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2012年5月 ECHAがナノマテリアルに適用されるためのガイダンス附属書を作成

欧州化学品庁(ECHA)は4月、REACH規制とCLP規制の実施のための「情報要件及び化学物質安全性評価(IR&CSA)に関するガイダンス」の中の、「B.有害性評価」の詳細ガイダンスに相当するR8「ヒト健康のための用量(濃度)反応のキャラクタリゼーション」とR10「環境のための用量(濃度)反応のキャラクタリゼーション」、及び、「D.曝露評価」の詳細ガイダンスR14「職業曝露推計」について、それぞれの付録書(Appendix)として、ナノマテリアル適用のための草稿を作成し、CARACALに送付した。CARACALとは、Competent Authorities for REACH and CLP(REACH及びCLP規制の所管当局)の略称で、欧州委員会や化学品庁(ECHA)にアドバイスする専門家グループのことで、2009年3月にCARACALに改名された。CARACALのチェックを受けたのち、5月25日、ECHAは正式にこれらの3つの付属書を発表した。また、4月30日には詳細ガイダンスR7「エンドポイント特有ガイダンス」についても、ナノマテリアル適用のためのの3つの付属書も発表している。

 

このうち、5月25日に発表された3つの付属文書の仮訳を作成した。
・附属書R8-15 R.8章へ適用可能なナノマテリアルのための勧告(リンク
・附属書R10-2 R.10章へ適用可能なナノマテリアルのための勧告(リンク
・附属書R14-4 R.14章へ適用可能なナノマテリアルのための勧告(リンク
欧州ECHAが作成中の「情報要件及び化学物質安全性評価(IR&CSA)に関するガイダンス」の全体の構成はここで把握できる。Part AからGまでの簡易ガイダンスと、それらに対応した詳細ガイダンスからなる。詳細ガイダンスにはそれぞれ附属書が付いている。上記の3つの文書のような「ナノマテリアル適用」に関する附属書が、今後も順次追加されていくのだと思われる。これらは次のREACH登録締切である2013年5月31日を見越している。
和訳した3つの草稿を含むナノマテリアル適用のための付属書は、2009年から開始された「ナノマテリアルに関するREACH実施プロジェクト(REACH Implementation Project on Nanomaterials:RIPoN)」の最終報告書に基づいて作成されている。RIPoN2では「情報要件」について356ページの最終報告書が、RIPoN3では「化学物質安全性評価」について259ページの最終報告書が、すでに発表されている。RIPoNのもう1つのプロジェクトであるRIPoN1では「物質の同定(substance identification)」に関して専門家の間でコンセンサスが得られず、最終報告書はリリースされたものの、勧告についてはさらに検討中である。