RISCAD Update 2022年3月第4週【週刊化学災害ニュース】
2022/03/18 12:00– 2022/03/24 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。
投稿日:2022年03月30日 10時00分
:非常用ディーゼル発電機の試運転中に、回転軸を固定する軸受部分から1L未満の潤滑油が漏洩。同発電機は、発電所の外部電源が喪失した際に原子炉を安全に停止させるためのもので、非常時には7日間継続しての稼働が求められる
:開発中の電池パックの性能評価準備中に、電池パックの一部から出火した可能性。工場での生産への影響はなし
:オートバイの修理中に何かの原因で出火した可能性。修理をしていた修理会社の責任者がやけど
:清掃に使用する高圧洗浄機を稼働させるための発電機から発生した一酸化炭素による中毒。換気が不十分で排気ガスが充満し、一酸化炭素が発生した可能性。清掃業者の作業員5名が排気ガスを吸込んで体調不良
:火元の倉庫では、出火の約2時間前まで従業員が木材加工の機械を使用しており、その後、機械の漏電が起きて出火した可能性。倉庫2棟が全焼し、中に保管されていた木材などが焼けた
:工場の作業小屋内に保管されていたドラム缶の火災。プラントへの被害はなし。小屋内で作業中であった従業員1名が左手の小指にやけどで軽傷
この「さんぽのひろば」は今回の「RISCAD Update」が今年度最後の更新となります。
2022年が明けてからの3ヶ月の間に、印象に残る3件の大きな事故が起きました。この「RISCAD Update」でもお知らせした事故ですが、以下、その概要を振り返ってみます。
2/11 新潟・製菓工場で火災
鉄筋コンクリート一部2階建ての米菓製造工場で火災が起きた。警備会社が消防に通報した。消防車など22台で約11時間後に鎮火したが、同工場が全焼した。清掃担当の従業員4名と製造担当の従業員2名の計6名が死亡し、従業員1名が煙を吸って病院に搬送された。警察と消防の調べでは,同工場は24時間操業で、火災のあった建物では、煎餅やあられを製造しており、生地の作成、成型や乾燥、焼成、包装などの工程ごとの区画に分かれていた。煎餅焼成用の長さ数10mの焼釜付近か乾燥工程付近で、炭化した煎餅のかすなどから出火した可能性がある。出火時は生産ラインは休憩時間で、清掃作業が行われていたが、製造機械は点火されたままであった。また、同工場内には約30名の従業員がいたが、火災により停電が起き、避難に支障が出た可能性がある。
3/1 宮崎・産業用爆薬工場で火薬類の計量作業中に爆発
産業用爆薬工場の平家建ての洗浄工室で火薬類の計量作業中に爆発が起きた。同工場関係者や近隣の住民が消防に通報した。同工室が全損して消失した。周辺の学校などの公共施設や住宅など約100棟で窓ガラスや壁が破損するなどした。計量作業中の従業員1名が行方不明となり、のちに死亡が確認された。同工場敷地内にいたグループ会社の社員や近隣の事業所の従業員、近隣住民など計5名が軽傷を負った。警察と消防の調べでは、同工場では、鉱山などの発破に使用する産業用爆薬の原料となるニトログリセリンや硝安油剤爆薬などを製造しており、同建屋には、ニトログリセリン約2tとジエチレングリコールジナイトレート約1.1tが貯蔵されていた。当時同工室では、従業員3名で火薬類の計量作業をしており、死亡した1名が計量を担当し、別の2名が運搬を担当していた。運搬を担当していた2名が同室を離れた際に、何かの原因で爆発が起きた可能性がある。
3/7 兵庫・製鉄所の試験用乾燥炉で爆発
製鉄所の金属粉を加工する工場の試験用乾燥炉で爆発が起きた。守衛が消防に通報した。火が上がったが,従業員が消火器で消火し、建物の損傷はなかった。作業中の従業員1名が意識不明の重体で病院に搬送されたが死亡し、近くで作業していたグループ会社社員2名がやけどや肘の骨折、打撲などで軽傷を負った。有害物質の放出はなかった。警察と消防の調べでは、同工場では鋳鍛鋼、鉄粉、チタンなどを製造しており、死亡した従業員は、試験用乾燥炉で鉄粉を乾燥させていた。何かの原因で炉が爆発した可能性がある。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子