現場保安力の向上をめざす【月刊災害情報アーカイブス】by 若倉正英

※このコラムは特定非営利活動法人災害情報センターの会誌「月刊災害情報」に掲載されたコラムを再掲したものです(コラム内の情報は掲載当時のものです)。

月刊災害情報アーカイブス
現場保安力の向上をめざす
若倉正英

投稿日:2018年12月20日 10時00分

※月刊災害情報 2012.6 Vol.25,No.2 から転載(一部修正)※

化学工場の爆発事故が連続して発生している。いずれもが死亡事故であること、爆発により周辺地域への影響が大きかったことなど、再発防止に十分検証を進める必要がある。

CHECK!! 2010-2012年の主な化学工場の爆発事故事例
リレーショナル化学災害データベース(RISCAD)にて検索

化学プラントのアクリル酸製造施設で爆発 – RISCAD(2012年9月29日)
化学工場のレゾルシンプラントが爆発 – RISCAD(2012年4月22日)
塩化ビニルモノマ製造施設の塩酸塔還流槽で漏えい,爆発,火災 – RISCAD(2011年11月13日)

特定非営利活動法人 安全工学会では化学施設の安全に関して、事業所の現場安全風土の基幹となる「安全文化」と技術とマネージメントの要因である「安全基盤」をあわせて、現場の安全の力を評価するための項目(保安力評価項目)をまとめた。この保安力の評価を通じて、安全に関する現場の弱点の発見や良好事例の共有などを進めるための、保安力向上センターの設立を目指すことになった。

高齢化した設備の多い国内化学プラントでは、安全の確保は働く人たちの活性化、ひいては生産性の向上にとって重要な課題である。安全工学会は多くの生産現場経験者の方々と連携して、現場保安力の向上支援を目指している。

若倉 正英 / Masahide WAKAKURA

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 客員研究員
特定非営利活動法人保安力向上センター センター長

産総研での事故分析や保安力の評価などに従事。モットーは、”遊びと仕事の両立”。