RISCAD Update 2021年10月第2週【週刊化学災害ニュース】

2021/10/01 12:00– 2021/10/08 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2021年10月13日 10時00分



*2021/09/30発生の、米国・米国で交通事故によりトラックの積荷のでんぷんが粉塵爆発

:踏切内でトレーラが立往生していたところに列車が衝突し、衝撃で飛散したトレーラの積荷のでんぷん粉末に着火して粉塵爆発が起きた可能性

*2021/10/02発生の、米国・パイプラインが破損して原油が海に流出

:原油掘削設備でパイプラインが破損して原油約48万Lが漏洩。周辺を航行していた船舶の錨の接触によりパイプラインが破損した可能性。近隣の海岸に原油が打寄せられ、鳥や魚の死骸が多数打揚げられるなど、生態系への影響が発生

*2021/10/03発生の、宮城・リサイクル工場の破砕施設で火災

:産業廃棄物の破砕、圧縮固化などの中間処理を行う工場の破砕施設での火災。施設内には廃樹脂や木くず、紙類などの可燃物と重機数台が保管されていた

*2021/10/05発生の、北海道・花火工場の火薬庫で装置の通電点検中に爆発

:火薬庫内にあった煙火打揚装置の通電確認作業中に出火し、火薬庫内に保管されていた煙火に着火して被害が拡大した可能性。従業員1名がやけどで重傷、社長と別の従業員の計2名が軽傷

*2021/10/06発生の、鹿児島・大学の実験室でアジ化ナトリウムを紛失

:大学の実験室での、ポリエチレン製容器入りの未開封のアジ化ナトリウム約25gの紛失。実験用に購入されたが、すぐに使用されず劇物保管庫にしまい忘れたため、誤って廃棄された可能性

*2021/10/06発生の、青森・燃焼試験炉でリチウムイオン電池の熱分解試験中に爆発

:燃焼試験炉はリサイクル会社が産業廃棄物処理施設の敷地の一部を借上げて設置したもので、会社と施設が共同でリチウムイオン電池のリサイクルの研究をしていた。リチウムイオン電池を高温の炉に投入し、電池の熱分解の試験をしていたリサイクル会社の従業員1名が死亡、同1名が負傷


10/8、宮城県で以下の事故が起きました。
10/8 宮城・複合施設で洗剤の誤混合により有害ガスが発生
複合施設で清掃員が洗剤を誤って混合し、有害ガスが発生した。ガスを吸い込んだ清掃員1名が、喉の痛みなどで病院に搬送された。当日、同施設で開催予定のイベント等はなく、従業員や客などへの影響はなかった。警察と消防の調べでは、負傷した清掃員が塩素系漂白剤と酸性のトイレ用洗剤を誤って混合したことで、有害ガスが発生した可能性がある。
有害ガスの発生としていますが。これは塩素系漂白剤の成分である「次亜塩素酸ナトリウム」と「酸性」の洗剤が反応したことで「塩素ガス」が発生したものと考えられます。

いまから30年以上前の1980年代に、清掃中に塩素系漂白剤と酸性洗剤を混合したことが原因で塩素ガスが発生したとみられる事故が数件発生しました。事故で被害に遭われた方は、塩素ガスを吸い込んだことが原因で体調不良となったり、また、死亡したというケースもありました。私自身、当時、それらの事故が報道されたのを見聞きした記憶があります。

この1980年代の事故発生の後、該当の洗剤類のパッケージへの「まぜるな危険」の注意書きの表示が義務付けされることとなったそうです。

昨今はこの誤混合による事故の情報を聞く機会は減ったように感じますが、30年経過すれば、「まぜるな危険」の表示がされるきっかけとなった事故の記憶が薄れ、また、なぜその記載があるのか、なぜ危険なのか知らない世代が出てくる可能性があります。

ここで再度の注意喚起です。

塩素系洗剤と酸素系洗剤の混合は、有害なガスが発生するため大変危険ですので、絶対にやめましょう。また、誤って混合してしまう、結果として混合してしまうことがないよう、最善の注意を払いましょう。

 

【参考情報】

東京消防庁公式チャンネル「洗剤の混合危険」

さんぽニュース編集員 伊藤貴子