RISCAD Update 2022年10月第2週【週刊化学災害ニュース】

2022/10/07 12:00– 2022/10/14 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年10月19日 10時00分



*2022/10/05発生の、沖縄・火力発電所で揚炭機から油圧作動油が漏洩

:貨物船から石炭の荷揚中に揚炭機から漏洩した油圧作動油の一部が海に流出。流出した作動油は少量で、漁業などへの被害はなし。揚炭機の油圧系統の配管から作動油が漏洩した可能性

*2022/10/08発生の、石川・紡績工場の作業場で火災

:作業場2階にある焼却炉へのごみの投入口付近から出火し、周辺に置かれていた焼却用のごみに延焼した可能性。ごみの焼却作業をしていた作業員1名が消火活動中に煙を吸い、喉にやけどで軽傷

*2022/10/09発生の、茨城・リサイクル資材倉庫でスクラップの火災

:倉庫にはリサイクルするための電化製品や自転車、家具などのスクラップが置かれていた

*2022/10/11発生の、 山口・鉄鋼工場で生産設備の火災

:工場内の電気炉付近の生産設備から熔銑が漏洩して周囲の他の生産設備に着火した可能性

*2022/10/12発生の、兵庫・石膏製品工場で機械の火災

:工場内の石膏の原料を混合する機械から出火した可能性

*2022/10/13発生の、福岡・小学校で実験中にカセットこんろのガスが漏洩

:家庭用カセットこんろで金属を加熱する実験をしていたが、カセットこんろに火がつかなかったことでLPガスが漏洩し、児童が吸入した可能性。同一のテーブルで実験を行っていた児童8名が体調不良となったが、軽症のため病院への搬送はせず、保健室で休養して回復


先週に引き続き、今週もまた1件の教育現場での実験中の事故の発生をお知らせしました。

その事故は上記の通り、小学校の理科の実験において家庭用カセットこんろで金属を加熱する実験中に起きたものです。カセットこんろに火がつかなかったことで漏洩したLPガスを児童8名が吸入して体調不良となりましたが、いずれも軽症で保健室で休養して回復したということで、大事に至らず幸いでした。

ところで、この事故の情報を聞いてふと、自分が子供であった大昔のことを思い出しました。グループになって実験などを行う場合、この事例で言うとカセットこんろへの着火や加熱する金属を火にかざすなどのメインの操作を行うのは、積極的な児童やリーダー格の児童だったということです(もっとも当時使用していたのはアルコールランプやガスバーナでしたが)。道具に触れてみたくても、なかなかそうもいかない児童もいたように感じます。

家庭用カセットこんろは、卓上で鍋ものなどの調理が手軽にできること、また災害時にも使用できることなどから多くの家庭に普及しています。そのため、家庭でカセットこんろの使用方法を学んでいる子供が多いかもしれません。しかし、そういう機会がない子供もいるかもしれませんし、また、火を使う道具で危ないからということで子供に操作をさせない家庭もあるかと思います。家庭でカセットこんろの使い方を学べない子供も、実験のついでにその安全な使用方法、仕組み、そしてやってはいけない危険な使い方などを学ぶことができたら、その後の生活で役立つように感じます。

教育現場において実験や実技の授業にとれる時間が少ないと聞く中、どこからどこまでを学校で教えるべきなのかという議論になると難しいところではあると思いますが、安全教育という観点からすると、カセットこんろのみならず、子供たちが今後実生活で使用する機会があるであろう道具などを授業で使用する機会があるならば、そのの安全な使用方法、仕組み、危険性などを教えることができればと思ったのでした。

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子