猛暑〜人もスマホも熱中症〜【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP

投稿日:2023年9月7日 10時00分

9月に入りました。明日9/8からは二十四節気の「白露」に入ります。そして「白露」の次の節気は「秋分」で、いわゆる秋のお彼岸の頃になります。「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、長かった暑い夏もその頃には落ち着いてくれるのでしょうか。そのような、うんざりするほど暑くて長い今年の夏、テレビやネットなどで、「スマホ熱中症」という言葉を耳にした、目にした方は少なくないのではないでしょうか。人間が熱中症になるというのはわかりますが、電子機器であるスマートフォンも熱中症になるのでしょうか?そのような疑問について考える今回の「RISCAD CloseUP」は、「猛暑〜人もスマホも熱中症〜」と題してお送りします。

スマートフォンも熱中症?

9月に入りました。今週、関東では久しぶりの雨が降りはしましたが、今現在も最高気温が30℃を超える暑い日々は続いており、今年の夏は暑かったと過去形にできるような秋めいた気候までにはなっていません。

冒頭で触れたように、この夏、テレビやネットなどで、「スマホ熱中症」という言葉を耳にした、目にした方は少なくないのではないでしょうか。暑いさなか、私たち人間に対して熱中症に注意するために適切なエアコンの使用や水分補給が呼びかけられましたが、果たして、電子機器であるスマートフォンが熱中症とは、いったいどういうことなのでしょうか。

「スマホ熱中症」とは、スマートフォンを高温環境などの諸条件のもとで使い続けるなどした際、スマートフォン本体の温度が高温になり内部に熱がこもる症状のことだそうです。そのまま使用を続けると、スマートフォンの動作の不具合や内蔵されているバッテリの膨張が生じることがあり、ひどい場合にはバッテリの破裂や発火などにつながることもあるそうです。

人間が熱中症となる要因は、「環境」(高温下であることなど)、「からだ」(その時の体調が悪かったことなど)、「行動」(長時間の屋外作業など)[参考1]と言われていますが、なるほど、「スマホ熱中症」も同じように例えることができそうです。「スマホ熱中症」を引き起こす要因については、「環境」、「スマートフォン本体」、「使用方法」として話を進めていきましょう。

*スマートフォンには、本体が一定の温度になると処理速度を落とすなどしてスマートフォンを熱から守る「セーフティ機能」が備わっており、そのため動作が遅くなることもあります。

  [参考1]環境省 熱中症予防情報サイト

スマートフォンが使用できる温度は?

ところで、スマートフォンは何℃くらいまでの温度環境で使用できるように作られているのでしょうか。「スマホ熱中症」について考えるには、まずこれを知っておく必要があります。

私はapple社のiPhoneと国内メーカのスマートフォンの両方を所有していますが、マニュアルによればiPhoneについては、周囲温度が0℃〜35℃の場所で使用、-20℃〜45℃の場所で保管するよう記載されています。また、国内メーカのスマートフォンについては、周辺温度5℃〜35℃の範囲で使用するよう記載されていますが、36℃〜40℃でも一時的な使用は可能とあります。

いずれも基本的には周囲温度35℃までで使用するよう記載されているわけですが、今年の夏の暑さを考えてみると、東京都心では最高気温が35℃を超える猛暑日を22日も観測した(2023/8/31時点)のですから、スマートフォンの通常使用に適さないほどの高温の日が多くあったということになります。

こんなとき、「スマホ熱中症」に注意!

さて、ここで「スマホ熱中症」が起きそうなシチュエーションを、前に仮定した「スマホ熱中症」を引き起こす要因(「環境」、「スマートフォン本体」、「使用方法」)になぞらえて考えてみましょう。気象条件は気温35℃間近の夏の日と仮定します。

・屋外で待ち合わせをしていた際、スマートフォンで動画を見ながら待っていた

  環境:気温35℃間近な屋外
  スマートフォン本体:動画視聴のアプリケーション使用
  使用方法:連続での動画視聴

高温環境下で、スマートフォンにとって高負荷となる使用(動画閲覧、動画撮影、ゲームなど)をすると、熱が発生してスマートフォン内にこもりやすくなります

  →「スマホ熱中症」が起きる可能性


・スマートフォンの充電が無くなりそうになったので、モバイルバッテリで充電しながら使用した

  環境:気温35℃間近、室内に入ったり屋外に出たりの移動中
  スマートフォン本体:アプリケーション使用
  使用方法:モバイルバッテリからの充電をしながらスマートフォンを使用

充電しながらのスマートフォンの使用は、スマートフォンの使用と充電の両方で熱が発生するため、スマートフォン内により熱がこもりやすくなります。外気温度が高ければそれがより促進されます

  →「スマホ熱中症」が起きる可能性


・駐車した自動車内にスマートフォンを置いて買い物にいった

  環境:気温35℃間近、高温になる自動車内
  スマートフォン本体:アプリケーション起動なし
  使用方法:放置

真夏の自動車内はかなりの高温になります。ダッシュボードなど、条件によっては80℃近い温度になることがあります[参考2]。その温度は、マニュアルに書かれているスマートフォン保管時の周囲温度である-20℃〜45℃をはるかに超えます

  →「スマホ熱中症」が起きる可能性

  [参考2]JAF(日本自動車連盟) 真夏の車内温度


このように、普段意外ととりがちなスマートフォンに関連した行動ですが、夏の暑さが加わることで「スマホ熱中症」が起きる可能性が高まると想定されます。

「スマホ熱中症」を予防するために

もう夏は終わりなのに今更このような記事をとも思いますが、暑さがあとどれくらい続くかはなんとも分かりません。もう涼しくなって欲しいとは思いますが、まだ暑い日が続いた場合のため、また来年以降の夏のために、「スマホ熱中症」を予防するためにはどうしたらよいかにふれて、この記事をまとめたいと思います。

  • 高温下でスマートフォンに高負荷がかかるアプリケーションなどを使用し続けない
  • スマートフォンが熱くなったと感じたら、アプリケーションを終了して負荷を下げるなどしてスマートフォン本体の温度を下げる
  • 充電しながら長時間使用しない
  • 自動車内に置いたままにしない
人間もスマートフォンも、無理な運動をしない、疲れたら休む、クールダウンするなど似たようなことに注意すれば熱中症は予防できるようです。

特に注目して気をつけたいのは、エアコンなどをつけずに停車した自動車内へのスマートフォンの放置です。短時間で車内の温度が上がり、バッテリの破裂や発火といった事故が起きる場合があります。また、外気温度が23℃の過ごしやすい日でも、車内のダッシュボードは70℃にもなるというテスト結果[参考3]がありますので、スマートフォンの車内放置は絶対にやめましょう。

  [参考3]JAF(日本自動車連盟) 春の車内温度

「スマホ熱中症」についてもっと知りたい方へ
【携帯電話各社からの情報】

・dアプリ&レビュー
 「夏によく発生するスマホの発熱とは」
 「スマホも熱中症になる!?熱くなったスマホを安全に冷やす方法とは【スマホ豆知識】(動画紹介)」

・au
 「夏にスマホで気をつけたいポイント!実験結果をもとにプロが解説」

・ソフトバンクニュース
 「炎天下で車内のスマホ放置は危険? 温度が一番高くなる場所と「スマホの熱中症対策」」

【参考情報】

・[参考1]環境省 熱中症予防情報サイト
・[参考2]JAF(日本自動車連盟) 真夏の車内温度
・[参考3]JAF(日本自動車連盟) 春の車内温度

さんぽニュース編集員 伊藤貴子