RISCAD Update 2025年5月第5週– 6月第1週【週刊化学災害ニュース】
2025/5/28 12:00 – 2025/6/4 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2025年6月11日 10時00分
更新日:2025年6月18日 10時30分
2025/5/29発生の、徳島・大学で使用済み薬品の処理中に薬品瓶が破裂
大学の薬学部の実験室で使用済み薬品の処理中に薬品瓶の破裂が起きた。大学の関係者が消防に通報した。学生1名が手首や額にやけどで軽傷を負った。警察と消防の調べでは,実験で使用した酢酸と臭化ヨウ素試薬の混合液約1Lが入った容量約3Lの薬品瓶に,中和のために粒状の水酸化ナトリウムを入れたところ,化学反応により発熱し,瓶が破裂した可能性がある。処理作業は学生3名で行っていたが,負傷した1名を除いた2名は実験室の外に出ていた。
2025/5/29発生の、大分・中学校で理科の実験後に硫化水素による体調不良
中学校で理科の実験後に硫化水素による体調不良が起きた。実験に参加した2年生の生徒31名のうち6名が体調不良となり,うち3名が経過観察のため入院した。警察と消防の調べでは,教員が試験管に硫化鉄と塩酸を入れて硫化水素を発生させ,生徒に硫化水素の臭いを確認させる実験を行っていた。実験時,理科室の窓は全て開放し,換気扇を作動させており,実験に使用する塩酸の量に問題はなかった。臭いを嗅ぐ際の距離が近かった可能性がある。
2025/5/29発生の、兵庫・めっき工場でタンクからシアン化ナトリウムが漏洩
めっき加工工場でタンクからシアン化ナトリウム約50Lの漏洩が起きた。同工場の従業員が消防に通報した。消防車など12台が出動し,シートで覆うなどした。同工場には従業員23名がいたが,全員避難してけが人はなかった。シアン化ナトリウムの工場の敷地外への漏洩はなかった。周辺道路の一部が交通規制された。警察と消防の調べでは,漏洩は,タンク内のシアン化ナトリウムを別のタンクに移す際に判明した。タンクの管理不良が原因の可能性がある。
2025/5/29発生の、宮城・大学でハロゲン化物の合成実験中に爆発
大学の理学部の校舎の7階でハロゲン化物の合成実験中に爆発が起きた。大学の関係者が消防に通報した。消防車12台が出動したが,火災の発生はなかった。実験をしていた大学関係者1名が破損したガラスで顔を切って軽傷を負った。有害なガスなどの発生はなかった。警察と消防の調べでは,負傷した大学関係者はハロゲン化合物を合成する実験をしていた。
2025/6/3発生の、宮城・中学校で理科の実験中に硫化水素による体調不良
中学校で理科の実験中に硫化水素による体調不良が起きた。教員が消防に通報した。化学消防車など17台が出動した。実験に参加した2年生の生徒約30名のうち10名が体調不良となり,病院に搬送されたが,全員軽症であった。学校は一時全校生徒を避難させ,その後午後の授業を取りやめて,全員を下校させた。警察と消防の調べでは,生徒たちは数班に分かれて硫化鉄に塩酸を加えて硫化水素を発生させる実験を行っていたが,硫化鉄に塩酸を加える際に,誤って濃度の高い塩酸を使用したことで,硫化水素の発生速度が速くなったり,発生量が多くなったりした可能性がある。実験は教員と助手の計2名で監督していた。
さんぽのひろば編集室