RISCAD Update 2024年3月第4週【週刊化学災害ニュース】

2024/3/15 12:00 – 2024/3/22 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2024年3月27日 10時00分



*2024/3/15発生の、茨城・核燃料関連会社でナトリウムの安定化処理作業中に火災

:ナトリウムの安定化処理作業のため、精密測定室のフード内で、冷却用の水が入ったステンレス製バケツの中にエタノール入りの容器を置き、エタノールにナトリウムを加えて反応させていた際、反応が想定以上に進んだために発火した可能性。精密測定室は放射線管理区域外で、人体や環境への影響はなかった

*2024/3/16発生の、島根・生コンクリート工場でミキサの解体中に火災

:製造プラント内でバーナを使用してミキサを解体中に、バーナの火花でミキサ内のゴムに着火した可能性

*2024/3/19発生の、静岡・農園の倉庫でフォークリフトでの作業中に一酸化炭素中毒

:倉庫内でフォークリフトを使用して、選果されたみかんの入ったコンテナを運搬する作業中に起きた一酸化炭素中毒事故。倉庫は窓が閉切られており、換気不足により倉庫内にフォークリフトから排出された一酸化炭素が滞留した可能性。従業員1名が死亡

*2024/3/20発生の、福島・薬品工場で濃硫酸を含む廃液の処理中に廃液が飛散

:濃硫酸を含む廃液の処理中に、何かの原因で廃液が突沸するなどして飛散した可能性。廃液がかかった従業員2名が顔や手に化学熱傷を負って軽傷となり、別の従業員4名が体調不良となった

*2024/3/20発生の、福井・建物の解体作業中に一酸化炭素中毒

:作業員3名で天井裏に上がり、エンジン付きの高圧洗浄機を使用してウレタンを剥離する作業をしていた際に起きた一酸化炭素中毒事故。天井裏の狭い空間に一酸化炭素が滞留した可能性。3名は病院に搬送され、うち1名が死亡し、2名は意識不明の重体となったが、のちに意識が回復した

*2024/3/21発生の、静岡・製紙工場で火災

:包装用紙や産業用紙、パルプなどを製造する製紙工場での火災。天井のダクト付近で紙のかすから出火した可能性。従業員5名が煙を吸って体調不良となり、病院に搬送されたが全員軽傷



2013年に北海道の食品会社の工場でアセトンの爆発事故がありました。この事故では工場の従業員2名が死亡しました。

アセトンは「消防法第4類第1石油類水溶性」で、指定数量は400Lとなっています。この工場では400L以上のアセトンを貯蔵・取扱していたとのことですが、貯蔵・取扱に使用されていた部屋は80L未満のアセトンの貯蔵・取扱をする仕様で設計されていたとのことで、電気設備が防爆構造となっていなかったり、静電気除去装置が設置されていなかったりという設備の不備があったようです。

この事故では、同社の元社長が、規定を超える量のアセトンを工場で使用して爆発事故を引き起こし、従業員2人を死亡させた業務上過失致死の罪に問われていましたが、このほど地裁で判決公判が開かれ、元社長に禁錮2年が言い渡されました。(弁護側は爆発を予見できる立場になかったとして控訴予定とのことです。)

この工場では2016年にも同じくアセトンが原因となる爆発事故が起き、1名が重傷となりました。2013年の事故と、2016年の事故について、以下にその概要を掲載します。

2013/7 北海道・食品製造工場でアセトンの爆発、火災
鉄筋コンクリート造平屋建ての食品製造工場の事務所兼工場でアセトンの爆発、火災が起きた。消防が約1時間半後に鎮火したが、同建屋約750平方mが全焼した。同工場内にいた従業員7名のうち、2名が死亡した。警察と消防の調べでは、同工場内のアセトンが100L以上保管されていた部屋の損傷が激しかったことから、何かの原因でアセトンに着火した可能性がある。同工場では鮭の軟骨から健康食品や化粧品の原料となる成分を抽出していた。

2016/5 北海道・食品工場でアセトンの爆発、火災
木造一部鉄筋コンクリート造平屋建ての食品製造工場の事務所兼工場でアセトンの爆発、火災が起きた。消防が約2時間後に消火したが、工場部分が焼けた。同工場の工場長1名が全身やけどで重傷を負った。同工場内には同工場長を含む内外の12名がいたが、他にけが人はなかった。警察と消防の調べでは、同工場長はアセトンを使用した作業中で、換気扇のスイッチを入れた際に発生した火花で、気化したアセトンに着火した可能性がある。同工場では2013/7に工場が全焼し従業員2名が死亡する爆発、火災が発生し、2015/3にアセトンを許可なく指定量の約2.6倍の約1,100Lを貯蔵したことなどで、消防法違反と労働安全衛生法違反の容疑で書類送検されていた。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子