RISCAD Update 2021年6月第4週【週刊化学災害ニュース】
2021/06/18 12:00– 2021/06/25 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。
投稿日:2021年06月30日 10時00分
:歩道を掘削中に、近隣の製油所からコンビナートに化学製品原料のエチレンを送るのに使用されていたガス管を誤って破損し、エチレンが漏洩。けが人や体調不良はなし
:油田からプラントに原油と天然ガスを移送するパイプラインが破損して原油と天然ガスが漏洩。けが人や体調不良はなし
:長期間放置されていた金属洗浄用の硝酸を入れた樹脂製バケツが腐食して硝酸が漏洩。そのバケツを移動させようとして底が抜けた。素手のまま雑巾で硝酸を拭取ったり、吸込んだりした従業員計8名が薬傷や体調不良で軽傷または軽症
:トラックからタンクへの臭素の移送作業中の漏洩事故。配管を繋ぐため部品を緩めた際に、漏洩した臭素を作業員2名が吸込んだ可能性。2名は喉の痛みなどで病院に搬送された。工場周辺への影響はなし
:プレス機を使用して業務用アセチレンガスボンベを圧縮する作業中に、ボンベを誤って切断し、ボンベ内に残留していたガスが漏洩して金属火花で着火した可能性。従業員1名がやけどで軽傷
:シリコン半導体などに使用する装置部品を製造する建屋で、黒鉛を熔かすために使用されていた電気炉の火災。消火時に放水すると、高温の炉で水蒸気爆発を起こす可能性があったため、消防が炉内の空気を遮断して約2時間半後に消火。けが人はなし
さて、この事故の情報収集中に、住民が油が浮いているのを発見した河川の名前を知り、気になりました。
それは「草生津川」と言う河川で、「くそうずがわ」と読むのだそうです。変わった響きだと思い、その「草生津川」について調べてみました。すると、興味深い事実を知ることができました。
「くそうず」は、「臭水」と表記され、古くは「石油」を意味した言葉であるそうです。
石油には独特の臭気があるため、「臭い水」、つまり「臭水」(くそうず)と呼ばれるようになり、その当て字として「草生津」、「草生水」、「草水」などの表記があるようです。
今回の漏洩事故があった「草生津川」については、Wikipediaの八橋油田についての項目で以下のように記されています。
現在の秋田市八橋・寺内地区は、古くから自然に油の出る場所があったようで、南北に長い
八橋油田の地域を流れる川が草生津川(くそうづがわ)と呼ばれている。「くそうづ」は
石油の和名であり、「臭い水」の意とされる。
「くそうず」を発見した私たちの祖先が、それを燃料として使用するまでの過程に思いを馳せるのも、なかなか趣深いものがあります。
【参考情報】
- 八橋油田(Wikipedia)
- 国土交通省飯豊山系砂防事務所ホームページ 飯豊山系情報・流域の文化 胎内市