RISCAD Update 2022年6月第2週【週刊化学災害ニュース】

2022/06/03 12:00– 2022/06/09 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年06月15日 10時00分



*2022/06/04発生の、北海道・自動車整備工場の塗装ブースで火災

:工場内の塗装ブース約20平方mと、換気ダクトの一部、車両1台などが焼けた。塗装で出る飛沫を吸引する機械か、塗装乾燥用の窯から出火した可能性

*2022/06/04発生の、埼玉・自動車リサイクル会社で廃材の火災

:敷地内のヤードに積まれていた自動車や部品などが焼けた

*2022/06/04発生の、インド・電子機器工場で爆発

:工場内の何かの化学物質が爆発した可能性。現場から少量の火薬類が見つかったことから、工場では当局に届出ていた電子機器以外の製造を行っていた可能性。従業員13名が死亡、21名が重傷

*2022/06/04発生の、インド・化学工場で爆発、火災

:亜硝酸塩を意味する”Nitrite”を社名に含む会社の工場での事故。工場内の無機化学物質を保管していた倉庫で爆発が起きた可能性。労働者3名が重体、ほか60名以上が負傷

*2022/06/04発生の、バングラデシュ・コンテナ集積地で過酸化水素などの爆発、火災

:約4,000個のコンテナが置かれた、港から輸出入するコンテナを保管する物流拠点での火災。一部のコンテナに、当局に無届の過酸化水素などの化学物質が入っていたため、被害が拡大した可能性。消防士9名を含む49名が死亡、警察官10名を含む300名以上が負傷

*2022/06/08発生の、米国・液化天然ガス工場で爆発、火災

:工場内の設備が損傷し、工場の稼働が約3週間停止された。工場の生産能力は1日当たり最大約6,000万立法mであった


今年4月、三重県のセルフ式ガソリンスタンドで以下の事故が起きました。

2022/4 三重・セルフ式ガソリンスタンドで客がガソリン携行缶にガソリンを給油中に火災
セルフ式ガソリンスタンドで客がガソリン携行缶にガソリンを給油中に火災が起きた。同スタンドの従業員が消火器で消火した。けが人はなかった。警察と消防の調べでは、客が軽トラックの荷台のゴムシート上にガソリン携行缶を置いたまま給油したため、給油中にガソリン携行缶の周りに帯電し、静電気でガソリンに着火した可能性がある。法令では、セルフ式ガソリンスタンドで客がガソリン携行缶に給油することは禁止されている。

この事故には、まず以下の2点の原因があるといえるのではないでしょうか。

  • セルフ式ガソリンスタンドで客がガソリン携行缶にガソリンを給油することは禁止されていたにもかかわらず、客が自ら給油したこと
  • セルフ式ガソリンスタンドの従業員が客自らのガソリン携行缶への給油を未然に防げなかったこと
「消防法危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)」(出典:e-Govポータル)では、セルフ式ガソリンスタンドについて以下のように定めています。

第三章 製造所等の位置、構造及び設備の基準
(顧客に自ら給油等をさせる給油取扱所)
第二十八条の二の四 令第十七条第五項の総務省令で定める給油取扱所は、顧客に自ら自動車若しくは原動機付自転車に給油させ、又は灯油若しくは軽油を容器に詰め替えさせることができる給油取扱所とする。

つまり、セルフ式ガソリンスタンドで客自らができるのは、自動車、原動機付自転車へのガソリン、軽油の給油、そして、容器への給油においては、灯油または軽油のみであるということです。既出の通り、客自らがガソリンを容器に給油することは認められていません。

事故の物理的原因については、客が軽トラックの荷台のゴムシート(絶縁体)上にガソリン携行缶を置いたまま給油したため、給油中にガソリン携行缶の周りに帯電し、静電気でガソリンに着火したのではないかとのことですが、上記の法令違反ありきで起きた事故であるといえるので、法令が守られていたならば起きずに済んだ事故といえましょう。ちなみに、本来、ガソリン携行缶への給油は、帯電しないように缶を地面に直接置いて行うそうです。

主に自動車の燃料として、私たちの身近なものとなっているガソリンですが、その取扱には十分な注意が必要です。ご存知の通り、ガソリンは消防法上の危険物第4類第1石油類です。そのガソリンはー40度の低温でも着火する性質があります。つまり、常温でガソリンのそばに火源があれば、例えばそれが静電気などの小さなものであったとしても、着火の原因になります。

今回この記事を書きつつ、セルフ式ガソリンスタンドが多くなり、自分で給油できるようになったことから、ガソリンの危険性を甘くみている自分がいると感じました。まずは、給油前の静電気除去シートへのタッチ、忘れずにしようと思います。

 

【参考情報】

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子