RISCAD Update 2022年10月第3週【週刊化学災害ニュース】

2022/10/14 12:00– 2022/10/21 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年10月26日 10時00分



*2022/10/10発生の、広島・浄水場からポリ塩化アルミニウムが漏洩

:ポリ塩化アルミニウムが配管から漏洩して排水路を通じて雨水と共に民家の池に流入し、鯉や金魚など約30匹が死んだ

*2022/10/14発生の、トルコ・炭鉱でガス爆発

:炭鉱内に滞留した可燃性ガスに何かの原因で着火した可能性。坑内の地下300-350m付近に作業員110名が取り残され、41名が死亡、11名が負傷

*2022/10/16発生の、茨城・製油所で放射線を使用した配管検査中に被曝

:作業員2名で配管の継目の検査のため、ガンマ線透過試験装置を使用した配管内部の撮影中に装置の放射線が出る先端部分を遮蔽容器に入れず約5分間作業をしていて被曝した可能性。作業員に体調不良はなかったが、病院で健康状態の確認を行った

*2022/10/18発生の、 富山・木材加工工場で火災

:工場は無人であったが、木材加工で出た端材を焼却炉で燃やしていた。工場が全焼し、敷地内の事務所兼作業所が焼けた。隣接する別の製材所の資材置場に延焼して全焼

*2022/10/19発生の、愛媛・小学校で理科の実験中に体調不良

:理科の実験中にガスこんろを使用していた4年生の児童5名が体調不良となった。ガスの臭いを嗅いで体調不良となった可能性

*2022/10/19発生の、島根・木材加工工場で火災

:住宅用資材の加工や薪ストーブの製造、販売などを行う工場での火災。工場約2,000平方mと隣接する別の会社の工場が全焼


先週と同じく、小学校の理科の実験でのガスこんろ使用中の児童の体調不良が発生しました。しかし今回は「事故」と呼ぶのは少々憚られる事例です。

なぜならば、実験でガスこんろを使用してはいたものの、先週の事故のようにガスの漏洩など実験手順などにミスがあったという情報が報道されていないのです。(報道されていないだけで何かミスがあった可能性も否定はできませんが。)

病院に搬送された4年生の児童5名は、中毒ではなくガスの臭いを嗅いで体調不良となった可能性があると診断されたようです。

私は「うーん。」と実際に声を出して唸ってしまいました。

ガスこんろ使用中の少しのガス臭で体調不良になってしまうとするならば、理科の実験どころではありません。家庭内ではガスこんろがIHに変わり、特にオール電化の住宅などではガスに無縁の生活を送っているのかもしれません。

例年のように起きる、鉄と硫黄の化合実験での体調不良の続発(実験をしなければ事故が起きない、は良いことなのか−教育現場での安全教育の可能性−【注目の化学災害ニュース】 RISCAD CloseUP)など、感受性の強さといいましょうか、現代の子供たちはとても繊細だということかと思います。私たち世代からすると想像がつかない変化が子供たちに起きているのではないかと心配になります。

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子