RISCAD Update 2022年4月第2週【週刊化学災害ニュース】

2022/04/08 12:00– 2022/04/15 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年04月20日 10時00分



*2022/04/09発生の、大分・製鉄所の高炉の樋から銑鉄が漏洩

:銑鉄を高炉から運搬用の貨車まで運ぶための樋から、約1,200℃の銑鉄が地面に漏洩。自衛消防隊の銑鉄への放水冷却により、鉄鉱石の成分が混じった赤褐色の水蒸気が発生。有害物質の発生はなし

*2022/04/09発生の、宮崎・繊維工場の乾燥小屋で火災

:化学繊維を製造する工場の乾燥小屋での火災。紙や筒,すのこなどが焼けた。黒煙が発生し、警察が近隣住民に煙を吸入しないように注意を呼びかけた

*2022/04/12発生の、群馬・建設会社でアセチレンガス抜作業中に爆発

:直径約23cm、長さ約100cmのアセチレンガスボンベのガス抜作業中の爆発事故。作業中の従業員1名が顔や胸にやけどで重傷

*2022/04/13発生の、北海道・農家の倉庫で火災

:倉庫内では、米を温めて発芽させるための機械5台が稼働中であった

*2022/04/14発生の、宮城・酒店の店舗兼倉庫で火災

:店舗兼倉庫1棟が全焼し、隣接する山林の一部が焼けた。建屋は無人で、けが人はなし

*2022/04/15発生の、宮城・木工所のサイロでおがくずの火災

:サイロ内のおがくずが焼けたが、約1時間後に消火


先週に引き続き、また繊維工場での火災が起きました。(上記、4/9発生の宮崎・繊維工場の乾燥小屋で火災)

先週の火災は主にニット生地の製造をする工場でしたが、上記の火災が起きた工場では主に化学繊維を製造していたようです。

恥ずかしながら、私は少し前まで化学繊維はすべて石油製品だと思っていました。しかし、繊維工業について調べる機会があり、そうではないということを知りました。

私たちがよく耳にする化学繊維は、ナイロン、ポリエステル、アクリル、アセテート、レーヨン、キュプラなどでしょうか。

これらの化学繊維は大まかにいうと以下のように分類されるとのことです。

  • 合成繊維:ナイロン、ポリエステル、アクリルなど
    →石油などの原料を化学的に合成したもの。溶融紡糸(加熱した原料をノズルから押出して繊維状にし、温度を下げて固める)により製造。
  • 半合成繊維:アセテートなど
    →原料の天然物(セルロース)の構造の一部を化学反応させてから溶剤に溶かし、繊維状に加工したもの。乾式紡糸(溶剤に溶かした原料をノズルから噴出させて空気中に押出し、熱風で溶剤を蒸発させる)により製造。
  • 再生繊維:レーヨン、キュプラなど
    →原料の天然物(セルロース)を溶剤に溶かし、繊維に再生したもの。湿式紡糸(溶剤に溶かした原料をノズルから噴出させて溶液中に押出し、溶液内で固める)により製造。
一口に「化学繊維」と言っても、その原料、製造方法、機能性、そしてもちろん用途ともにさまざまです。私は繊維工業について調べる機会を持ったことで、その違いを知り、ますます繊維の奥深さを知ったのでした。

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子