RISCAD Update 2021年8月第3週【週刊化学災害ニュース】

2021/08/13 12:00– 2021/08/20 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2021年08月25日 10時00分



*2021/08/12発生の、東京・合同庁舎でテーブルタップから火災

:合同庁舎9階の執務室での火災。職員が離席中にテーブルタップから出火し、職員が席に戻って発煙に気づき、水をかけて消火。床の一部やテーブルタップ、書類、封筒などが焼けた。テーブルタップのプラグ差込口付近にはほこりがたまっていた

*2021/08/14発生の、佐賀・豪雨による浸水でドラム缶から廃油が流出

:豪雨により自動車整備工場が浸水してドラム缶が倒れ、廃油約35Lが近隣の道路に流出。消防が吸着剤で油を除去し、中和作業を行った

*2021/08/15発生の、レバノン・不正燃料貯蔵施設でガソリン配布中に爆発

:密輸業者が不正に燃料を貯蔵していた施設での爆発事故。数日前に軍が業者を摘発してガソリンを押収し、住民に配布中に着火した可能性。また、国内で燃料不足が起きており、ガソリンを受取るため多数の住民が集まったことで被害が拡大した可能性

*2021/08/15発生の、東京・大学の研究室で薬品の保温用の装置周辺から火災

:薬学部の10階建ての研究棟の2階の研究室での火災。研究室は無人で、実験用の薬品を一定温度で温める装置で前日から薬品を温めており、装置周辺から発煙した可能性。研究棟の2階と3階の一部約70平方mが焼けた

*2021/08/16発生の、静岡・廃棄物処理施設でベルトコンベアの火災

:廃棄物リサイクル処理施設の破砕された不燃廃棄物を運搬しているベルトコンベアの火災。不燃廃棄物の中にリチウムイオン電池が混入していた可能性

*2021/08/17発生の、鳥取・健康食品原料工場の空の反応槽内で意識不明

:甲殻類の殻に含有される成分から健康食品や化粧品の原料などを製造する工場での事故。原料製造用反応槽内で作業中に作業員2名が倒れて意識不明の重体。反応槽は甲殻類の殻や薬品を投入し混合するためのものであったが、2021/7上旬から薬品は保管されていなかった


上記8/12発生の東京の合同庁舎でのテーブルタップの火災について、今回火災が発生したのは合同庁舎の9階の執務室とのことですが、7/16にも、同庁舎内の今回の火災が起きた組織とと同組織が使用する10階の執務室で火災が発生しました。その事故概要は以下のようなものでした。
2021/7/16 東京・合同庁舎でパソコンの電源ケーブルの短絡による火災
合同庁舎の10階の執務室でパソコンの電源ケーブルの短絡による火災が起きた。はしご車など20台が約50分後に消火したが、机1台とパソコン2台が焼けた。スプリンクラが作動して約1.6tの水が撒かれ、9階の複数の部屋で天井板が落下した。また、3-10階までの各階が浸水するなどした。けが人はなかった。警察と消防の調べでは、出火時、火元の部屋は無人で、施錠されていた。業務に使用しているパソコンの電源ケーブルの一部が断線しており、短絡により出火した可能性がある。
そして今回の火災のより詳細な概要は以下の通りです。
2021/8/12 東京・合同庁舎でテーブルタップから火災
合同庁舎の9階の執務室でテーブルタップから火災が起きた。職員が発煙に気づき、水をかけて消火した。通報を受けた消防が鎮火を確認したが,床の一部やテーブルタップ、書類、封筒などが焼けた。けが人はなかった。警察と消防の調べでは、出火時、同室の職員は離席中で無人で、同職員が席に戻り、発煙に気づいた。燃えた封筒の下にあったテーブルタップから出火した可能性がある。同テーブルタップのプラグ差込口付近にはほこりがたまっていた。
今回の火災も前回の火災もテーブルタップや電源コードなどの電気系統が関連しているとのことです。

7月の火災は電源ケーブルの短絡によるものとのことでしたが、今回の火災ではテーブルタップのプラグ差込口付近にほこりがたまっていたとのことから、トラッキング現象が発生した可能性は否めません。また、燃えた封筒の下にテーブルタップがあったということから、テーブルタップのごく近くに可燃の紙類が多くあった可能性があります。

このような火災は、私たちの勤務するオフィスでも起こりうる事例です。また、昨今、働き方改革や新型コロナウイルス(COVID-19)の流行によりテレワークの促進が求められており、それによりオフィス代わりとなった自宅では、テレワーク用に持ち帰ったPCなどの電源確保にテーブルタップなどを使用して、タコ足配線となっていると推察されます。

オフィス、自宅を問わず、電源ケーブルやテーブルタップ、コンセント周りの清掃、機器類の劣化のチェックなどをして電気系統からの火災を防ぎましょう。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子