産総研:安全科学研究部門サイト > さんぽのひろば|産業保安ポータルサイト| 産業保安に関する情報をお届けします > RISCAD News 化学災害ニュース > RISCAD CloseUP 注目の化学災害ニュース > 置いていませんか、こんなモノ−真夏の車内は危険な温度−【注目の化学災害ニュース】2019年8月のニュースから RISCAD CloseUP

置いていませんか、こんなモノ−真夏の車内は危険な温度−【注目の化学災害ニュース】2019年8月のニュースから RISCAD CloseUP

投稿日:2019年09月05日 10時00分

8月第3週と第4週のRISCAD Updateで話題にした、真夏の停車した自動車内の温度上昇と、その温度下で加熱されると、破裂したり火災に繋がったりする危険性がある私たちの身の回りにあるものについて。今回は2週にわたったその内容をまとめてClose UPです。

今夏、とある日のお昼、車に乗り込んだら、車載の外気温度計が40℃を表示していた日がありました。これは外気温度を感知するセンサー付近が、日当たりやアスファルトの照り返し等の関係で、40℃もの高温になっていたということを意味しているかと思いますが、ということは、車内の温度は一体何度になっていたのでしょう。外気温度より高いのはいうまでもありません。車に乗り込むとシートもハンドルもかなりの高温になっていました。

とある8月の正午頃の車内温度表示

真夏の車内温度は何度まで上昇するか?

JAF(一般社団法人日本自動車連盟)のテストによると、真夏の外気温度35℃の炎天下で車を停車してエンジンを切ると、車内は約30分で45℃になり、その後時間の経過によって最高55℃のまで上昇したとのことです。(テスト条件等の詳細はリンク先クルマ何でも質問箱「晴天下(炎天下)のクルマの室内はどのくらい温度が高くなりますか? 夏編」をご参照ください。)

他のサイトなどでも調べてみたところ、さらに驚くことに、直射日光が当たった状態のダッシュボードは、なんと75℃を超えることがあるそうです。(車体色などの条件により変化あり)

さて、それほどの高温になる自動車内ですが、プライベートスペース感もあるため、荷物を積んでおいたり、小物を置いておいたり、荷物を置いたまま財布だけを持って買い物に行ったりすることがあるのではないでしょうか? 何気なく車内に積んだままにしてあるもの、置いたままにしてしまうものの中でも、加熱されると危険な現象が起きる物質があるのです。果たしてそれはどんなものでしょうか。

置いていませんか、こんなモノ

①密閉容器入り炭酸飲料
:加熱により内部の炭酸水の温度が上がり、炭酸ガスの溶解度が小さくなり、大量に気相に出てきて圧力が上がり、熱による膨張が加わってペットボトルや缶などの容器が破裂する可能性があります。用事を済ませて車に戻ったら、サイダーのペットボトルが破裂していて、車内がベタベタ・・・想像したくないですね

②スマートフォンやノートパソコンなど、リチウムイオン電池を内蔵しているもの
:車内温度の上昇により加熱され、バッテリーが過熱して破裂したり、発火したりする可能性があります。ついうっかり、スマートフォンを置き忘れてしまったり、モバイルバッテリーを置いたままにしてしまったり…スマートフォンやパソコンなどの破損はもちろん大損害ですが、発火して自動車火災が起きてしまったらもっと大変です

③ライター
:加熱されたライターガス(ブタン)が気化してライター容器内で膨張し、ライター容器が破裂する可能性があります。またもし周囲に着火源があれば、容器が破裂したことにより漏洩したライターガスに着火して爆発が起きる可能性があります。車に戻ったらライターが破裂していた。これが目に見えるところで起きていれば対処の仕様もあるかもしれませんが、座席の下などに落ちて行方不明になっていたライターが破裂している可能性があります。また、ライターを喫煙に使用している方だった場合、乗車してすぐ、別のライターでたばこに着火し、その火で漏洩したライターガスに着火というシナリオも考えられなくはありません

④スプレー缶(エアゾール缶)
:スプレー缶内の可燃性ガスが気化して膨張し、缶が破裂する可能性があります。また、容器は金属缶の破裂ですから、窓ガラスの側で起きれば、衝撃で窓ガラスが破損する場合も。そしてこちらも何か着火源があれば、内部から漏れ出した可燃性ガスに着火する可能性も考えられます。私個人的には、スプレー缶は意外と車に積まれている可能性があるような気がしていますがいかがでしょうか?例えば、車内冷却スプレー、制汗剤、虫除けスプレー、冬場から積みっぱなしの窓ガラスの霜取りスプレーなど。他にもスプレー缶ではありませんが、キャンプやバーベキューに向かう際に、簡易調理器用ガスボンベを積んでいる場合もあるかもしれません。これも加熱により破裂の可能性がありますし、着火源があれば着火します

まとめ

どうでしたか?心当たりはありませんでしたか?

私は、②にあったリチウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリーをカバンにいれたまま車中に置き、買い物などで車を離れる可能性があることを認識しました。今後は気をつけたいと思います。

【参考情報】

JAF(一般社団法人日本自動車連盟)サイトより引用
クルマ何でも質問箱「晴天下(炎天下)のクルマの室内はどのくらい温度が高くなりますか? 夏編」

【編集後記】

早いもので9月に入りました。しかし例年残暑は厳しく、今年もまだまだ高温の日があると予想されます。 車中の置き荷物、注意してくださいね。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子