古い扇風機の火災に注意!【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP

投稿日:2023年7月13日 10時00分

この度の豪雨被害に遭われたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。みなさまの生活が1日も早く平穏に復することをお祈り申し上げます。


関東地方では梅雨明けが間近であることを感じさせられる暑い日が続いています。例年並みであれば、あと1週間ほどで梅雨明けを迎えます。そして、本格的な夏がやってきます。近年の夏は、猛暑日が何日も続いたり、夕立はおろか、雨が一滴も降らない日が長く続いたり、そしてやっと雨が降ったと思えば台風の影響や線状降水帯の発生などで大雨となったりと、非常に過ごしにくいものとなっているように感じます。そのような過酷な夏、どうしても必要になるのがエアコンや扇風機などの涼をとるための家電です。電気代の高騰など、頭が痛いことはありますが、近年の暑さでは、エアコンや扇風機を使用しないと自分の身に危険が及びます。今回の「RISCAD CloseUP」では「古い扇風機の火災に注意!」と題し、扇風機使用前に確認していただきたいことをまとめます。

その扇風機、いつ購入しましたか?

「えーっと、意外と新しいです。3年前くらいだったかな?」

突然ですが、みなさんがお使いの扇風機、いつ購入されたものですか?私がそう聞かれたら、前述のように記憶を頼りになんとなく答えると思います。こう聞かれて「2019年、今から4年前の7月です。」などと正確に答えられる方は少ないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。ちなみに我が家の扇風機、実際には購入してから5年ほど経過しておりました。

電気用品安全法においては、事故件数が多い製品のうち、日常的な手入れと観察により事故の兆候に気づきやすい製品について、消費者等に注意喚起を促すため、製造年や設計上の標準使用期間などの表示をする長期使用製品安全表示制度というものがあります。その対象品目は、扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビなどです。

みなさんがご使用されている扇風機も、この表示を確かめてみてくださいね。ちなみに、表示対象の製品は、2009年4月1日以降に製造・輸入されたものとのことなので、それ以前の製品には上記の形に沿った表示はないかもしれません。

設計上の使用期間を超えての使用とリスク

我が家の扇風機はすでに設計上の使用期間を超えているけれど、何の問題もなく使用できているから大丈夫だよとお思いの方もいるのではないでしょうか。故障や劣化にはそれぞれの使用条件などが関係してくるため、設計上の使用期間を超えているから必ずしも危険とは言いきれません。

設計上の標準使用期間とは、メーカー等が設定した標準使用条件(環境条件、想定時間など)下で製品を使用した場合に、経年劣化による支障なく使用することができる期間とされています。製品を標準使用条件と異なる環境、頻度で使用した場合には、標準使用期間よりも早く使用への安全上の支障が生じることがあるとのことなので、設計上の標準使用期間内であっても、異常を感じたら使用を中止しましょう。

なお、設計上の使用期間を超えた扇風機の使用については、日本の電機産業に関わる企業・団体から構成される一般社団法人 日本電機工業会のサイトでも「長年ご使用の扇風機についてのお知らせとお願い」として注意喚起されています。(啓発チラシはこちら)

長く使用できる品質の製品であるからこそ、使用者である私たちは設計上の使用期間を目安に、製品に異常がないか確認しながら、事故なく安全に使用していきたいですね。

扇風機の火災

さて、ここからは扇風機の火災について見ていきたいと思います。

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)の再現映像を参考に、どのよう事故が起きているのか見てみましょう。

コンデンサーの発火NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)より引用)
内部部品の発火1NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)より引用)
内部部品の発火2NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)より引用)
就寝中に発火NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)より引用)
内部配線の劣化により発火NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)より引用)

どの映像でも、発煙前、出火前の扇風機の外観は問題ないように見えます。しかし、「コンデンサー」、「内部部品」、「内部配線」といった、外からは見えにくい部分で起きた問題によって、煙が上がったり、火が出たりしています。外観は問題なくても、古くなった扇風機の内部では知らないうちに部品などの劣化が起きている可能性があるのです。

しかも動画を見ると、発煙してから出火するまでのスピードや、出火してから燃え広がるスピードが早いように感じます。それを考えると、扇風機をつけたままにして別の部屋に行き、用事を済ませている間に出火するといったことが起きてもおかしくありません。

設計上の使用期間を超えた扇風機からの火災については、 国内メーカー(パナソニック株式会社)のサイトでも事故事例から学ぶ家電安全生活(扇風機)長期使用している扇風機から出火」として、事故事例の紹介と注意がされています。

扇風機の異常の判断要因

以下に、政府広報オンライン 「扇風機やエアコンで火災発生!安全に使うための注意点とは?」から、扇風機の異常の判断要因となる事象を引用します。

<こんな異常に注意>
 ・スイッチを入れても、羽根が回らない
 ・羽根が回っても、回転が異常に遅かったり不規則だったりする
 ・羽根が回転するときに異常な音や振動がする
 ・モーター部分が異常に熱かったり、焦げくさいにおいがしたりする
 ・羽根にヒビが入っている。ガードが変形している
 ・電源コードが折れ曲がっていたり破損したりしている
 ・使っている時に電源コードに触れると、羽根が回ったり回らなかったりと不安定である


予期せぬ事故を防ぐためにも、みなさんがお使いの扇風機を改めて確認してみてください。

【参考情報】

さんぽニュース編集員 伊藤貴子