MB-468、KB、PC-3、およびC6)に対する細胞毒性を、MTTおよびLDHアッセイによって測定した。0〜50 μg/mL、48時間暴露条件で、これらの細胞株のいずれに対しても細胞毒性効果を示さなかった。また、蛍光標識CNCの細胞取り込みは最小限であった。細胞毒性の欠如と低い非特異的細胞取り込みは、CNCがナノ医療への応用に役立つと考える。 Dong et al.
4-24 2012 CNC vitro Probing inhibitory effects of nanocrystalline cellulose: inhibition versus surface charge ナノクリスタルセルロース(NCC)を2つの異なる細胞株、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda, Sf9)細胞とチャイニーズハムスター肺線維芽細胞V79に曝露し、それらの拡散と生存率を電気的細胞基質インピーダンスセンシング(ECIS)によってモニターし定量化した。50%阻害濃度(ECIS50)に基づいて、NCCのいずれも、これら2つの細胞株に対して有意な細胞毒性を有しなかった。ただし、亜麻由来のNCCは、麻やセルロース粉末と比較して、Sf9で最も顕著な阻害を示した。ペクチン酸リアーゼで前処理された亜麻と麻からのNCCでは、未処理の亜麻と麻から調製されたNCCよりも抑制性が低かった。これらの結果は、抑制効果とNCCのカルボン酸含有量との相関関係を示唆した。 Male et al.
4-25 2012 CNC vitro Cellulose nanowhiskers: preparation, characterization and cytotoxicity evaluation コットンリンターから調製されたセルロースナノウィスカー(CNW)の分散液の細胞毒性を調べた。MTTアッセイと細胞形態観察により、0.01%から0.2%濃度のCNWはL929細胞に対して毒性が低いことが分かった。細胞毒性はCNWの濃度の増加とともに増加傾向を示した。 Ni et al.
4-26 2011 CNC vitro Pharmaceutical acrylic beads obtained by suspension polymerization containing cellulose nanowhiskers as excipient for drug delivery 徐放性錠剤の直接圧縮として使用される、共安定剤としてセルロースナノウィスカーを使用する懸濁重合によって合成された、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチルの新しい高分子賦形剤の物理化学的および流動特性を評価した。インビトロ試験では、生成されたナノウィスカーおよびビーズが無毒であることを示した。 Villanova et al.
4-27 2010 CNC vitro Effect of surface charge on the cellular uptake and cytotoxicity of fluorescent labeled cellulose nanocrystals セルロースナノクリスタル(CNC)を蛍光標識したCNC-フルオレセインイソチオシアネート(FITC)と新しく合成されたCNC-ローダミンBイソチオシアネート(RBITC)を用いて細胞取り込みと細胞毒性を調べた。正に帯電したCNC-RBITCは、細胞膜の完全性に影響を与えることなく、ヒト胎児腎臓293(HE293)およびツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda, Sf9)細胞に取り込まれた。細胞生存率アッセイおよび細胞ベースのインピーダンス分光法は、CNC-RBITCコンジュゲートの顕著な細胞毒性効果を明らかにしなかった。ただし、負に帯電したCNC-FITCの有意な内在化は生理学的pHでは観察されなかった。エフェクター細胞はCNC-FITCに囲まれており、最終的に細胞が破裂した。CNCの表面電荷は、細胞の取り込みと細胞毒性に重要な役割を果たしたため、観察された非細胞毒性とともに容易な表面機能化により、改変CNCはバイオイメージングおよびドラッグデリバリーシステムの有望な候補となる。 Mahmoud et al.
4-28 2009 CNC vitro Cellulose nanocrystals for drug delivery.  セルロースナノクリスタルが治療薬の標的化送達における担体として使用できるかテストするために、ヒト脳微小血管内皮細胞に対する毒性を測定した。セルロースナノクリスタルは、細胞に対して無毒であることがわかった。細胞取り込み研究のために、セルロースナノクリスタルをフルオレセイン-5′-イソチオシアネートで標識した。取り込み研究は、非標的セルロースナノクリスタルの最小限の取り込みを示した。毒性の欠如と非標的セルロースナノクリスタルの取り込みは、標的化ドラッグデリバリー応用における担体としてのセルロースナノ結晶の可能性を裏付けている。 Roman et al.
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# 発行年 CNF/CNC 試験 論文タイトル 要旨 引用文献
5-1 2021 CNC vivo Lung toxicity and gene expression changes in response to whole-body inhalation exposure to cellulose nanocrystal in rats ラットに全身吸入暴露により空気またはCNC(20 mg/m3、6時間/日、14日)を暴露させ、肺毒性と全体的な遺伝子発現プロファイルを測定した。乳酸デヒドロゲナーゼ活性、炎症誘発性サイトカインレベル、食細胞酸 化剤産生、およびマクロファージと好中球の数の有意な増加が、CNC暴露ラットの気管支肺胞洗浄液で検出された。マクロファージや好中球の蓄積等の軽度の肺組織学的変化が、CNC暴露ラットで検出された。次世代シーケンシングによる遺伝子発現プロファイリングにより、CNC暴露ラットの肺での発現が対照と比較して有意に異なる531個の遺伝子が同定された。肺の遺伝子発現データのバイオインフォマティクス分析により、炎症(細胞運動、免疫細胞輸送、炎症性疾患および反応、呼吸器疾患、補体系、急性期反応、白血球血管外遊走シグナル伝達、顆粒球および無顆粒球の接着および脱毛症、IL-10シグナル伝達、およびファゴソーム形成および成熟)や酸化ストレス(NRF2を介した酸化ストレス応答、マクロファージにおける一酸化窒素および活性酸素種の産生、およびフリーラジカル捕捉)に関連するいくつかの生物学的機能や古典的な経路が特定された。結論として、ラットのCNCへの吸入暴露は、主に炎症と酸化ストレスの誘発を介した肺毒性をもたらすことを示した。 Joseph et al. 
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