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2016年4月 毒性学会(SOT)第55回年会報告

(2016年4月7日)

毒性学会(SOT: Society of Toxicology)第55回年会が、2016年3月13日から17日まで、米国ニューオリンズで開催された。毒性学会は、世界の毒性分野における世界一の権威と水準を持ち、年会は例年3月、毒性学に携わる各国の企業、大学、研究機関、政府の関係者が多数集い、シンポジウムやポスター発表、展示会(ToxExpo)などが賑やかに開催される。今回の年会の公式参加登録者数は、6,812名であった。
口頭発表およびポスター発表において、カーボンナノチューブやグラフェン等のナノ炭素材料の有害性評価についての報告や発表、それに対する質疑応答から、研究内容や本プロジェクトに対する種々の質問やアイデアなどを得ることができる。
Nanotoxicologyに関するセクションは、シンポジウム1課題(Health and Environmental Hazard Assessments of Nanomaterials Along Their Lifecycle)、ワークショップ2課題(Maternal Exposure to Nanoparticles—How Does It Affect the Fetus? Status, Mechanisms, and Future Directions; In Vitro Dosimetry of Engineered Nanomaterials: Too Complicated to Consider, Too Important to Ignore)、プラットフォームセッション1課題(Nanotoxicology: In Vivo)、ポスターセッション4課題(ナノ毒性一般、ナノ炭素、ビトロ、ビボ)で構成されていた。
作業環境中を想定した暴露濃度での多層カーボンナノチューブの遺伝毒性(Siegrist et al., NIOSH)や、マウス肺炎症影響近赤外蛍光イメージングを利用したマウス肺中の単層カーボンナノチューブの定量(Nicholas et al., University of Florida)、異なるサイズや酸化形態のグラフェンの肺影響(Thompson et al., NIOSH)など有用な報告がいくつかあった。技術研究組合・単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)では、「Effects of Fiber Size of Single-Walled Carbon Nanotubes on Pulmonary Toxicity」と題したポスター発表を行い、今後の研究に役立つコメントを得ることができた。
来年の第56回年会は、Maryland州Baltimoreでの開催が予定されている(2017年3月12日から16日まで)。

会場となったNew Orleans Ernest N. Morial Convention CenterIMG_0978

会場となったNew Orleans Ernest N. Morial Convention Center

(文責:藤田克英)