RISCAD Update 2020年3月第2週【週刊化学災害ニュース】

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投稿日:2020年03月18日 10時00分

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*2020/03/02発生の、中国・会社事務所でエチルアルコールで消毒後に火災
:エチルアルコール濃度75%の消毒液を使用して消毒を行った後、電気の延長コードが短絡して事務所内に充満していた気化したエチルアルコールに着火

*2020/03/08発生の、韓国・半導体工場の廃水処理施設で火災
:廃水の脱水処理をする施設での火災。屋上にある冷却塔から出火した可能性

*2020/03/09発生の、大阪・駅付近の高架下で落下防止用ネットの火災
:ゴミなどの落下防止のために高架橋下に取付けられた布製のネットに、列車通過時に出た火花で着火した可能性

*2020/03/02発生の、滋賀・製薬工場の反応釜で火災
:反応釜の洗浄をしようとしたところ、釜の原料投入部分から出火。従業員1名が顔にやけど

*2020/03/04発生の、パキスタン・化学工場で塩素ガス中毒
:ベントからの塩素ガス放出が原因で塩素ガス中毒が起きた可能性。労働者137名が呼吸困難や目の痛みで病院に搬送され、大半が入院した

*2020/03/10発生の、石川・製塩工場の塩釜で火災
:塩の製造に使用する塩釜の火が煙突を伝って天井や屋根に着火した可能性

上記、中国の会社事務所での定期消毒後の火災ですが、消毒用のエチルアルコール(以下、エタノール)を多量に噴霧したあと、運悪く延長コードの短絡が起きて、気化して事務所内に充満していたエタノールに着火したとのことです。

さて、現在世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス(COVID-19)ですが、エタノールでの消毒が有効とのことで、消毒用エタノールを求める人が増加して消毒薬不足が起きています。

一般にCOVID-19の消毒に有効といわれるエタノール濃度は70%以上ですが、エタノールを60%以上含むものであれば消毒用エタノールであっても消防法上の危険物第4類(アルコール類)になります。

危険物第4類は「引火性液体」です。中でもアルコール類は気化しやすく、気化すると可燃性の混合気を形成し、前述の事例のように多量に噴霧した場合などは、万が一周囲に何かの着火源があれば、気化して滞留したアルコール類に着火して火災が起きる可能性があります。

通常は、一般家庭で消毒用エタノールを大量に噴霧するシーンは少ないかと思いますが、ウィルス対策のために室内で大量に噴霧することなどがないよう、くれぐれも気をつけましょう。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子