RISCAD Update 2019年11月第4週【週刊化学災害ニュース】
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投稿日:2019年11月27日 10時00分
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*2019/11/13発生の、沖縄・ごみ処理施設の金属資源化施設で火災
:焼却灰を溶融炉で加熱し、金属を回収して資源化する施設での火災。何かの原因で冷却が不十分な金属が飛散し、近くにあったパレットに着火した可能性。消防は、同施設が火災発生を消防に通報しなかったことを受けて、消防法で定められた通報義務違反にあたるとして口頭指導を行った
*2019/11/13発生の、韓国・研究所でロケット燃料の実験中に爆発
:工業用ニトロメタンを用いたロケットのジェル推進体燃料の実験で、固体状の燃料をジェル状にし推進体に注入して流量を測定中に、何かの原因で爆発が起きた可能性
*2019/11/14発生の、福岡・ごみ収集車で廃棄物から火災
:廃棄物内のカセットコンロ用ガスボンベが圧縮されたか、何かの衝撃などで破損し、漏洩した残留ガスに着火した可能性。市では、使用済みのカセットコンロ用ガスボンベ、スプレー缶、使い捨てライターなどは中身を使い切った状態で穴を開けずに不燃物として出す決まりになっていた
*2019/11/19発生の、福島・ごみ処理施設の機械室から火災
:粗大廃棄物の破砕処理中に何かの原因で機械室から出火した可能性。施設は当面の間稼働休止となった
*2019/11/19発生の、東京・金属加工工場で発電機から火災
:金属の圧延を行う工場。何かの原因で発電機から出火した可能性
*2019/11/21発生の、静岡・高速道路の橋桁補修工事現場で火災
:橋桁部分の塗装剥離工事中の火災。作業員1名が死亡し、2名が重傷、8名が軽傷を負った。道路の下に設置された足場周辺から出火し、足場を覆っていた防炎シートに延焼した可能性
原子力発電所敷地内でトンネルの内壁補強工事中に一酸化炭素中毒が起きた。溶接作業をしていた10名のうち、2名が酸欠のような症状で倒れ、うち1名は一時意識不明となり、他の作業員7名が吐き気や頭痛で体調不良となり、計9名が病院に救急搬送された。警察の調べでは、トンネル内では作業員40名が作業中で、最奥部では10名がアセチレンガスを使用して溶接作業をしていた。トンネル内の換気状態が悪かったことが原因で、一酸化炭素中毒が起きた可能性がある。
事故発生時、トンネル内最奥部ではガソリンを使用するエンジン付き溶接機を使用して溶接作業をしており、換気のため送気ファンと排気ファンが1台ずつ設置されていました。調査のため、同条件での再現を行ったしたところ、満足な換気はできず、トンネル内の一酸化炭素濃度は、国の作業環境基準である50ppm以下の約6−10倍にあたる、300-500ppmになったとのこと。
事故発生日の午前中には、溶接作業開始から1時間もしないうちに頭痛などの体調不良となった作業員が出たため、一時溶接作業は中断されたそうです。その後ファンの位置を調整するなどして、再度午後から作業が開始されましたが、それでも1時間半ほどで一酸化炭素中毒が起きたとのこと。
再現の結果により、トンネル内の排気がうまくいっていなかったことで、高濃度の一酸化炭素がトンネル内に充満して中毒が起きたということがより明白になりました。
対策として、電気溶接機への変更、一酸化炭素濃度測定器の増設、新たな送気管の設置などの措置がとられたそうです。
午前中の作業で事故の前兆があったにも関わらず、しっかりとした対策をとらなかったことは非常に残念です。
