RISCAD Update 2022年2月第5週-3月第1週【週刊化学災害ニュース】

2022/02/25 12:00– 2022/03/02 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年03月09日 10時00分



*2022/02/23発生の、山梨・県の施設で無届の酢酸ウラニルを発見

:30年以上放置されていた薬品庫の整理中に、国に無届けの開封済みの25g入りガラス製容器に入った酢酸ウラニル約5gが発見された。人体への影響はなし。県が原子力規制庁に報告した

*2022/02/28発生の、北海道・高層気象観測施設で水素気球を飛ばす直前に火災

:上空の気象の観測を行うための水素で膨らませた気球を飛ばす直前の火災。気球を飛ばすための放球筒が焼けた

*2022/02/17発生の、愛知・繊維製品工場で照明の交換作業中に火災

:工場内の照明をLEDに交換する工事中の火災。何かの原因で出火して工場内の綿に着火した可能性。作業員1名が火災により死亡した可能性

*2022/02/28発生の、茨城・資材置場で火災

:資材置場に置かれていた資材や廃材が焼け、隣接する建物に延焼。同県には乾燥注意報が出されていた

*2022/03/01発生の、北海道・漁港で倉庫の火災

:網などの道具類が保管されている倉庫での火災。倉庫は作業場としても使用されており、ストーブなどが置かれていた

*2022/03/01発生の、宮崎・産業用爆薬工場で火薬類の計量作業中に爆発

:産業用爆薬の原料となるニトログリセリンや硝安油剤爆薬などを製造する工場での、火薬類計量中の爆発事故。工室が全損して消失し、周辺の学校などの公共施設や住宅など約50棟で窓ガラスや壁が破損するなどした。計量作業中の従業員1名が行方不明となった。また、飛散物があたった1名が軽傷


この時期になると野焼きが原因の火災のニュースがよく聞かれます。

ここでの野焼き*は、春からの田畑での作物の栽培に備えて、前の年の稲藁や刈り取った草を燃やすことをいいます。稲藁や刈り取った草を燃やして灰にして土に混ぜ込むことで肥料としたり、また、病害虫の駆除になったりと、昔から多くの農家で行われてきた、いわば農業の一環ともいえる行為でした。

先月のRISCAD CloseUP廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)においては、屋外で廃棄物を焼却する野焼きなどの行為は原則として禁止されていますが、農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却として、農業者が行う稲わら等の焼却、林業者が行う伐採した枝条等の焼却、漁業者が行う漁網に付着した海産物の焼却などがあげられ、これらについては例外的に認められています。

とはいえ、農業者などが行うものであっても、なるべく野焼きの手段を取らずに稲藁などの処理をすることを推奨している自治体が増えているようです。理由として、野焼きをすると大量の煙が出るため、それを吸い込んで体調を崩したり、持病が悪化したりする方がいることや、洗濯物ににおいがつくなどの訴えがあるからだそうです。

そういう風潮になりつつあるとしても、野焼きが原因の火災のニュースは多く耳にします。延焼して消火に長時間かかる事例や、死傷者が出る事例も少なくありません。乾燥や強風といった火災が拡大する要素が揃う春、野焼きを行う場合には最大限の注意を払う必要があります。

*一般的に野焼きとは、一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準または特別管理産業廃棄物処理基準に従って行う廃棄物の焼却以外の廃棄物の野外焼却全般を言いますが、ここでは春からの田畑での作物の栽培に備えた野焼きについて述べています。

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子