RISCAD Update 2022年8月第3週【週刊化学災害ニュース】
2022/08/12 12:00– 2022/08/19 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。
投稿日:2022年08月24日 10時00分
:空気予熱器の洗浄時に出た排水が排水処理装置への送水用配管の亀裂から漏洩し、一部が雨水用側溝から海に流出した。作業員が流出に気づき、土嚢の設置や移送ポンプによる排水の回収を行ったが、漏洩量がポンプの移送能力を超えたため流出を止められなかった。また、海への放水ゲートの弁を閉めたが、貝などの海棲生物の付着により完全に閉まらず、隙間から排水が流出した可能性がある
:石油化学コンビナートの製油所で、コークス製造装置の大気開放弁を誤開放し、ガスやミスト状の油分を約90秒間飛散させた可能性。近隣の事業所などで車両や建物などへの油分の付着が確認された
:5名が死亡、16名が行方不明となり、60名以上が負傷
:鉄骨平屋建て一部2階建て延べ面積約5,200平方mの物流倉庫での火災。倉庫内には、ゴム手袋やマスク、食品工場用のユニホームなどの衛生用品が多数保管されていた。鎮火には8日を要した
:汚水処理や水道水の消毒などに使用していた次亜塩素酸ナトリウムのタンクの破損により、約800Lが漏洩して河川に流出。貯蔵タンクの底部の約2cmの亀裂から漏洩した可能性
:工場ではけい酸カルシウムの保温材を生産しており、生産過程で出るアルカリ性物質の中和に硫酸を使用していた。機器の不具合で濃硫酸を希釈する水が供給されず、硫酸タンクに接続する配管が発熱して損傷し、濃硫酸数100Lが漏洩して土壌や水路に流出した可能性
2022/6/21 千葉・製鉄所からシアン化合物が河川などに流出 製鉄所で排水口4ヶ所から河川や海洋に排出した排水から0.2-0.6mg/Lの環境基準を超えるシアン化合物が検出された。県と会社は、流出したシアン化合物は河川や海洋の水で希釈されるため人体に影響を与える懸念はないと発表した。4ヶ所のうち1ヶ所からの排水については、排水口近くにあるシアン化合物などの有害物質を除去する施設の処理過程でのトラブルが原因の可能性がある。同製鉄所で、2022/6にチオシアン酸アンモニウムを含む脱硫液が河川に流出したが、脱硫液にはシアン化合物は含有されておらず、同事故とは別の不具合が発生したか、脱硫液が流出する過程でシアン化合物が混入した可能性がある。
排水口4ヶ所から排出された排水からシアン化合物が検出されたということで、うち1ヶ所は施設の処理過程トラブルであったとしても、一体何が起きたのだろうかと気になっていたのですが、この流出事故についての続報がでました。会社が調査したところ、過去の水質検査の際に法定基準値を超えるシアン化合物が検出されていたにも関わらず、自治体に公表、報告していなかった事例や、基準値を超えた結果が出た場合は後日再分析して基準値内に収まった結果を報告するなどの事例が2019/2以降で計39回あったとのことです。この調査結果からすると、法定基準値を超えるシアン化合物を含有する排水の排出は常態化していたということなのでしょうか。今後の対応が気になるところです。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子