RISCAD Update 2022年8月第5週-9月第1週【週刊化学災害ニュース】
2022/08/26 12:00– 2022/09/02 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年09月07日 10時00分
:スタンドで給油した車両10台に不具合が起き、調査した結果、車両約2,900台に雨水が混入したガソリンが給油された可能性があることが判明。地下のレギュラーガソリンタンクから2台の給油機に繋がる配管の一部が腐食しており、タンクからガソリンを吸上げる際に雨水がガソリンに混入した可能性
:直径約18m、高さ約11mの円柱形のタンクに貯蔵されていた濃度35%の塩酸の全量約1,200tが漏洩し、一部が海に流出。腐食によりタンクの底に穴が開き、塩酸が漏洩した可能性。工場の従業員3名が喉の痛みで病院に搬送されたが軽症
:大学の無人の風洞実験施設での爆発、火災事故。施設の内部約46平方mが焼けた
:詰替作業をしていた飲食店の従業員が、喫煙をしながら消毒用エタノールの詰替作業を行い、たばこの火でエタノールに着火した可能性。同従業員がやけどで軽傷
:純水精製装置の配管から塩酸約100Lが漏洩。漏洩停止後、漏洩した塩酸を中和して排水として処理
:大型のタンクから調理用のLPガス容器にガスを充塡中に何かの原因でガスが漏洩し、着火した可能性。消火しようとした従業員3名がやけどで重傷、2名が軽傷
2022/8 熊本・警察学校の武道場でワックスがけ後の雑巾から自然発火
警察学校の武道場2階の廊下で火災が起きた。同校の関係者が消防に通報した。消防が約20分後に消火したが、2階の廊下の清掃用具置場に重ねて置かれていた雑巾10数枚のうちの一部と廊下の一部が焼けた。けが人はなかった。警察と消防の調べでは、数日前に武道場内の剣道場の床にワックスをかける際に使用した雑巾から自然発火し、廊下に延焼した可能性がある。雑巾は使用後、水洗いして乾かし、廊下の清掃用具置場に重ねて置いていた。
自然発火には「酸化反応」が関係しています。油の中でも酸化しやすいものは、空気中の酸素と結合(酸化反応)して発熱(酸化熱)することがあり、この発熱が蓄積されると酸化が促進されて温度が上昇し、発火する可能性があります。これが、酸化反応による自然発火です。
今回の熊本の警察学校での火災は、ワックスがけに使用した雑巾からの自然発火の可能性があるとのことですが、自然発火が起こるためには、ある程度の量の油が付着した布などが堆積してその内部で酸化熱の蓄熱が起こる必要があります。ワックスがけに使用した雑巾は、水洗いして乾かし、10数枚が積み重ねてあったとのこと。自然発火が原因であったとすれば、その雑巾にある程度の量の油(ここではワックス)が付着していて、積み重ねた雑巾の内側などで酸化熱が蓄熱する必要がありますが、今回の火災発生時の気温条件などがどのようなものであったのか、詳細が気になるところです。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子