RISCAD Update 2023年9月第2週【週刊化学災害ニュース】
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投稿日:2023年9月20日 10時00分
:二酸化マンガンと過酸化水素水を反応させて酸素を発生させる実験中の事故。講師が過酸化水素水の濃度を誤り、希釈せずに実験に使用したため、激しく反応して高温の液体が噴出して飛散し、生徒2名の手にかかった。生徒2名は手にやけどで軽傷
:発電の燃料として使用する木質ペレットを保管する燃料受入建屋での事故。建屋の屋根や壁の一部が吹飛び、建屋やエレベータが焼けた
:ボイラのバルブの点検作業中に何かの原因で配管が爆発し、高圧の蒸気が噴出した可能性。噴出した水蒸気により、点検作業をしていた下請業者の作業員1名が死亡し、3名がやけどで負傷
:風車の増速機のセンサの点検時に、発電機などが格納されているナセルの内部にある部品の接続部が破損して潤滑油が漏洩した可能性。潤滑油約3Lが海上の長さ約70m、幅約10-20mの範囲に流出
:地下でエンジンが不調な車両2台の修理中で、いずれもエンジンをかけて作業をしていた。排気ガスが充満して一酸化炭素中毒が起きた可能性。作業員8名が体調不良
:ロケット推進薬などを製造する工場での事故。廃油タンクの配管が破損し、工場のガラスなどが割れた
上記9/9に燃料受入建屋での爆発、火災が発生した鳥取のバイオマス発電所ですが、この発電所では今年5月にも火災が発生していました。その概要は以下の通りです。
2023/5 鳥取・バイオマス発電所で燃料タンク内の木材チップの火災
バイオマス発電所の高さ約30m、直径約23mのコンクリート製の燃料タンクで木材チップの火災が起きた。同発電所の従業員が消防に通報した。消防が約30分後に消火したが、同タンク内の一部と木材チップ約2平方mが焼けた。けが人はなかった。警察と消防の調べでは、同発電所は木材チップやパーム椰子殻などのバイオマスを燃料として発電を行っており、4基あるタンクのうち1基のタンク内に貯蔵していた燃料の木材チップから自然発火した可能性がある。
また、「さんぽのひろば」では情報をつかめていませんが、2023/5にはもう1件別の火災が発生していたとのことで、こちらのバイオマス発電所では、半年と空けずに爆発や火災といった事故が3回起きたということになります。
これに伴い、同県の県知事が、専門家などによる調査チームを立ち上げて現地調査を行い、また、国に対しては安全対策を要請するという考えを示しました。そして発電所の所在する市は、発電所の運転を停止し、原因究明や再発防止策が実施されて住民の理解が得られるまでは運転再開しないよう申し入れたとのことです。
半年のうちに3回の事故が起き、しかも今回の事故は爆発を伴うものであったということで、しっかりとした原因究明が待たれます。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子