RISCAD Update 2022年3月第3週【週刊化学災害ニュース】

2022/03/11 12:00– 2022/03/18 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年03月23日 10時00分



*2022/03/11発生の、石川・火力発電所の船着場で揚炭機の火災

:船から石炭を荷降ろしする揚炭機付近から出火した可能性。揚炭機1機とベルトコンベア1機が焼けた。出火時、船着場に運搬船は停泊していなかった

*2022/03/11発生の、大分・製鉄所の銅スラグ冷却施設で火災

:1,000℃以上の銅スラグを水で冷却する施設での火災。銅スラグ冷却の際に発生する水蒸気の拡散を防ぐために設置されていたゴム製カーテンが焼けた

*2022/03/13発生の、宮城・大学の実験室で火災

:無人の実験室での火災。実験室内の火元付近にはガラス片などの燃残りがあった

*2022/03/13発生の、富山・燐製品工場で漏洩した黄燐が自然発火

:食品添加物用の燐酸塩などを製造する工場での火災。原料の黄燐が配管から漏洩し、空気と反応して自然発火した可能性

*2022/03/14発生の、台湾・大学の実験室で火災

:実験機器の操作に不手際があり出火した可能性。実験室内には大量の有機溶剤が保管されていた。けが人はなし

*2022/03/16発生の、福井・眼鏡部品工場で火災

:眼鏡のつるやフレームなどの眼鏡部品を製造する工場での火災。工場約270平方mが全焼し、隣接する木造2階建て住宅と倉庫の一部が焼けた。現場から2名の遺体が見つかり、出火時に工場で作業をしていた工場の経営者と従業員の可能性がある


3/16に発生した、宮城県と福島県で最大震度6強を観測した地震により被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

地震の後に、東北電力、東京電力管内で大規模な停電が発生しました。

この際に、一部のプラントでは、フレアスタックからの炎が通常より大きくなったのが確認されたそうです。

フレアスタックとは、原油採掘施設、ガス処理施設、製油所などのプラントで発生する余剰ガスを安全に燃焼させる装置のことをいいます。余剰ガスをそのまま大気中に放散すると、環境汚染などにつながる可能性がありますが、それらの余剰ガスを煙突の先で燃やすことである程度無害化しているのです。

フレアスタックからの炎は、何かの事情でプラントの生産が停止した場合や、プラントの修繕の際などにより大きくなることがあります。なぜならば、余剰ガスが通常稼働時よりも多くなるためです。そのような時にフレアスタックからの炎が大きくなるということは、通常より多くなった余剰ガスが焼却された結果といえるので、余剰ガスが安全に処理されている証ともいえます。

3/16の地震の後、停電で真っ暗な中、遠く工業地帯がある方角に大きな炎を見て、地震の影響でどこかのプラントで火災が起きたのでは、と不安になった方がいたようですが、フレアスタックからの炎が大きくなったということは通常より多くなった余剰ガスが焼却されたということなのです。

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子