RISCAD Update 2024年4月第3週【週刊化学災害ニュース】

2024/4/12 12:00 – 2024/4/19 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2024年4月24日 10時00分



*2024/4/15発生の、宮城・大規模太陽光発電施設で火災

:下草や太陽光パネル、ケーブルなど約3万8,000平方mが焼けた。短絡、感電などの可能性があり、太陽光パネルに直接放水ができず、鎮火までに約22時間を要した

*2024/4/15発生の、愛知・中学校の教材室で火災

:吹奏楽部の楽器やイベントで使用する木材、野外学習のキャンプで使用する固形燃料や着火剤などが置かれていた教材室での火災。隣の部屋にいた生徒1名が煙を吸って病院に搬送されたが軽症

*2024/4/16発生の、千葉・リサイクル処理場で産業廃棄物の火災

:廃棄物の焼却作業中に別の廃棄物などに延焼した可能性。金属スクラップなどの産業廃棄物が焼けた

*2024/4/17発生の、大分・廃棄物収集車で廃棄物の火災

:不燃廃棄物として回収されたプリンタや炊飯器などの家電製品から何かの原因で出火した可能性

*2024/4/17発生の、北海道・温水プール施設の倉庫で火災

:倉庫内にあったトイレットペーパなどが焼けた。施設には利用者約20名と職員8名がいたが、避難してけが人はなかった

*2024/4/18発生の、大分・製材工場で火災

:出火時、工場の従業員が煙突付きのドラム缶で廃材を燃やす作業をしており、作業によって出た火の粉で工場の屋根に着火した可能性



4月第1週のこのコーナーで触れた、3/20発生の大阪の万博会場の建設現場でのメタンガス爆発事故について、事故が起きた経緯が明らかになったようです。事故発生時の概要は以下の通りです。

2024/3/20 大阪・万博会場の建設現場で溶接作業中にメタンガス爆発、火災
大阪・関西万博会場1階の来場者用トイレ建設工事現場で溶接作業中にメタンガスの爆発、火災が起きた。コンクリート製の同トイレの床約100平方mが破損した。けが人はなかった。同現場での火気を伴う工事が中断された。日本国際博覧会協会、警察、消防の調べでは、同会場は埋立地で、かつてはごみや残土などの廃棄物処分場として利用されていた。地中の廃棄物などから発生したメタンガスなどの可燃性ガスが地面と床の隙間にある配管ピット内に滞留し、溶接作業で出た火花で着火した可能性がある。同工事現場では、地下に滞留する可燃性ガスを配管を通じて大気中に排出して、ガスの濃度測定を行っていた。

ここに、「地下に滞留する可燃性ガスを配管を通じて大気中に排出して、ガスの濃度測定を行っていた」とありますが、ガスの濃度測定を行っていたのは地下空間での作業の場合であり、1階での作業の場合は地下のガス濃度測定は不要として作業をしていたとのことです。

事故発生時に行われていたのは1階での溶接作業であったため、作業に際しガスの濃度測定は行われませんでした。しかし、配管ピット内には基準値を超える濃度のガスが滞留していた可能性があり、溶接作業で出た火花でガスに着火して事故が起きたということのようです。

事故後、日本国際博覧会協会は、濃度測定の基準の見直し、換気の徹底、作業の中断を判断するガスの濃度基準を厳格化などの再発防止策を講じ、中止されていた火気を伴う作業の一部は4/22から再開されたとのことです。

メタンなどの可燃性ガスが発生する可能性がある場所では、工事期間中のみならず万博の開催期間中にもガスが発生し続けます。開催期間中の安全対策もしっかりと策定し、実施が徹底されることで、安全な万博になるよう祈ります。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子