(2022年1月7日)
産総研の研究成果として、”Genotoxicity assessment of cellulose nanofibrils using a standard battery of in vitro and in vivo assays”と題した研究論文が、Toxicology Reports(Elsevier)において2021年12月16日付けで発行されました。
セルロースナノファイバー/セルロースナノフィブリル(CNF)は、新材料として期待される一方、繊維状で超微細な特性を持つことから、発がん性のリスクも懸念されています。このため、OECDのテストガイドラインに基づき、細菌復帰突然変異試験(Ames試験)、マウスリンフォーマ TK 試験、in vitro染色体異常試験、ラット赤血球小核試験を実施し、化学修飾により作製されたTEMPO酸化CNFおよび機械解繊CNFの遺伝毒性を評価しました。本研究の特徴は、異なるエンドポイントである遺伝子突然変異と染色体異常を指標とした4種類の試験(遺伝毒性試験バッテリー)により、遺伝毒性を総合的に評価したことです。
CNFの繊維長やレオロジー特性、微生物、エンドトキシンなどの特性に注意しながら分散調製し、それぞれの遺伝毒性試験を実施した結果、陰性であることが分かりました。このため、本研究に供試したTEMPO酸化CNFおよび機械解繊CNFは、遺伝毒性を示さないと結論致しました。
本論文は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法」および「炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発/CNF利用技術の開発/多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価」の結果から得られたものです。
リンク
https://doi.org/10.1016/j.toxrep.2021.12.006
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(文責:藤田克英)