RISCAD Update 2021年5月第4週【週刊化学災害ニュース】

2021/05/21 12:00– 2021/05/28 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2021年06月02日 10時00分



*2021/05/21発生の、兵庫・製鉄所で一酸化炭素中毒

:工場の5階で一酸化炭素中毒が起き、関連会社社員1名が死亡。社員は前日深夜から勤務しており、単独でダクト洗浄などを行っていた

*2021/05/21発生の、鹿児島・木材チップ工場で溶接作業後に火災

:工場では、ベルトコンベア修理のため16時半頃まで溶接作業を行っており、木材チップに溶接の火花が飛散して着火した可能性

*2021/05/23発生の、熊本・下水処理場で次亜塩素酸ナトリウムが農業用水路に流出

:破損した配管から漏洩した消毒用の次亜塩素酸ナトリウムを、ポンプなどで回収せず、翌朝の清掃時に水で洗浄。高濃度の次亜塩素酸ナトリウムを含んだ洗浄後の水を誤って農業用水路に流した可能性。農業用水路でフナやコイなど約140匹が死んだ

*2021/05/24発生の、中国・食品工場で硫化水素中毒

:タケノコの加工を行う工場での設備の点検、整備中の事故。硫化水素中毒で、7名が死亡し、1名が病院に搬送された

*2021/05/25発生の、中国・貿易会社で炭鉱用爆薬が爆発

:貿易会社の代表者が炭鉱を経営しており、炭鉱で使用するため違法に製造、保管していた爆薬が爆発した可能性。8名が死亡し、4名が負傷

*2021/05/28発生の、福岡・製鉄所敷地内でガスバーナを使用した解体工事中に火災

:製鉄所敷地内の廃業した関連工場での解体工事中の火災。ガスバーナを使用した冷却装置の解体作業中に火花が飛散して樹脂に着火した可能性


5/11に発生した、亜鉛工場での火災が約20日後の5/31に鎮火したとのことです。
2021/5/11 福島・亜鉛工場で分級ファンの不具合による粉塵爆発、火災
亜鉛工場で粉塵爆発、火災が起きた。付近の住民が消防に通報した。高温の亜鉛粉末は放水による消火や冷却ができず、消防が砂をまくなどして約4時間後に鎮圧した。同工場の側面や屋根、設備などが損傷した。敷地内の別の建屋への影響はなかった。協力会社社員1名が全身やけどで重傷を負い、2名が顔へのやけど、1名がけがで軽傷を負った。警察と消防の調べでは、同工場は24時間操業で、錆止塗料や化粧品材料の金属亜鉛粉末を製造していた。亜鉛粉末の大きさを風で選別する分級ファンを稼働させた際に異音がしたため、重傷を負った協力会社社員が停止させようとしたが爆発した。分級ファンに不具合が起き、亜鉛粉末に着火した可能性がある。
火災は消防が約4時間後に鎮圧したものの、火災により高温になった亜鉛粉末の温度が、鎮火の目安である100℃以下まで低下しなかったため、鎮火に時間を要したとのことです。

亜鉛粉末の冷却に時間がかかった理由として、水で消火、冷却ができないということがあります。それは、亜鉛粉末の以下のような特性のためです。

 ・水分と反応し、可燃性ガス(水素)を発生する
 ・大量の粉末を湿った状態で空気にさらすと、発熱して自然発火する

そのため、砂をかけて外気と遮断し、自然に冷却するのを待つしかありませんでした。そして亜鉛粉末の温度が低下してきたところで、安全を確保しつつ、出火から約20日後の5/31 10:43に鎮火の判断がされたということです。

今後、工場内の亜鉛粉末約30tの除去作業を行いつつ、事故の原因調査がすすめられるとのことです。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子