自然災害への心構えと備え−通電火災を防ぐには− 【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP

投稿日:2020年10月01日 10時00分

秋は台風シーズンということもあり、過去、この時期に自然災害によって私たちの生活が脅かされた事例は少なくありません。今回から数回の予定で、「自然災害への心構えと備え」と題して、過去の事例などから拾い上げた、知っておいて損はないと思われる自然災害対策の情報を紹介していきます。今回は、通電火災の防止についてClose UPです。

古今東西怖いもの、「地震雷火事親父」?

大喜利のような書き出しとなりましたが、昔から怖いものの例えとして、「地震雷火事親父」という表現が使われてきました。言うまでもなく、地震、雷、火事のような災害は怖いものであり、それにプラスして一家の主人である親父は怖いものであるといった例えです。しかし、現代に至っては、お父さん方は軒並み優しくなられて、「頑固親父」などという言葉を耳にする機会も減り、「親父が怖い」という家庭は減っているのかなといった印象も受けます。いまや、親父の威厳を維持して「ばっかもーん!」と叫んでいるのは、もはや「サザエさん」の磯野家の家長である波平さんぐらいではないかと思われます。

と、冗談めいた話はここまでにして、この「地震雷火事親父」について、さいごの「おやじ」は、実は「親父」ではなかったという説があるのをご存知でしょうか。

では、もともと「親父」の位置に入っていた言葉はなんだったのか。それは「おおやじ」、または「おおやまじ」で、漢字で書くと「大風」、「大山風」となります。それらの言葉は、いずれも「台風」を意味するものとのこと。つまり、「地震雷火事親父」は、元来、「地震雷火事大風(または大山風)」で、現代でも意味が通りやすい言い方に変えると、「地震雷火事台風」であったというのです。

たしかに、地震も雷も火事も台風も、私たちの力では、いかんともしがたい災害です。

火事(以下、火災)に関して、それ自体が自然災害であるという印象は薄いかもしれません。しかし、地震、雷、台風、いずれかの自然災害が発生すると、二次災害として火災が発生することは少なくありません。そう考えると、災害大国となりつつある日本において、自然災害由来の火災に対して備えておくに越したことはないと考えます。

自然災害の二次災害としての火災を防ぐには

それでは、自然災害の二次災害としての火災を防ぐために、私たちができることには何があるでしょうか。

過去に自然災害の二次災害としての火災が起きたケースで多かったのは、通電火災です。

自然災害の影響で停電→復電→通電火災

(対策)
  • 停電したらブレーカを落とす
    復電した際に、不具合が起きた電化製品などに通電しないため、火災の発生を防ぐことができる。

  • 感震ブレーカなどの通電火災防止器具を設置する
    強い地震を感知すると、自動的にブレーカが落ちて電気を強制遮断する装置を設置する。地震の際に限るが、万が一ブレーカを落とさず避難したとしても、復電時に電化製品などに通電しないため、火災の発生を防ぐことができる。
地震、台風、大雨による水害などで避難した場合はもちろんですが、停電中に在宅していて、家の中に特に異常がないように感じられたとしても、目の届かないところにある電化製品などに不具合が起きている可能性があります。ブレーカを落としたり、通電火災防止器具を設置したりしていても、この確認を怠って復電後にブレーカを復旧させ、万が一不具合のある電化製品などから出火すれば、せっかくの通電火災への備えが水の泡となってしまいます。

また、万が一ガス漏れが起きていた場合、復電して通電したことにより漏れたガスに着火してガス爆発が起きる可能性もあります。ガス器具の確認も忘れずに。


【編集後記】

中国には、「大風」と書いて「たいふう」と読む名前を持つ、伝説上の怪物がいるそうです。日本でいうところの、妖怪といったところでしょうか。大きな鳥の姿のその怪物は、大きな翼で強風を起こし、家屋などを破壊したのだそうです。自然災害、異常気象などがなぜ起きるのか解明されていなかった遠い昔、人々はその脅威を妖怪などの仕業としたのでしょうか。「大風」は「台風」だったのかもしれません。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子