(2020年5月25日)
産総研の研究成果として、Cytotoxicity profiles of multi-walled carbon nanotubes with different physico-chemical properties(異なる物理化学的特性を持つ多層カーボンナノチューブの細胞毒性プロファイル)と題した研究論文が、Toxicology Mechanisms and Methods (Taylor & Francis)において2020年4月23日付けで発行されました。
本論文は、異なる物理化学的特性を持つ多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を、培養細胞であるラットマクロファージ(NR8383)に24時間暴露し、細胞生存率や生体内活性酸素種の産生、各種の炎症性サイトカイン産生、網羅的遺伝子発現、および電子顕微鏡による細胞内への取り込み形態観察を行ったものです。この結果、直径が大きい(> 50 µm)MWCNTでは高い細胞毒性を示し、一方直径が小さい(< 20 µm)のMWCNTでは中~低い細胞毒性を示しました。これらの結果は、MWCNTの直径が細胞毒性に大きく寄与していることを示唆しています。なお、ヒトへの吸入影響を評価するためには、さらに動物試験が必要と考えます。
リンク
https://doi.org/10.1080/15376516.2020.1761920
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(文責:藤田克英)