RISCAD Update 2021年4月第3週【週刊化学災害ニュース】
2021/04/09 12:00– 2021/04/16 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2021年04月21日 10時00分
:工場2階にあったアイロンをかけるためのプレス機から出火した可能性。工場約300平方mが全焼
:繊維強化樹脂(FRP)製の貯水槽などを製造する工場での火災。工場と製品置場など計5棟、約610平方mが全焼
:配電線の電柱建替工事中にクレーン車のアームが誤って高さ21mの電圧77,000ボルトの送電線に接近して地絡が発生し、タイヤに電流が流れて破裂した可能性。クレーン車の直径約120cmのタイヤ4本中3本が破裂し、ホイルを固定する直径約60cmの金属製部品が吹飛んだ。付近の民家2軒の窓ガラス、外壁と軽自動車、付近の倉庫1棟の窓ガラス、トタン張りの外壁が破損し、電話会社の電柱が折れた
:工場内のいぐさやコルクボードなどの畳材料の資材置場から出火した可能性。鎮火に約23時間を要した
:火災防止のため草地に散水してから実験を行ったが、エンジン燃焼時に高温のエンジン部品または設備部品の一部が風で飛散し、散水範囲外の草地に着火した可能性
:天井の石膏ボードの張替工事のために取り外していた消火設備の感知器の部品を取り付ける際に消火設備が誤作動し、「火災発生」のアナウンスとともに噴出器から二酸化炭素が放出され、シャッタが下りて二酸化炭素が駐車場内に充満した可能性。作業員6名のうち、1名は自力で脱出したが、5名が駐車場に取り残され、うち4名が死亡し、1名が重体となり病院に搬送された
二酸化炭素消火設備の誤作動または誤操作による事故は、2020年12月、2021年1月にも発生しています。
ホテルのタワー式立体駐車場の地下で二酸化炭素消火設備の誤作動によりガスが放出されて二酸化炭素中毒が起きた。同駐車場内で作業中であった作業員1名がガスを吸込んで死亡し、別の作業員や同ホテルの従業員計10名がガスを吸込んで病院に搬送され、1名が重症、9名が中等症や軽症となった。警察と消防の調べでは、同駐車場は車両を昇降機に乗せて昇降させるタワー式立体駐車場で、死亡した作業員1名は、2機ある昇降機のうち1機のチェーン交換などの改修作業中であった。作業で火気を使用する工程があり、同駐車場に設置されていた二酸化炭素消火設備の誤作動を防ぐため、別の作業員が設備を一時停止しようとしたが、誤って作動ボタンを押し、消火設備から二酸化炭素が放出された可能性がある。
高層ビルの地下1階の駐車場で二酸化炭素消火設備から二酸化炭素が放出されて二酸化炭素中毒が起きた。同駐車場内で同消火設備の点検作業中の作業員6名のうち、3名が現場に取り残された。消防が救助して、病院に搬送したが、うち2名が死亡し、1名が一時重体となった。警察と消防の調べでは、同消火設備の点検作業中に、消火設備の誤作動または誤操作により二酸化炭素が放出され、周囲に充満した可能性がある。
4階建てのマンションの地下1階の機械式立体駐車場で二酸化炭素消火設備から二酸化炭素が放出されて二酸化炭素中毒が起きた。消火設備が作動したことで同駐車場のシャッタが閉じ、駐車場の天井の石膏ボードの張替作業中の作業員6名のうち、5名が駐車場に取り残され、うち4名が死亡し、1名が重体となり病院に搬送された。1名は自力で脱出してけがはなかった。警察と消防の調べでは、工事のために取り外していた消火設備の感知器の部品を取り付ける際に消火設備が誤作動し、「火災発生」のアナウンスとともに噴出器から二酸化炭素が放出され、シャッタが下りて二酸化炭素が駐車場内に充満した可能性がある。消火設備を手動で作動させるボタンは地上1階に設置されており、事故前に押された形跡はなかった。
日常生活では、中毒を起こすほどの濃度の二酸化炭素に接することはほぼないと考えますが、人が中毒や酸欠を起こし、死に至ることもある二酸化炭素について、過去にRISCAD CloseUPで取り上げています。
よろしければご一読ください。
【参考記事】
二酸化炭素中毒とは?【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP