FAQ

Q.ADMERとはなんですか?

A. ADMERは、独立行政法人 産業技術総合研究所(現 国立研究開発法人 産業技術総合研究所)で開発された、化学物質の大気環境濃度推定及び曝露評価を行なうモデルと一連のシステムであり、以下の機能を備えています。

  • 気象データの作成・確認
  • 化学物質排出量データの作成・確認
  • 化学物質大気中濃度及び沈着量の計算
  • 計算結果図化
  • 計算結果頻度解析

このモデルでは,関東,関西地域といったような比較的広域での長期平均的な濃度分布の推定を目的としており,5×5kmの空間分解能と、指定期間平均(6つの時間帯区分あり)または4時間毎の曝露評価が可能です。

このモデルを用いることにより,シミュレーションモデルの専門家だけでなく,リスク評価に携わる研究者や評価者,さらに国や自治体などの行政担当者や企業においても広域の時空間濃度分布の推定が可能となり,化学物質のリスク評価,特に時空間分布を考慮したリスク評価が進展することが期待されます。

Q.ADMERとはなんの略ですか?

A. Atmospheric Dispersion Model for Exposure and Risk assessment の頭文字をとっています。「アドマー」と呼びます。

Q.ADMERを利用するのにお金がかかりますか?

A. 無償でご利用いただけます。

Q.ADMERを利用するにはどうしたらよいですか?

A. まず、動作環境を確認して下さい。ADMERが動作可能な環境をお持ちでしたらダウンロードページよりADMERのインストーラをダウンロードしてください。 ダウンロードしたインストーラを実行し、指示に従ってADMERをインストールしてください。

Q.ADMERのインストール中にエラーが出ます。どうしたらよいですか?

A. インストール実行中に、”ファイルが破損しています”等のエラーが発生する事が報告されています。ダウンロード中にインストーラファイルが壊れてしまった可能性がありますので、お手数ですが再度インストーラをダウンロードしていただけるようお願いいたします。

Q.ADMERではどんな計算が出来ますか?

A. 大気中濃度及び沈着量の分布の推定を行なう事が出来ます。 また、グリッド排出量を作成する機能、気象データを加工・解析する機能などが含まれています。

Q.ADMERで計算を行うために必要なデータは?

A. とりあえず試しに計算を行なうだけでしたら、ADMERをインストールすれば関東地方についてのサンプルデータ1式が添付されています。 任意の計算範囲、計算期間、化学物質について計算を行なう場合は、最低限以下のデータが必要となります。

対象化学物質の排出量に関するデータ(点源排出量、県別・市町村別排出量等)
・・・グリッド排出量データ作成に利用

Version2.5以降は、気象データ作成に必要なアメダスデータ、雲量データのダウンロード機能が付加されたため、アメダスCD等の気象データを準備する必要はありません。

Q.計算対象地域はどこですか?

A. デフォルト設定されている11の既登録計算範囲から選択していただくか、任意の計算範囲を作成することが可能です。その計算対象地域(ADMERでは計算範囲)において気象データの作成、グリッド排出量データの作成、計算ケースの作成等を実行してください。

Q.PRTRとは何ですか?

A.  PRTR制度の説明や調査の結果は、下記の環境省や経済産業省のWebサイトで入手することができます(2003年9月現在)。

どちらのサイトでも基本的に同じものを得ることができますが、集計の仕方や見せ方、説明資料などが若干異なっています。

環境省   :http://www.env.go.jp/chemi/prtr/risk0.html
経済産業省 :http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/index.html

Q.気象データ作成にはどのようなアメダスデータを利用すればよいですか?

A. Version 2.0.2までは、気象業務支援センターから入手できるアメダス年報(アメダス観測年報)CD-ROMを用います。 これは、基本的に各年一枚で構成されています。

なお、気象データベース(アメダス)や気象データベース(アメダス:フルセット版)は長期のデータをデータベースに収録したもので、 ADMERで利用する事はできません。

Version 2.5からは、ADMERデータアップデートで入手できるADMER専用アメダスデータを利用することができます。

ADMER専用アメダスデータは、2001年以降のデータが用意されています。

Q.大きな計算範囲の気象データを連続して作成した時にエラーが出ました。

A.  ADMER Version1.5.1で、このような分割処理となる大きな計算範囲の基本気象データ作成を連続して行うと、気象データ作成モジュールの不具合により エラーが出る事があります。

この不具合はVersion2.0以降のバージョンでは、修正されております。

また、Version3以降は、64bit環境で動作するプログラムとなったため、より大きなメモリが使用可能となっています。このため、実行するPCのメモリサイズを大きくすれば、大きな計算範囲の気象データを作成可能です。

Q.計算範囲を作成するたびに気象データを作成しなければいけませんか?

A. はい。計算範囲ごとに作成していただく必要があります。ある計算範囲Aをすべて含む計算範囲Bの気象データを作成したとしても、 計算範囲Aの計算に計算範囲Bの気象データを利用する事はできません。 現在のADMERの仕様上このようになっておりますのでご了承ください。

Q.点源データの緯度経度をどうやって調べればよいですか?

A. 地点(自分の住んでいる場所など)や発生源の住所が分かれば、GoogleMap等の地図サービスや地図ソフトを利用して緯度経度を知ることができます。手順の詳細は、地図サービスや地図ソフトのヘルプを参照してください。

これらを利用して住所を入力し、評価したい地点の周辺地図を表示します。評価地点を地図の中心に持ってくるように微調整すると、より正確な緯度経度を知ることが出来ます。

Q.点源データ作成時の緯度経度はどの測地系の値を入力すべきですか?

A. 点源の緯度経度は世界測地系の値で入力してください。

Version 2.0.2までは日本測地系となっておりますので、日本測地系の値を入力してください。

Q.安定度分布図などのグラフを保存する時のEMFファイルとは何ですか?

A. 拡張メタファイル形式のことです。この形式で保存されたグラフはWordやエクセル等でごらんいただけます。Wordでしたらメニューで”挿入”-“図”-“ファイルから”として、ADMERで作成したEMFファイルを指定すればWord上で見る事ができます。 ADMERでは画像形式(png形式)でもグラフを保存できますので、こちらもご利用ください。

Q.各計算パラメータの意味を教えてください。

A. 以下に各計算パラメータの簡単な説明を載せました。

分解係数

多くの化学物質は、排出後、大気中の光化学反応などで分解されるが、この分解により減衰する比率を[1/sec]の単位で与える。

乾性沈着速度

乾性沈着により大気中から取り除かれ、地上に沈着する比率を[m/sec]の単位で与える。

洗浄比

湿性沈着により大気中から取り除かれ、地上に沈着する比率については、洗浄比[無次元]、すなわち大気中と水中での物質の存在比で与える。

バックグラウンド濃度

特定の発生源の影響はない清浄な地域においても、物質が環境中に存在しうる濃度レベル

また、沈着とは 大気中のガスや粒子が地表面に付着して大気から除去されることをいいます。風や重力などによる乾性沈着と、 降水や霧水の落下の影響による湿性沈着があります。

Q.SOx,NOxなどの計算パラメータ設定について参考文献はありますか?

A. SOxやNOxのような従来型の大気汚染物質に関しては、他の有害化学物質などと比較して、 幸いこれまでに多くの知見の蓄積があります。よくまとまった代表的な資料としては、 環境庁大気保全局大気規制課 編:「窒素酸化物総量規制マニュアル」,公害研究対策センター(1993)があります。

Q.乾性沈着速度、洗浄比設定について参考文献はありますか?

A. シミュレーションの対象としている物質に沈着速度の実測値がある場合には、それを用いることが望ましいです。
例えば、有機物質の場合ですと、
Mary P. L. et al. : Trace organic compounds in rain – II.
Gas scavinsing of neutral organic compounds,
Atmospheric Env. Vol.19 No.10. pp. 1609-1617 (1985)

Mary P. L. et al. : Trace organic compounds in rain – III.
Particle scavinsing of neutral organic compounds,
Atmospheric Env. Vol.19 No.10. pp. 1619-1625 (1985)

ダイオキシン類の場合ですと、
Carolyn J.K. et al. : Wet and dry deposition of Chlorinated Dixoins and Furans,
Environ. Sci. Technol., Vol.26 No.7 (1992)
のような文献が参考になります。またより新しい文献やデータが存在する可能性があります。
対象物質の値が見つからない場合には、他の物質の値で代用するか、もしくは理論式から計算で求めることになります。

理論式から求める場合は、
乾性沈着速度 Vd = 1/(ra+rb+rc)
ra:空気力学的抵抗、rb:表面抵抗、rc:残査抵抗
のような一般的な法則がありこれから求めます。 湿性沈着の洗浄比場合は、VOCなどガス状物資の場合は、 無次元ヘンリー定数の逆数を用いることが一般的です。

詳しくは、下記の文献などをご参照下さい。
「浮遊粒子状物質汚染予測マニュアル」、東洋館出版社 (1997)

Q.濃度分布図のあるメッシュの濃度を知りたいのですが可能ですか?

CSV出力機能を利用して、各メッシュの値をCSV形式で出力する事が可能です。またVer.1.5から計算結果のヒストグラム表示に加えて、数値表示機能が加わりましたので、 より簡単に計算結果値を確認する事が可能になりました。

Q.CSV出力結果にある95%値や50%値とはどのような値ですか?(Version1.5.2まで)

CSV出力結果の95%値とは、計算結果から上限と下限の2.5%ずつ、合計5%のデータを排除して計算した平均値となっています。 また、同様に50%値は、上限と下限の25%ずつを排除して計算した平均値です。 一般的な95%タイル値,50%タイル値とは数値の意味が異なっておりますのでご注意ください。 なお、これはADMER Version1.5.1までの仕様であり、ADMER Version2からは、一般的な95パーセンタイル値、50パーセンタイル値に変更されました。