RISCAD Update 2019年7月第1週【週刊化学災害ニュース】

2019/07/01  - 2019/07/5 12:00までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2019年07月10日 10時00分

(現在、RISCADはリニューアルのため公開停止中です)

*2019/07/01発生の、ナイジェリア・横転したタンクローリからガソリンが漏洩して爆発
:道路の陥没穴を避けようとして横転したタンクローリからガソリンが漏洩し、約1時間後に着火して爆発、火災が起きた。漏洩したガソリンを回収するために集まった住民約50名が死亡した。漏洩から約1時間後に現場を通過したバスの排気管が地面を擦った際の火花が漏洩したガソリンに着火した可能性

*2019/07/01発生の、ロシア・原子力潜水艦で火災
:海底探査中の原子力潜水艇内の蓄電池室から何かの原因で出火した可能性。乗組員14名が一酸化炭素中毒で死亡

*2019/07/01発生の、佐賀・リサイクル工場のベルトコンベアで火災
:木材をチップ状に加工する機械のベルトコンベアのゴムベルトの一部が焼損。工場は昼休み中で、機械は停止していた

*2019/07/02発生の、米国・蒸留酒貯蔵庫で火災
:日系の酒造会社の蒸留酒貯蔵庫2棟が焼け、うち1棟は倒壊。倒壊した貯蔵庫内の容量200Lの蒸留酒入りの樽約45,000個が焼けた。落雷が原因の可能性

*2019/07/02発生の、バングラデシュ・繊維工場で火災
:消火用水が足りず被害が拡大し,消火に12時間を要した。少なくとも6名が死亡

* 2019/07/05発生の、愛知・高校の乗馬部の倉庫で蚊取線香から火災
:乗馬器具などを保管する倉庫が全焼。倉庫内で使用されていた蚊取線香の火で近くにあった殺虫剤に着火した可能性

こちらもまた久しぶりの更新となってしまいましたが、6月下旬から7月初旬にかけて、昨年起きた事故で、RISCADに登録されている事例に関する書類送検のニュースが2件上がって来ました。今回はそれらの事故を振り返ってみたいと思います。 (現在、RISCADはリニューアルのため公開を停止しているので、以下に事故概要全文を含めご紹介いたします。)

・2018/07/06 岡山・豪雨による浸水でアルミニウム工場の溶解炉で水蒸気爆発
豪雨による浸水でアルミニウム工場の容量約40tの溶解炉で水蒸気爆発が起きた。周辺の民家、空き家、車庫の計3棟が全焼し、広範囲にわたり民家などの窓ガラスや壁などが破損した。周辺住民など約40名が負傷した。同工場が所有する化学物質による二次災害の恐れがあったため、警察が周辺住民に避難指示を出した。警察と消防の調べでは、当日は大雨に備え朝から同炉の運転停止のためのアルミニウム抜き取り作業が行われていた。同工場は通常は24時間操業であったが、午後10時前に同工場内が浸水し始めたため、同炉内に熱せられたアルミニウムが約半分残った状態で従業員は避難し、爆発当時同工場は無人であった。高温のアルミニウムが残った炉内に水が流入して水蒸気爆発が起きた可能性がある。同工場は業務上過失傷害容疑で家宅捜索された。

今回、岡山県警により、同社社長と工場長が業務上過失傷害と業務上失火の疑いで書類送検されました。社長と工場長は、浸水による爆発の危険性を認識しつつも、操業停止を早期指示しなかったことが原因で、操業停止のためのアルミニウム取り出し作業が間に合わず、炉内に熱せられたアルミニウム約30tが残ったまま従業員が避難することとなり、爆発事故原因になったとみなされました。また、そのために周辺住宅に延焼し、住民が負傷した疑いがあるとの判断をした模様です。

・2018/11/05 兵庫・埋設された都市ガス管の交換工事中にガス爆発
地下に埋設された都市ガス管の交換工事中にガス爆発が起きた。地上にいた作業員が消火器で消火した。地下で作業中の3名がやけどを負い、作業員1名が重体、1名が重傷で病院に搬送され、請負業者社長1名が左足にやけどで軽傷となった。警察と消防の調べでは、作業員らは、ガス会社から委託され、車道に深さ約1.3mの穴を掘り、地下に埋設されたガス管の交換作業中であった。重体となった作業員が通ガス確認のためにガス管のキャップを緩めていた近くで、電動ノコギリでガス管を切断する作業が行われており、漏洩したガスに電動ノコギリの火花で着火した可能性がある。後日、同請負業者と同社社長が労働基準監督署から危険防止措置を怠った労働安全衛生法違反の容疑で書類送検された。

今回、兵庫県警生田署により、工事を請け負ったガス工事会社の社長が、業務上過失致傷の疑いで書類送検されました。社長がガス漏洩の安全確認を怠ったまま、作業員に電動ノコギリで地中のガス管を切断するように指示を出した疑いがあるとの判断をした模様です。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子