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2024年3月 セルロースナノファイバー懸濁液のヒト気管支上皮細胞への影響についての研究報告

(2024年3月25日)

産総研の研究成果として、63rd Annual Meeting of Society of Toxicology (SOT2024)(2024年3月10~3月14日、Salt Palace Convention Center、Salt Lake City、US)においてポスター発表により下記の研究報告を行いました。

・発表題目:Effects of cellulose nanofibril suspensions on human bronchial epithelial cells in relation to inhalation risk assessment.
・発表者:藤田克英、小原佐和枝、丸順子、遠藤茂寿

セルロースナノファイバー(CNF)は優れた材料特性を持ちますが、ヒトへの潜在的な影響は不明です。本研究では、様々なCNFの種類がヒト気管支上皮細胞に与える影響を調査しました。それぞれ異なるCNFの水懸濁液を調製し、ヒト気管支上皮細胞に48時間暴露しました。細胞の反応やCNF懸濁液中の生物学的特性を評価した結果、一部のCNF懸濁液は、ミトコンドリア酵素活性や活性酸素産生に影響を与えました。また、特定のCNFタイプは炎症性サイトカインの産生を促進しましたが、生物学的な特性との相関は見られませんでした。CNF懸濁液の細胞への影響は、原料や製造工程などの要因によって異なることが示され、CNFの安全性評価やリスク予測に貢献すると考えます。本発表は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/CNF利用技術の開発/多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価」の結果から得られたものです。次回の64th Annual Meeting of Society of Toxicology (SOT2025)は、2025年にOrlandoでの開催が予定されています。

(文責:藤田克英)

会場のSalt Palace Convention Center