RISCAD Update – 2018年11月第5週【週刊化学災害ニュース】

2018/11/22 12:00 - 2018/11/30 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2018年12月07日 10時00分

*2018/11/22発生の、ベトナム・交通事故によりタンクローリ積載燃料の漏洩、火災
:追突事故でタンクローリが横転し、積荷の燃料が漏洩し、何かの原因で着火。付近の住宅19棟が全焼。明け方の事故のため、就寝中で逃げ遅れた住民6名が死亡

*2018/11/22発生の、沖縄・自衛隊の護衛艦から実弾が海中に落下
:甲板で高性能20mm機関砲の弾数の確認中に、甲板に流入した波の影響で実弾21発が海中に落下

*2018/11/24発生の、中国・機械設備工場の倉庫で爆発、火災
:付近の住宅370棟が損壊し、うち15棟が全壊

*2018/11/26発生の、岡山・大学の実験室で実験中にガラス瓶が破裂
:大学院生がアンモニアなどの薬品をガラス瓶で混合中であった

*2018/11/28発生の、中国・樹脂工場でアセチレン運搬中に爆発、火災
:同工場ではアセチレンは水素を製造するために使用されていた

*2018/11/28発生の、和歌山・製革工場のボイラで燃料が爆発
:ボイラの燃料の重油が何かの原因で大量に燃料室に送られ、点火の際に着火した可能性

今回お知らせした事故2事例、先週お知らせした1事例と、中国での事故が立て続けに起きました。

中国は国土面積も広く、人口も多いとはいえ、一度事故が起きると被害者が多数出るというイメージがあります。

今年に入ってから起きた事故で、RISCADに登録された事例を被害者数とともに振り返ってみました。

発生月 事例タイトル
(死傷者数)
2018/01 石油タンカーと貨物船が衝突して火災
(死者3名、行方不明29名)
2018/02 爆竹工場で爆発
(死傷者なし)
2018/06 天然ガスパイプラインで爆発、火災
(傷者24名)
2018/07 化学工場で爆発、火災
(死者19名、傷者12名)
2018/11 港で輸送船への荷積み中に化学物質が流出
(症者52名)
2018/11 機械設備工場の倉庫で爆発、火災
(死者2名、傷者57名)
2018/11 樹脂工場でアセチレン運搬中に爆発、火災
(死者23名、傷者22名)

上記7件のうち、死傷者がなかったのは2月に起きた爆竹工場での爆発事故のみで、他の事故では約30-50名の死傷者が出ていることがわかります。

原因を推定していくと、組織要因が多く当てはまるように感じます。安全のためには、個人ベースはもちろんですが、それを取りまとめる組織体制が、教育も含めた安全の精神を持って機能しなければ、事故は減らないように感じます。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子