RISCAD Update 2023年10月第5週-11月第1週【週刊化学災害ニュース】
2023/10/27 12:00 – 2024/11/2 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2023年11月8日 10時00分
:坑内にメタンガスが充満して何かの原因で着火した可能性。坑内では作業員252名が作業中で、うち33名が死亡、13名が行方不明となった
:調理用ガスバーナに取付けたカセットこんろ用ガスボンベが、何かの原因で加熱されて破裂し、漏洩した可燃性ガスに着火した可能性。客8名と従業員4名の計12名が顔や腕にやけどで軽傷
:蛍光灯照明器具の安定器が内部から発熱して熔けた可能性。照明器具は、2011年に原子炉を停止した後はほとんど使用されておらず、焦跡の発見時も電源は切られていた
:市役所庁舎につながる電線が通っているマンホール内での爆発。影響で市役所庁舎が約5時間半停電し、一部の業務が停止された
:金属の強度を高める焼入れに使用されている約3m、奥行約7m、高さ約3.5mの炉での火災
:カーペットを加熱成形する機械から出火した可能性。従業員3名が煙を吸って軽傷
以前このコーナーでお知らせした、10/16発生の愛知のばね工場の乾燥炉での爆発、火災事故ですが、その後の調べで、事故の原因が判明したようです。
当時お知らせした事故の概要は以下の通りです。
10/16 愛知・ばね工場の乾燥炉で爆発、火災
自動車用ばね製造工場の乾燥炉で爆発,火災が起きた。同乾燥炉と建屋の一部が破損した。従業員2名が負傷し,うち1名が病院で手当を受けた。警察と消防の調べでは,同工場ではシャシばねを製造しており,同乾燥炉は熱したばね鋼を冷却するのに使用されていた。同工場の自動車用ばね部品の供給が停止し,部品を使用している複数の自動車製造工場で自動車の生産が停止した。
10/30に、事故の原因について会社からの発表がありました。
爆発は当初の情報通り、シャシばね製造ラインのばねの乾燥炉で発生したとのこと。乾燥炉へ送る熱を作る燃焼室が高温となり、燃焼室のバーナに供給する空気量を抑えたところ、不燃ガスが発生して乾燥炉に流入し、乾燥路内で滞留して着火した可能性があるようです。
燃焼室が高温になった原因は、2023/9に実施した付近の設備の撤去工事の際に発生した粉塵で、燃焼室と乾燥炉の間のダクトのフィルタが目詰まりしたことによる可能性があるとのことです。また、乾燥炉が古く、ガスがたまりやすい構造であったことも事故の一因となった可能性があるとのことです。
会社は、燃焼室での異常な温度上昇に対処するマニュアルがなく、その際の手順がはっきりしていなかったことによる仕組上のミスであったと説明し、今後、マニュアルの策定や安全教育の徹底などで事故の再発防止を図るとのことです。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子