RISCAD Update 2023年11月第5週-12月第1週【週刊化学災害ニュース】

2023/11/24 12:00 – 2023/12/1 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2023年12月6日 10時00分



*2023/11/25発生の、長野・温泉施設のサウナ小屋で火災

:サウナ小屋内のボイラの熱により、長期間に壁の板が炭化したことで出火した可能性

*2023/11/25発生の、岐阜・繊維工場で耐震補強工事中に火災

:工場は耐震補強工事中で稼働しておらず、作業員4名が屋根部分の補強のための溶接作業を行っていた。溶接の火花で埃に着火した可能性

*2023/11/26発生の、熊本・火力発電所の発電機のボイラが赤熱

:ボイラのバーナ付近の外装板の赤熱が起き、約1時間後に発電機の運転が停止された。電力の供給に影響なし

*2023/11/26発生の、岡山・催しの出店でボンベからLPガスが漏洩して火災

:屋外催しの出店でガスボンベを使用して調理をしていた際に、何かの原因でガスボンベ付近からLPガスが漏洩して調理の火気などで着火した可能性。付近で調理をしていた3名が頭や腕、背中にやけどで軽傷

*2023/11/26発生の、神奈川・変電設備で開閉機が爆発

:電力回路を遮断するための開閉機が何かの原因で爆発した可能性。周辺の約670棟が最大約5時間停電した

*2023/11/29発生の、北海道・自動車整備工場の塗装スペースで火災

:何かの原因で塗装スペースから出火した可能性。従業員2名が煙を吸って負傷



7月に秋田のロケット実験施設で爆発事故が起きました。当時の事故概要は以下の通りです。

2023/7/14 秋田・ロケット実験施設でエンジンの燃焼試験中に爆発、火災
宇宙航空関連研究機関のロケット実験施設の真空燃焼試験棟で固体燃料ロケット用のエンジンの地上燃焼試験中に爆発、火災が起きた。消防車など11台が約2時間後に鎮火したが、同試験棟が激しく破損して焼け、周囲の建物のガラス窓が割れるなどの被害が出た。職員や作業員などは実験前に退避しており、けが人はなかった。同研究機関の調べでは、燃焼試験は燃料を119秒間燃焼する予定で行われたが、何かの原因で点火後57秒で圧力が開放された。エンジンを覆う圧力容器や燃料に何かの不具合があった可能性がある。

事故についてはその後調査が進められ、燃料である推進薬の燃焼異常やエンジンを覆う圧力容器を熱から守るための断熱材の断熱不良によって、圧力容器が想定を超える高温にさらされて機体の強度が低下し、燃焼圧力に耐えきれず爆発した可能性が高いとのことです。

爆発が起きた「真空燃焼試験棟」は、損傷が激しいため修理は不可能で、建物を解体することとなったそうです。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子