大規模太陽光発電施設での火災事例【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP

投稿日:2024年5月2日 10時00分

3月末に鹿児島県の大規模太陽光発電施設(メガソーラ)の蓄電設備で火災、爆発事故が起きました。また、4月半ばには宮城県の大規模太陽光発電施設で火災が起きました。今回は、大規模太陽光発電施設での火災などにClose upし、過去に起きた大規模太陽光発電施設での火災などの事故事例を確認してみたいと思います。それでは、RISCAD CloseUP「大規模太陽光発電施設での火災事例」スタートです。

3月と4月の大規模太陽光発電施設での事故事例

太陽光発電施設での事故事例のうち、まずは冒頭で触れた今年3月と4月の大規模太陽光発電施設(メガソーラ)で起きた事故の概要をみてみたいと思います。

2024/3 鹿児島・大規模太陽光発電施設の蓄電設備で火災、爆発
大規模太陽光発電施設の蓄電設備がある鉄骨造平屋建て(スレート葺き)の建屋で火災、爆発が起きた。近隣住民が消防に通報した。消防が約20時間後に鎮火を確認したが、同建屋1棟が全焼した。同建屋内にリチウムイオン蓄電池を用いた蓄電設備があり、短絡、感電や水との反応などの可能性があり放水消火ができず、同施設の電源を遮断して自然に消火するのを待ったため、鎮火確認までに時間を要した。消防士1名が顔などへのやけどで重傷、他の消防士3名がやけどで軽傷を負った。警察と消防の調べでは、消防が排煙装置を使用するために同建屋の扉を開けた際に、何かの原因で爆発が起きた可能性がある。


大規模太陽光発電施設の蓄電設備がある建屋での火災です。建屋の排煙装置を使用するために扉を開けた際に爆発が起き、消火にあたっていた消防士4名がやけどで負傷し、うち1名は重傷となりました。

2024/4 宮城・大規模太陽光発電施設で火災
大規模太陽光発電施設で火災が起きた。同施設の関係者が消防に通報した。ポンプ車やヘリコプタなど36台が約22時間後に鎮火したが、下草や太陽光パネル、ケーブルなど約38,000平方mが焼けた。短絡、感電などの可能性があり、太陽光パネルに直接放水ができず、鎮火確認までに時間を要した。けが人はなかった。警察と消防の調べでは、何かの原因で設備から出火し、下草に延焼した可能性がある。同発電施設は使用を終了したゴルフ場にあり、事業者により2016年に建設された。


こちらは4月半ばに起きた、ゴルフ場跡地を利用した大規模太陽光発電施設での火災です。幸いけが人はいませんでしたが、鹿児島県の火災と同様に鎮火に時間を要しました。

大規模太陽光発電施設は、太陽光パネルの数が多く、火災の規模が大きくなりがちです。この2事例は最近の事故ですが、過去にはどのような事故が起きたのかみてみましょう。

過去の大規模太陽光発電施設での事故事例

2019年の台風15号の影響で起きた、千葉県の大規模太陽光発電施設での火災です。

2019/9 千葉・台風の影響でダム湖面の大規模太陽光発電施設火災
工業用水用ダムの水面を利用して設置された大規模太陽光発電施設で太陽光パネルの火災が起きた。消防が出動して約4時間半後に消火した。被害拡大を防ぐため、管理会社が送電を止めた。けが人はなかった。警察と消防の調べでは、同施設は日本最大規模の水上設置の発電設備で、アンカでダム底に固定された水面に浮かぶ台の上に太陽光パネル約5万枚が並べられていた。同日早朝にかけて通過した台風15号の猛烈な風の影響でパネルが吹き寄せられ、倒れたり折り重なったりしてそのまま発電したため、短絡が起きた可能性がある。


台風の影響ということで、自然災害に起因する産業事故(Natech(ナテック):Natural-Hazard triggered Technological Accidents)の事例でもあります。2019年の台風15号は主に千葉県に多くの被害をもたらしましたが、この大規模太陽光発電施設での火災もそのひとつです。

まとめ

大規模太陽光発電施設とは、メガソーラの名の通り、出力1MW(1メガワット、1,000kW)以上の太陽光発電設備をいうそうです。

ここ10年ほどで、太陽光発電施設はかなり増えたように感じます。車でドライブしていると、こんなところにもといった感じで、大規模太陽光発電施設とまではいかなくても大量の太陽光パネルが並んでいる場所があるのを目にします。

太陽光発電は、持続可能なエネルギーである太陽光を源として発電を行うもので、温室効果ガスの排出削減にもつながるため、クリーンなイメージがあります。その一方で、山林などを切り崩して発電施設を作ることなどによって環境への影響があるのではといった心配の声も聞かれます。

今回立て続けに起きた大規模太陽光発電施設での火災などの事故に関しては、早期に原因が解明され、次なる事故の発生を防ぐような策が講じられることを願います。

【参考情報】

東京電力リニューアブルパワー
  太陽光発電
九州電力
  太陽光発電

さんぽニュース編集員 伊藤貴子