RISCAD Update 2023年10月第1週【週刊化学災害ニュース】

2023/9/29 12:00 – 2023/10/6 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2023年10月11日 10時00分



*2023/9/30発生の、静岡・花火大会で2尺玉の筒ばね

:直径60cmの2尺玉1発で筒ばね(煙火玉が打揚筒の中で開発すること)の発生。打揚げは遠隔操作で行われており、けが人はなし

*2023/10/4発生の、静岡・電気機械工場でバッテリの点検作業中に火災

:電力変換装置や電子機器などの開発、製造を行う工場でのバッテリの火災。バッテリの点検作業中に何かの原因で出火した可能性。作業員1名が顔と両手にやけどを負って病院に搬送された

*2023/10/4発生の、愛媛・研究所で標本作成中にアルコールランプから火災

:職員1名がアルコールランプを使用して魚の組織標本の作成中に、何かの原因でアルコールランプの燃料のエチルアルコールに着火した可能性。職員1名が顔にやけどで重傷

*2023/10/4発生の、宮崎・機動隊の訓練中に拳銃の部品が破損してトリチウムガスが漏洩

:自衛隊の演習場で警察の機動隊の訓練中に、隊員が拳銃を誤って落下させたことでガラス製の照準部品が破損し、トリチウムガス約0.67GBqが漏洩。人体への影響や環境への影響はなし

*2023/10/4発生の、福岡・スクラップ置場で金属スクラップの火災

:産業廃棄物処理業者の敷地内のスクラップ置場での金属スクラップの火災。約11時間後に鎮火したが、積まれていた金属スクラップが焼けた

*2023/10/5発生の、愛媛・大学の実験室で実験器具の火災

:ドラフトチャンバ内に設置されていた縦約20cm、横約20cm、高さ約20cmのアルミニウム製の箱状の実験器具から出火した可能性。実験室は無人で、けが人はなし



ウズベキスタンとイギリスからNATECHのニュースが入ってきました。

NATECHとは、Natural-Hazard Triggered Technological Accidentsの略称で、「自然災害に起因する産業事故」を意味します。

これら2件の事例では、いずれも雷がその原因となったようです。

9/28 ウズベキスタン・倉庫で落雷により爆発、火災
ウズベキスタン・タシケントの倉庫で落雷により爆発、火災が起きた。付近の住宅数棟が損傷したり、窓が吹飛ばされたりした。近隣の住民1名が死亡し、24名が重傷、138名が軽傷を負った。当局の調べでは、同倉庫には電気自動車や大量のバッテリなどが保管されており、倉庫への落雷により火災が発生し、バッテリなどに延焼した可能性がある。

10/2 イギリス・食品廃棄物リサイクル工場で落雷によりバイオガスタンクが爆発
イギリス・オックスフォードシャー州カシントンの食品廃棄物リサイクル工場で落雷により発電用バイオガスタンクの爆発が起きた。けが人はなかった。警察が近隣住民にドアや窓を閉めて家で屋内退避するように呼びかけた。付近の主要道路が閉鎖された。当局の調べでは、同工場では、食品廃棄物をリサイクルして発電用のバイオガスを生産しており、バイオガスのタンクへの落雷が原因の可能性がある。

特にウズベキスタンの事故では1名が死亡、160名を超える負傷者が出たとのことで、その爆発の規模の大きさを物語っています。

異常気象が常態化してしまったような現代を生きる私たちは、自然災害がこのような大きな事故につながる可能性があるということを知っておかねばならないと強く感じます。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子