RISCAD Update 2022年12月第2週【週刊化学災害ニュース】

2022/12/02 12:00 – 2022/12/09 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2022年12月14日 10時00分



*2022/12/01発生の、石川・小学校で理科の授業中に一酸化炭素中毒

:理科の実験に使用するこんろの着火練習の際、14名が体調不良となり、うち1名は病院に搬送された。さらに午後には児童3名が体調不良となったが、計17名全員が軽症。こんろのつまみが固かったことから、こんろの不具合による不完全燃焼で軽度の一酸化炭素が起きた可能性

*2022/12/01発生の、兵庫・飲食店の鉄板の上でカセットコこんろ用ガスボンベが破裂

:客がテーブルに設置された鉄板でお好焼きを調理して食事をした後、鉄板の上に置かれたカセットこんろで焼肉を調理していた際に起きた爆発事故。店側が温度が十分下がっていない鉄板の上にカセットこんろを置いたため、ガスボンベが加熱されて破裂した可能性。カセットこんろで焼肉をしていた客が、胸部打撲による心臓の損傷で意識不明の重体となり、病院に搬送されたが3日後に死亡

*2022/12/03発生の、大阪・下水処理場で固形炭化燃料タンクが爆発

:4階建ての下水処理場の2-4階部分に設置された高さ約10m、直径約4mの固形炭化燃料貯蔵タンクでの爆発事故。処理場では汚泥から固形燃料を製造しており、事故当時は汚泥を処理する炭化炉の立上げ作業中であった

*2022/12/06発生の、 北海道・タイヤ取扱会社の倉庫で灯油の詰替作業中に火災

:灯油の詰替作業中に誤って灯油のタンクを倒し、何かの原因で灯油に着火した可能性

*2022/12/06発生の、東京・工事中のマンホール内でメタンガスが爆発

:地下の排水処理施設につながるマンホール内の深さ約24m地点で梯子の交換工事中に起きたガス爆発事故。作業員2名が死亡。現場では高濃度の可燃性ガスが検出され、簡易検査ではメタンガスの成分が検出されたことから、何かの原因でマンホール内に充満していたメタンガスに着火した可能性

*2022/12/06発生の、福岡・リサイクル業社の倉庫で廃材や電化製品の火災

:廃材置場として使用されていた倉庫での火災。倉庫と野積みされていた電化製品などが焼けた


上記12/1に起きた兵庫の飲食店でのカセットコこんろ用ガスボンベの破裂事故は、客1名が死亡するという非常に痛ましい事故となりました。

店側が、十分に温度が下がっていない鉄板の上にカセットこんろを置いた可能性があるとのことですが、私たちが自宅等でカセットこんろを使用する時にも同様の状況に直面する可能性はあり得ます。

この事故から約1週間後、福岡の共同住宅で以下のような事故が起きました。

2022/12/8 福岡・共同住宅でカセットこんろ用ガスボンベが破裂
木造アパートの2階の部屋でカセットこんろ用ガスボンベが破裂した。同室の住人2名が負傷して病院に搬送されたが、いずれも軽傷であった。他の部屋への延焼などはなかった。警察と消防の調べでは、負傷した2名はカセットこんろで鍋を調理して食事をし、使用後のカセットこんろをIH調理器の上に置いていた。何らかの原因でIH調理器の電源が入り、カセットこんろのガスボンベが熱せられて破裂した可能性がある。

いずれも、現時点での警察、消防の調べでは、温度が十分下がっていない鉄板の上や何かの原因で電源が入ったIH調理器の上に乗せたカセットこんろのガスボンベが破裂した可能性があるということです。

2つの事例では、ガスボンベを装着した状態のカセットこんろを置いたのが、それぞれ飲食店の鉄板、住宅の台所のIH調理器ということでしたが、他にも台所のガスこんろ付近や、ストーブの上なども高温になる可能性があります。

ストーブやガスこんろが消えているから高温でないと判断してガスボンベを装着した状態のカセットこんろを置いたとしても、実は消したばかりで温度が下がっていなかったり、置いた時は高温でなかったとしても、予期せぬ原因やうっかりミスでストーブやガスコンロに着火しないとは言い切れません。

これから年末年始にかけて、鍋料理などでカセットこんろを使用する機会が増えるのではないかと思いますが、使用中はもちろん、その前後の扱いにも十分に気をつけたいものです。

 

さんぽニュース編集員 伊藤貴子