RISCAD Update 2022年1月第4週【週刊化学災害ニュース】

2022/01/20– 2022/01/28 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年02月02日 10時00分



*2022/01/19発生の、石川・工務店の資材倉庫で火災

:倉庫内の柱に設置されたコンセント付近の燃え方が激しかったことから、充電中の工具などから出火した可能性

*2022/01/20発生の、ガーナ・交通事故でトラックの積荷の火薬類が爆発

:トラックとオートバイの交通事故により、トラックの積荷の鉱山に運搬中の火薬類が爆発。交通事故の見物に集まった住民が爆発に巻き込まれ、人的被害が拡大した可能性

*2022/01/21発生の、韓国・電池材料工場で爆発、火災

:工場4階のボイラ室付近で何かの爆発が起きて出火した可能性。従業員1名がボイラ室付近で死亡。避難する際に1名が重傷、2名が軽傷

*2022/01/21発生の、広島・産業廃棄物処理工場で廃タイヤの火災

:消火に2週間を要した。敷地内に積まれていた廃タイヤ1tと無人の工場建屋が焼けた

*2022/01/24発生の、静岡・繊維工場で火災

:工場内の機械用のコンセントが火元の可能性。工場1棟が全焼し、製品の洋服が焼けた

*2022/01/25発生の、岐阜・金属リサイクル会社でドラム缶切断作業中に爆発

:直径約60cm、高さ約1m、重さ約10kgのドラム缶をバーナで切断中の爆発事故。ドラム缶内に残留していた酢酸エチルにバーナの火で着火した可能性。切断作業をしていた従業員1名が脳挫傷で死亡


「この季節になると、この事故をよく耳にする」

毎年私がそう思うふたつの事故があります。ひとつは中国での事故、もうひとつは日本国内での事故ですが、いずれもこの時期ならではの風物詩が関連した事故です。

今週はまずはそのうちのひとつ、中国での爆竹などが原因の爆発事故について書いてみたいと思います。

この事故は、中国でこの時期に春節という新年を祝う行事があることと深い関係があります。

ご存知のように、春節とは旧暦の正月のことです。現在私たちが使用している太陽暦ではなく、旧暦(太陰太陽暦)に基づいているため、年によってその日にちは変わりますが、例年1月後半から2月なかばごろに旧暦1月1日である春節はやってきます。今年は昨日、2月1日でした。

では、なぜ春節の時期に中国で爆竹などが原因の爆発事故がふえるのか。それは春節を祝う際に爆竹を鳴らす文化が影響しています。

春節での爆竹や花火の需要の増加に備え、春節前には爆竹などの火薬類を使用した製品の生産がピークになると考えられますが、その製造や保管などの工程での事故が起きることがあります。扱っているものが火薬類なので、火災や爆発などの事故が起きればその規模が大きくなることがあります。

無事工場から出荷された爆竹や花火を人々が手にし、春節を祝うために使用するわけですが、市中に多く出回ったその爆竹の誤った使用が原因で爆発が起きることもあります。過去には、着火ミスで一度に大量の爆竹に火がついてしまったり、製品不良で予期せぬ爆発をしたりといった事故が起きています。

また、主に子供がいたずらでマンホールに爆竹を投げ入れて、内部に滞留していたメタンガスに着火し、マンホールの蓋が吹き飛ぶといった事故も毎年のように聞かれます。

しかし、北京市内では、この春節の爆竹や花火の使用が全面禁止されたそうです。それは、明後日2月4日にせまる北京冬季オリンピックの開催に向け、大気汚染を防ぐためとのこと。

果たしてこの冬、北京市内では爆竹や花火が原因の事故は減るのでしょうか。

来週は、国内での「この季節になると、この事故をよく耳にする」について書いてみたいと思います。

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子