再確認してください!スプレー缶の処分方法【注目の化学災害ニュース】2017年8月のニュースから RISCAD Close UP
2017年8月のニュースから RISCAD Close UP【注目の化学災害ニュース】
再確認してください!スプレー缶の処分方法
さんぽニュースピッカー 伊藤貴子
投稿日:2017年09月07日 10時00分
2017年8月のニュースファイルから、今回は8/20発生の使用済みスプレー缶の穴あけ時の事故についてClose UP です。
8/20に福島県の一般住宅で殺虫剤の使用済みスプレー缶にアイスピックで穴を開ける作業中に爆発が起き、作業をしていた方が右腕にやけどで軽傷、住宅内の給湯器のホースなどが焼けるという事故が起きました。
私たちの身近にある可燃性ガスを使用したスプレー缶等の穴開けに関連する事故は、よく聞かれます。
ガスコンロや換気扇のある台所、風呂場(湯沸かし器)などの火気のそばで穴開けをしてしまい缶から漏れた可燃性ガスに着火するパターン、穴開け後に可燃性ガスが滞留している中で火気を使用してしまい着火するパターンなど。
また、逆に穴を開けなかったことによる事故もあります。
廃棄の際、自治体によって穴を開けて捨てるか否かも違いますし、スプレー缶を何ごみとして出すかも違いますが、決まりに従わず出されたごみとしてのスプレー缶がごみ収集車(パッカー車)の中で破砕または破損し、漏れた可燃性ガスに何かの火気によって着火するパターン、ごみ処理場内の炉で加熱されて破裂し、漏れた可燃性ガスに着火するパターンなど、こちらも様々です。
一般的なスプレー缶 ※画像は本文中の事故とは関係ありません。
住宅等でのスプレー缶穴開け中の着火も恐ろしいですし、ごみ収集車やごみ処理場での着火となると、インフラが損傷してしまうこともあるため、新規導入や修繕には莫大な費用がかかることもあります。また、ごみ処理場が損傷した場合にはごみの受け入れが停止されることもあります。
かく言う私も、現在の仕事につくまでは使用済みスプレー缶でこんなに事故が起こりうるとは知らず、扱いはぞんざいでした。
参考までに、RISCADの事例検索画面の「検索キーワード」に「スプレー缶」と入力していただくと、40件ものスプレー缶に関連する事故が出てきます。
しかし、あまりにも発生数が多いこの手の事故。穴を開けて廃棄する決まりになっているのであれば、もっと穴開け時の注意点・危険性をアピールすべきですし、穴を開けずに廃棄する決まりになっているのであれば、ごみを分別しなかったことで起きるリスクについてアピールした方が良いのではないだろうかと日々思っています。
ちなみに、一般社団法人日本エアゾール協会はこのような方法を推奨しているようです。
老若男女を問わず使用するスプレー缶、これを機にみなさんの周りでも、自治体での廃棄の決まりと、穴を開ける際に注意すべきことを再確認していただければ幸いです。
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 テクニカルスタッフ
「さんぽのひろば」ニュースピッカー
日々の事故情報集めに執念を燃やしています。
主婦目線からも、家庭でも起こりうる身近な化学物質などの事故にも切り込んでいきたいと思います。