RISCAD Update – 2018年11月第4週【週刊化学災害ニュース】

2018/11/16 12:00 - 2018/11/22 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2018年11月28日 15時00分

*2018/11/04発生の、中国・中国の港で輸送船への荷積み中に化学物質が流出
:有害なC9芳香族炭化水素約7tが漏洩し、海に流出。住民の健康被害や、海洋生物への被害あり

*2018/11/15発生の、ジンバブエ・走行中のバスが爆発、炎上
:乗客がバスに持ち込んだ調理用ガスボンベのガスに何かの原因で着火

*2018/11/15発生の、岐阜・段ボール工場の廃材置き場から火災
:火災により工場内にあったガスボンベが熱せられて破裂し、ガスに着火して被害が拡大した可能性

*2018/11/16発生の、カナダ・石油プラットフォームから石油が流出
:石油約25万t以上が漏洩し、海に流出。野生動物への被害あり

*2018/11/18発生の、東京・神社の境内の倉庫で火災
:祭祀などで使用する備品などが保管されていた。倉庫は、普段は一般の人が立入ることができない場所にあった

2017/12/01に静岡で発生した、インク用樹脂工場で爆発について、事故調査報告書が発表され、詳細な原因が明らかになりました。同工場のインク用樹脂を製造する4階建てプラントの3-4階では熱した松ヤニなどを加工し、2階で冷やし固めて破砕、1階でその袋詰め作業が行われていました。当初、同プラントの1階か2階で粉塵爆発が起きた可能性が示唆されていました。事故調査報告書では、同プラント1階で、充塡機から静電気災害防止タイプのフレキシブルコンテナバッグ(FIBC)への樹脂の袋詰め作業中に、機械と樹脂の摩擦で樹脂が帯電し、FIBC内でコーン放電が起きて、同FIBC内の粉塵に着火して粉塵爆発が起きた可能性があるようです。

また、この炎がダクトを通じて集塵機に達し、集塵機内部の粉塵に着火して再度粉塵爆発が起き、被害が拡大した可能性があるとのことです。

このように粉塵爆発のひとつの特徴として、爆発が連鎖的に起こって被害が拡大するということがあります。過去の事例をあげると、2008年に米国で発生した「砂糖精製工場での粉塵爆発」があります。この事故では14名が死亡し、38名が負傷しました。

粉塵の発生する工場、工程では、粉塵が堆積しない設備構造や日頃の清掃作業が非常に大切であることを考えさせられる事故です。

*この事故報告書の発表に伴い、上記RISCAD概要も更新いたしました。

参考情報:
2018/02/07 米国・砂糖精製工場で粉塵爆発
USCSBチャンネルで公開されている映像

CSB:The U.S. Chemical Safety Board(米国化学安全委員会)

さんぽニュース編集員 伊藤貴子