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RISCAD Update 2023年6月第4週【週刊化学災害ニュース】
2023/6/16 12:00 – 2023/6/23 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2023年6月28日 10時00分
*2023/6/14発生の、宮城・原子力発電所で溶接作業中にプラスチック製排水管の火災
:安全対策工事の一環で屋外のプラスチック製排水管を固定する台の溶接作業を行っていた際に、溶接の熱や火花などでプラスチック製排水管が熔融して発煙した可能性
*2023/6/20発生の、茨城・製鉄所で移送中の熔鉄が容器から漏洩
:レール上を走る専用の車両で熔けた鉄を運搬中に漏洩した可能性。自衛消防隊の消防車2台が放水して漏れた鉄を冷却し、設備への延焼はなし
*2023/6/21発生の、島根・製紙工場の高分子粉末製造ラインで機械の火災
:高分子粉末(カルボキシメチルセルロースナトリウム:CMC)の製造ラインで、規格外の粉末を取り除くために使用されていた機械から出火した可能性
*2023/6/21発生の、新潟・化学製品卸売会社の倉庫でスプレー缶廃棄作業中に火災
:従業員2名がスプレー缶入りの殺虫剤の廃棄作業をしていた際に、何かの原因で噴射剤の可燃性ガスに着火した可能性。けが人はなし
*2023/6/22発生の、茨城・陽子加速器施設の電源棟で電源装置の火災
:実験のための機器の運転準備中に、電源装置の一部から出火した可能性。放射線管理区域内での火災であったが、放射性物質の漏洩はなく、環境への影響はなかった
*2023/6/22発生の、愛媛・浄水場で消毒薬の誤投入により塩素ガスが発生
:浄水場の屋外の濾過機の点検中に、ポリ塩化アルミニウムを入れるべきところ、誤って次亜塩素酸ナトリウムを投入して塩素ガスが発生した可能性。作業員2名が塩素ガスを吸って体調不良となった
先週お知らせした6/15に千葉で起きた市営プールでの消毒薬の誤投入による塩素ガス発生の事故に続き、今週も上記6/22に愛媛で起きた浄水場での消毒薬の誤投入による塩素ガス発生の事故をお知らせしました。
ここでいう消毒薬とは、次亜塩素酸ナトリウムとポリ塩化アルミニウムです。
次亜塩素酸ナトリウムは水を消毒するために使用されるアルカリ性の薬品です。そしてポリ塩化アルミニウムは水中のごみなどの浮遊物を凝集するために使用される酸性の薬品です。次亜塩素酸ナトリウムと酸性の薬品が混ざると、多くの場合塩素ガスが発生します。
もちろん、本来は混ぜて使用するものではないので、塩素ガスが発生する事故が起きるのは、作業ミスによることがほとんどであると考えられます。過去には、次亜塩素酸ナトリウムを入れるタンクにポリ塩化アルミニウムを入れてしまったり、またはその逆でポリ塩化アルミニウムを入れるタンクに次亜塩素酸ナトリウムを入れてしまったりという事例がありました。
ミスの原因としては、入れ間違えてしまいそうな場所にタンクがあったり(例えば、塩化アルミニウムを入れるタンクと次亜塩素酸ナトリウムを入れるタンクが隣接しているなど)、持ち出し間違えてしまう状態で薬品が保管されていたり(例えば、塩化アルミニウムの入った容器と次亜塩素酸ナトリウムを入れた容器の形や色が類似している、置かれている棚が同じなど)することなどではないかと推察されます。
プールや浄水場のタンクに消毒薬を入れるというのは、多くの人が直面するような作業ではありませんが、これから7月初旬にかけてはプール開きの時期ということで、事故がなぜ起きるか、以下の東京消防庁の資料などを参考にしてみてください。
ここでいう消毒薬とは、次亜塩素酸ナトリウムとポリ塩化アルミニウムです。
次亜塩素酸ナトリウムは水を消毒するために使用されるアルカリ性の薬品です。そしてポリ塩化アルミニウムは水中のごみなどの浮遊物を凝集するために使用される酸性の薬品です。次亜塩素酸ナトリウムと酸性の薬品が混ざると、多くの場合塩素ガスが発生します。
もちろん、本来は混ぜて使用するものではないので、塩素ガスが発生する事故が起きるのは、作業ミスによることがほとんどであると考えられます。過去には、次亜塩素酸ナトリウムを入れるタンクにポリ塩化アルミニウムを入れてしまったり、またはその逆でポリ塩化アルミニウムを入れるタンクに次亜塩素酸ナトリウムを入れてしまったりという事例がありました。
ミスの原因としては、入れ間違えてしまいそうな場所にタンクがあったり(例えば、塩化アルミニウムを入れるタンクと次亜塩素酸ナトリウムを入れるタンクが隣接しているなど)、持ち出し間違えてしまう状態で薬品が保管されていたり(例えば、塩化アルミニウムの入った容器と次亜塩素酸ナトリウムを入れた容器の形や色が類似している、置かれている棚が同じなど)することなどではないかと推察されます。
プールや浄水場のタンクに消毒薬を入れるというのは、多くの人が直面するような作業ではありませんが、これから7月初旬にかけてはプール開きの時期ということで、事故がなぜ起きるか、以下の東京消防庁の資料などを参考にしてみてください。
【参考情報】
さんぽニュース編集員 伊藤貴子