RISCAD Update 2021年8月第2週【週刊化学災害ニュース】

2021/08/06 12:00– 2021/08/13 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2021年08月18日 10時00分



*2021/08/04発生の、福岡・原子力発電所で配管腐食による開口部から海水が漏洩

:タービン建屋の地下1階にある、タービンを回したあとの水蒸気を水に戻す復水器の冷却用循環水配管のベント弁付け根の配管に開いた穴から、循環水として取水された海水が漏洩。建屋の換気ダクトを伝って配管に雨水が落ち、外面から腐食して減肉が進み穴が開いた可能性。外部への放射能漏洩などの影響はなし

*2021/08/07発生の、佐賀・廃止措置中の原子力発電所で空調装置が焦げる

:原子炉補助建屋の計算機室で空調装置が焦げたが、火災とは認定されず。建屋は放射線管理区域外で、放射性物質の漏洩などはなし

*2021/08/08発生の、南アフリカ・石炭火力発電所で漏洩検査中に水素が爆発

:発電機内の水素を二酸化炭素と空気に置換する作業中の爆発事故。発電機内に十分な量の水素が残留しており、空気の導入によって可燃性混合気を形成し、着火した可能性。けが人はなかったが、従業員7名がショック状態となり、救急隊の治療を受けた

*2021/08/10発生の、福岡・ごみ焼却中にスプレー缶が破裂して火災

:農業用ハウス付近でハウス所有者がごみを燃やしていた際に、ごみに混入していたスプレー缶が破裂して漏洩した残留ガスに着火し、所有者の衣服やハウスに着火した可能性。農業用ハウス2棟が全焼し、所有者が背中や両腕にやけど

*2021/08/12発生の、北海道・建設会社で水タンクに空気を充塡して漏洩点検中に破裂

:ミキサ車洗浄用の円筒形の新品の水タンクに空気を充塡して漏洩点検中のタンクの破裂事故。漏水点検をしていた作業員1名が死亡

*2021/08/12発生の、長野・プリンタトナー工場の乾燥機で粉塵爆発

:粉塵爆発により工場2階にあった生産用設備1台と3階の外壁の一部約45平方mが損傷。工場は、2021/7に静電気が原因の可能性がある粉塵爆発が発生して操業を停止していたが、安全対策を行い、8/7から再稼働していた


上記8/12発生の長野でのプリンタトナー工場での粉塵爆発ですが、記載したように、同工場では今年7月にも粉塵爆発事故が起きました。その事故概要は以下のようなものでした。
2021/7/6 長野・プリンタトナー工場で粉塵爆発
鉄骨造4階建てのプリンタトナー製造工場で粉塵爆発から火災が起きた。消防車7台が約2時間半後に鎮火したが、同工場の一部と機械などが焼けた。同工場内にいた従業員10数名は全員避難してけが人はなかった。警察と消防の調べでは、同工場ではプリンタ用トナーなどを生産しており、トナーを乾燥させる設備で静電気により粉塵爆発が起きた可能性がある。
工場はこの事故の後、第三者機関の協力のもと、事故原因を検証して原因の特定を行い、安全対策を実施して安全性を確認した上で、8/7に再稼働したばかりでした。なお、会社の発表では、今回事故が起きた乾燥機は、前回事故が起きたものと同じタイプの別の乾燥機であるとのことです。

安全対策を行った上での再稼働から、1週間もしないうちに発生した今回の事故。前回と同タイプの別の乾燥機での粉塵爆発の発生の可能性があるということで、さらなる原因究明の結果が気になるところです。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子